見出し画像

昭和の時代は吹き替えこそが個性であった

洋画を鑑賞する際、個人的には字幕版を選ぶ。
因みに英語圏以外も同様。
だからといって語学に堪能ではないが、言葉は文化を表している事を考慮すると、字幕版での鑑賞するのは個人的に必然だからだ。

そして吹き替え版だとガッカリする場合が多々ある。
単純にイメージの声と違うという理由もあるが、実際の俳優のイメージとかけ離れたせいで感情移入できず、物語に集中できなかったりと具体的な理由は様々だ。

だが、昭和という時代はテレビで放映される映画は必ず吹き替え版が当たり前であった。
それに疑問を感じず当たり前に鑑賞していたものだ。
で、この違いとは何か?!
と、考えて行き着いた答えは、以前のブログでも紹介した通り、昔は今と違い声優という職業が存在しなかった。
つい最近、ラジオで三ツ矢雄二氏が出演していてとても興味深い内容の話をして下さった。
元々、三ツ矢雄二氏は子役出身であったそうな。
成長し、ひょんな事から何故かテレビアニメ「超電磁ロボ・コンバトラーV」の主役に抜擢される。

画像1

最初は戸惑いながら挑戦したそうだ。
やはり俳優と声優とでは仕事が違う部分に驚かされた様だ。
先ず俳優と違い声だけで表現しなくてはならなかった為、この点を改善する所が困難だった様だ。
そこで先輩方の指導のもと、声優として自信に繋がる様になったと回想していた。
特に、ベテランの野沢雅子氏からのアドバイスは的確で励みになったそうだ。
その様子をこう語っていた。
「ただ名乗るのではなく、大袈裟に時代劇の様に物申す的に名乗る方が見る側に響きやすい」と。

また話の続きだが、三ツ矢雄二氏は先輩方に声優としてのキャリアは?などと質問をすると、必ずといって良いほど、「俺は声優じゃない!俳優だ!」と反論されたそうだ。
冒頭でも述べた通り、この頃は声優という職業は存在しなかったからだろう。
舞台や俳優業の仕事にありつけなかった方々が声優をしていただけなのだ。
それと三ツ矢雄 氏は後輩に必ず教える点は、アニメを観るよりもっと名作と言われる文学や映画を観た方が視野が広がると仰るそうだ。
個人的にもその意見に異論なしだ。

もう一つ宙に浮いた疑問を解決せねばならないな。
そうそう、かつてはテレビで映画の吹き替え版に対し違和感を感じず鑑賞できた理由を今一度考えてみた。
恐らくだが、三ツ矢雄二氏の話を織り交ぜて考えてみると、当時の声優をしていた方々は役者が殆どである。
中には舞台俳優も珍しくなかった。
故に個性的で役にはまる仕事をこなせたのだと思う。
要するに声だけで演じるのではなく、観る側には見えなくても体で縁していたからこそ、違和感なく鑑賞できたのだとも思う。

当時を振り返り、個人的に一番好きな俳優として声優である広川太一郎氏の思い出は深く残っている。
若い世代の方々は存じないのも無理はない。
反対に知っている方々であれば、とても特徴のある声で誰もが広川太一郎氏の声だと判るはずだ。

子供だった頃を思い返すと、最初に意識した作品は邦題「Mr.Boo! ミスター・ブー」だろう。
第五弾の『新Mr.Boo!鉄板焼』までは覚えているが、後は知らない。
このシリーズはホイ兄弟が中心に織りなすドタバタ・コメディだ。
兄のマイケル・ホイが監督と主役を兼任する。
このマイケル・ホイの吹き替えを担当したのが広川太一 氏である。

画像2

そしてこれが↓記念すべき第一弾だ!

画像3

そいでもって、下の三人がホイ三兄弟だ♪

画像4


因みに、記念すべき第一弾の吹き替えを担当したのが、先ほど紹介した広川太一郎氏の他に、なんと、当時漫才ブームで人気絶好調だったツービートが担当している!

わーお!

ホラ…じゃなく、ほらね☆
やや緊張気味か、たけしもきよしも棒読みな点はご愛嬌ということで!

てな具合で、こっちが↓広川太一郎バージョン!

幼い頃によく広川太一郎氏の真似をしたもんですよん♪
だからなのか、大人になりやや広川太一郎風の声のトーンになってしまったワン♪

わーお!

特に「モンティパイソン」のエリック・アイドルは大好物だったな〜(遠い目)

ね、今観ても面白くね?

で、若き日の広川太一郎 氏はマイケル・ホイと違いイケメンだった!

画像5

モンティ・パイソン…やっぱ、吹き替え版が分かり易いだわな♪

画像6

そうだ、広川太一郎氏以外、野沢那智氏のアラン・ドロン。
山田康雄氏のクリント・イーストウッドなども印象深い。
野沢那智氏に関しては、「職業アラン・ドロン」と答えていたほど成り切っていて格好良かった。

やはり、ダーティー・ハリーは山田康雄氏に限るよな〜♪(ルパン三世風に)

これは余談だが、生前、納谷悟郎氏が「字幕なんてものが出て来たから、俺らの仕事が激減したんだ!」と仰られたそうだ。

洋画の吹き替え版の未来は訪れる日が来るのだろうか…
個人的には夜明けを待ちたいものだ。
心の底から期待しちゃったりなんかしてからに〜!(広川太一郎風に)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?