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王は二人もいらない

著作権を侵害する行為は、法的にも許されない悪意に過ぎない。
特に現在はコンプライアンスという言葉が浸透し、下手な発言すら気遣わなくてはならない。

一応、ボキも絵本を出版し、発売元の出版社に著作権が守られている。
その為、大した事のない作品だろうと、外部の者が著作権を侵害する内容に触れると一大事となる。

まぁ、ボキの判りづらい内容を描いた作品を真似る人などいないと思われるが…

で、空気の読めない(例えばビビリのkyとか)…「小者」は別として…

きゃっ☆

実生活でも「真似た」「真似ない」などといった、些細な論争に繋がる事柄もまた珍しくない。
てな訳で、今回紹介したい作品は、邦題『エジソンズ・ゲーム』である。


実在したトーマス・エジソンとジョージ・ウェスティングハウスが自尊心と発想力を駆使した人間模様を描いた映画だ。

作品では両者が対立する構図を描かれているが、実在の二人は対面した事がないそうだ。
で、この作品は事実とフィクションを織り交ぜた内容である。

簡単に概要を説明すると、細かな専門用語が随所に出てくる為、平たく言うと発明に関して右に出る者が存在しないエジソンに対し、経営に関する戦略に長けていた実業家のウェスティングハウスがアメリカ初の電力発電を巡る争いを描いた内容となる。


エジソンには優れた助手のサミュエルが「シャーロックとワトソン」の関係を彷彿とさせるタッグ・マッチが見どころとなっている。

違う場所で、エジソンを演じたベネティクト・カンバーバッチは『SHERLOCK』を演じていたけどね。

わーお!

いらない情報はさておき、エジソンは安全な直流方式を推進する一方、ウェスティングハウスはコストが安価な交流式を推奨する。


1880年代の発明王として名高いエジソンの元に、この当時では無名であったニコラ・テスラが訪れる。

テスラは若き野心家であり、エジソンを崇拝するのだが、今後の電力に対しエジソンが推奨する直流方式は非現実であると直接エジソンに対し論争を交わすが、自身の意見が通らない事を悟ったテスラはウェスティングハウスの元を訪れ意見が一致する。

自身が掲げる発明を他人を傷つける事を常々嫌っていたエジソンだが、死刑囚に対し電気を使った処罰を提案して欲しいという男がエジソンに近づく。
それが後に電気椅子となる。

最初は敬遠していたが、条件付きでアドバイスをする前提で関与してしまう。
エジソンは自分の声で発するのではなく、あたかもウェスティングハウスが考案したかの様にアドバイスをしたのだ。
こういった事もあり、エジソンが出した内容は必ずアドバイスに関する手紙は焼き払う事が前提にある。
だが、電気椅子を推進したい男はエジソンの約束を守らなかったのだ。
しかも男はアドバイスの一部始終を記録として残してしまう。
やがて裁判となりエジソンにとって不利な証拠となってしまう。

確かに実業家でもあるウェスティングハウスの才力は明確であった。
一方のエジソンに関しては、アイデアを引き出す事は得意だが、長所を生かす事にかけては苦手であった様だ。


他人の欠点を自己流に生かす事が得意なウェスティングハウスは、結果的に勝利を得る。

因みにこの作品は2017年に上映される予定だったのだが、大人の事情が重なり2020年に延びてしまった。
その背景には、元々ワインスタイン・カンパニーが制作作品として公開されるはずが、みなさまご存知の通り、ハーヴェイ・ワインスタインがセクハラ疑惑で延期したのだ。
更に配給権がゴタゴタを重ね、マーティン・スコセッシが製作に入り、ワインスタイン版では不適切だ!と罵られた場面をカットし、新たに5つのシーンを加える事で本作が生まれた。

結果的にエジソンは「電流戦争」では敗北となり、ウェスティングハウスが勝利したが、映像に関わる原点に携わった事で今の映画に貢献したといったエピソードが残されている。

危うくこの作品はお蔵入りとなる所を、巨匠マーティン・スコセッシが食い止めたという点は大きな功績と言えよう🌟


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