ニセモノ人魚は夢を見ない

人魚のミイラは各地に存在する。でも、科学調査までするなんて、めずらしいこと。

だって誰も人魚の実在を信じていない。本当は。人魚のミイラを本物と掲げながら、人魚の実在は信じていないから、調査されるなんて困るのだ。

だから、調査を願い出る所有者がいることはとても勇気がある話で、有益な話だ。それこそ人魚の実在を信じようとする行為だ。

ニセモノの人魚は夢を見せない。
所有者にも、来園者にも、観光客にも。人魚のミイラは客寄せになるけれど、夢は見せないシロモノなのだ。

しかし2023年2月8日、人魚の実在を否定しながら、その人魚のミイラは夢をみんなに見せた。人魚のミイラはニセモノだった。

それが、夢に溢れていた。
ニセモノでも、贋作でも、後世にこれほど伝わることができる。後世のひとに、夢を魅せて、夢を託すことができる。

今日のニュースは、否定しながらも、私に人魚の夢を楽しませてくれた。
まだまだ、この世はふしぎで、楽しい秘密がいっぱい。そう信じるから、いつかきっと、『人魚』のルーツになった幻の魚だって、私たちの前に現れそう。そう思う。

ニセモノの人魚は贋作で生き物ではないし夢は見ないけれど、数々のユメは、そこに集中して、開花する。

ゆめのある、ニュースだ。
うれしいニュースだ!


END.

読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。