男たちが、お姫様になればいい

恋をしたらば、どれほど楽しいのか。少女マンガを読んで夢を見たが、ドラマを見ては出会いを期待したが、しかし、私は、ときめくことがなかった。

男にときめけない。
テレビやYouTuberにすらときめきは覚える。でも、あれは、画面の向こう側だ。

私は、人魚姫のように、泡になって夢見ることすら、できずにいる。そうして令和の結婚適齢期、30代すらも見送った。野球を見ていると虚しくなる、見送られる球が、なんだか自分みたいで。

はたして、私は、恋をしなかったのか。
それとも、されなかったのか?

好きです、どうしても好きです、人魚姫を必要としていたのは私自身ではないか?

人魚姫みたいに、一途に思ってくれるだけの男性がいるなら、主夫とか、現代の夫婦として、アリだった。

しかし、現れなかった。
お姫様が。

私は王子様に迎えに来てほしかったのではない。お姫様に会いに来て、欲しかった、そんなふうに最近は思える。一人暮らしをしながら、私に愛だけをぜったいに捧げる男性を夢にいまだに見る。

そんな、夢、いかにも現代的ではないか。
しかし男は、私のお姫様にすらなってくれなかった。私の魅力が足りなかったのか。花に水をやる。いつか、数週間後には枯れる、花に。

……男性は枯れてからも味がでるな。
うん。

子どもは、ざんねん、だけれど。
でも、お姫様をまだ探していたっていいではないか。少女マンガみたいに。
早く、男たちがたくさん、お姫様になる覚悟をさっさと決めてくれ。


END.

読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。