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佐渡の妖怪・臼負い婆

臼負い婆(うすおいばばあ、うすおいばば)は、佐渡に伝わる妖怪である。
その名の通り、臼(と思われる物)を背負った老女の妖怪である。

新潟県佐渡市の宿根木(しゅくねぎ)にかつて「あかえ(𩷧)の京(みやこ)」という場所があった。
そこは、あかえという魚が集まる場所であった(著者注釈:あかえとはアカウオのことであろうか?詳細は不明である)。
魚がよく釣れることで評判の高い釣り場であったという。

江戸時代にとある侍が宿根木に住んでいて、侍はあかえの京によく釣りへ出かけていた。
とある夏の日に、侍は数人の仲間を連れてあかえの京に釣りへ出かけた。
仲間と一緒に釣り竿を海へ下ろして魚が釣れるのを待ったが、その日はいっこうに魚が釣れなかった。

しばらくすると、雨が降り出して、薄暗い天気になり始めた。
侍たちはそれを気にせずに釣りを続けた。
すると、海から何か人のようなものが現れた。
侍が仲間に「あれは何だ?」と尋ねても、仲間は「黙ってみていよ」と意に介さなかった。

海から出てきた化け物は、海に漂うばかりでなく、泳ぎ始めた。
侍が化け物をよく見てみると、化け物は老婆のような姿や白髪をしていて、両手を後ろに回して何か(臼と思われる)を背負っていた。
化け物の白髪は水でぬれて乱れていて、口には牙が生えていた。
恐ろしい顔で侍たちをにらんだ後、しばらくして化け物は海底に潜り込んだ。
そして、それから化け物が海から姿を現さなかった。

あまりにも不気味だったため、侍は仲間に化け物のことを尋ねた。
仲間は「あれは臼負い婆という妖かしで、二、三年に一度登場する。あかえの京では昔からよく見かけるが、特に心配することはない」と答えたという。
(著者注釈:侍がそれを知らなかったのは、おそらく宿根木に元々住んでいたわけではなく、本土から赴任してきた侍だからなのであろう)

これが佐渡の臼負い婆の妖怪の逸話である。

磯女や海女房など、全国的にも海から出現する女の妖怪が見られる。
おそらく臼負い婆もその一種であろう。
臼負い婆には、この逸話しか残されていないため、正体は不明である。

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