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いつの間にか仕事に染まっている自分に気づく話

人間は知らず知らずのうちに所属する業界や仕事に染まってゆく。

それはある種の偏りとなって人間の行動を規定するのだが、私が生命保険の事務システム企画で感じた「あ、これもしかしてこの業務特有かも」と思った瞬間を挙げてゆこう。

システム担当者への依存度が高くなる

システムエンジニアは、クライアントが提示する要件の実現にベストを尽くさなくてはいけない。そうじゃないと裁判になった時に負けるからだ。

長年付き合っている社内の人間同士だと、「1を言えば10伝わる」ような部分があり、言っていないことまで気を回して備えてくれたりと、世間一般よりもレベルの高いサービスになりがちだ。

ところが、その感覚が当たり前の状態で過ごしてしまうと、外部の会社と仕事をした時に「物足りない」とか、「偉そうでふんぞり返った」態度になってしまったりする。本当は内製のエンジニアが自社に最適化されているだけなのだが。

事業のコアシステムは世間一般に流通するものではなく、その会社だけのオンリーワンな製品である。だからこそ、一般的な開発の感覚と乖離しがちである。

ただでさえ世間におけるエンジニアの流動性は高まっており、察しが良い優秀な人材はキャリアアップを求めてどんどん活躍の場を移してゆく。

今よりもエンジニアが冷たく素気なくなった時に、自分は問題なくサービスリリースまで持っていけるだろうか。

背筋を伸ばすために自問自答する日々だ。

断ることが仕事だと勘違いする

システムには制約がつきもので、自分のやりたい通りに作れることはまずない。

するとユーザーにできないことを説明して納得してもらわないといけないのだが、これを繰り返しているといつの間にか「とにかく諦めてもらうこと」に躍起になってしまう。

本当はその一歩手前に「本当に制約の中でこれがベストなのか?」という問いがあって然るべきなのだが、そこが抜け落ちてしまうのだ。鋭い人になるとこういうのは「本当にそこが最終着地点なのか?」とツッコミが入る。

システム企画の人間はユーザーのことを恐れる人間が多いのだが、それは自分の考えが足りないことを指摘されて叩かれる経験をみんなするからだ。(逆に考え尽くせていれば、和気藹々と事は運ぶ)

時間切れも一つの結論の出し方だが、それでイマイチな作りになってしまうと、言い出した自分の中に挫折感が残ってしまう。

「ダメダメな自分」という自己認識は精神を病む原因になるので、たとえ100点満点でなくても、「これがこの条件下でできる目一杯だ」と胸を張れるように粘らなくてはいけない。仕事を長く続けるためには必要なことだ。

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