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小磯良平



小磯良平 (コイソリョウヘイ)


1903年7月25日〜1988年12月16日


昭和期を活躍した神戸を代表する洋画家の
ひとりである。彼の手掛けた作品の印象と
言えば、聡明そうで背筋を伸ばし凜とした
美女の絵が先ずは、思い起こされる。




男女が共に理想的な女性像を頭に描くならば
こんな女性だと思わせる様な美人画である。
逆に男性を描いた絵は、自画像以外には記憶
に殆どない。徹底して美しく好きなものだけ
描かれてきた様に思われる。単に私が男性画
をスルーしていただけなのかも知れないが…



今回の紹介は、その美人画ではなく植物画に
スポットを当てて紹介をしようと思う。



小磯良平氏は、海外に絵の勉強のために訪れ
武田薬品工業株式会社の六代目武田長兵衞と
出会う。フランスの地での事となる。



戦前に出会ってから交流を深め、生涯に渡り
その交流は続いた。武田薬品工業のポスター
の依頼があってそれを母子像画に仕上げる。


その後には機関紙『武田薬報』の表紙画へ
約13年間に渡って描き続けた薬用植物画。
それらを集約、刊行に至る『薬用植物画譜』
は植物の図鑑としては貴重なものとなる。



この分厚く立派なハードカバーの画集は
武田薬品工業の周年記念の本とし全社員に
配布されたものであり、とても貴重な本と
なっている。とても欲しいものではあるが




ここに登場する作品は『武田コレクション』
と称され、小磯良平の重要な作品が幾つも
含まれているもの。



神戸市立小磯記念美術館は小磯良平の縁と
して神戸に建てられた美術館となっており
武田薬品工業より寄託された薬草を描いた
作品を展覧会で油彩及び素描作品あわせて
何十点もが展示された。






朝顔 (アサガオ)


編笠百合 (アミガサユリ)

杏子 (アンズ)


御種人参 (オタネニンジン)


花梨 (カリン)


黄烏瓜 (キカラスウリ)


桔梗 (キキョウ)

葛 (クズ)

芥子 (ケシ)


猿捕茨 (サルトリイバラ)


紫蘭 (シラン)


朝鮮大黄 (チョウセンダイオウ)

大蒜 (ニンニク)


彼岸花 (ヒガンバナ)


勿布 (ホップ)

紫 (ムラサキ)


目弾 (メハジキ)


彼の描いたこれらの植物の数々の作品は
女性に勝るとも劣らないものばかり。


植物に宿る女性的な美を見出しながら
小磯良平はこの仕事を楽しくこないて
いたものと推定される。


ただ、これらの絵が一般の植物画とは大きく
違う点があるのにお気付き頂けたであろうか?


絵を描く際の、画材となる植物は武田薬品側の
手配によるものであり、彼らの生業は漢方含めた
薬草となる。よってその漢方となる部位がこの絵
の中には含まれているのだ。



上にある一例としての葛 (クズ)、
この植物の根からは、あの風邪のひき始めに効く
葛根湯(カッコントウ)の原材料となるのだ。




ここで行われていたのが武田コレクションの
絵画展、その時にこれらの原画を見ながら
楽しい時間を過ごしたのである。
またやらんかな〜。


名称 神戸市立小磯記念美術館 
所在 〒658-0032 
   兵庫県神戸市東灘区向洋町中5ー7


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