(22)5歳頃からの積読本が「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~
お手紙、つづきです。
「家にある本で、デジタル漬けになる前に『読む』習慣を」
・・・というお話をしています。
低学年までは動画やゲームがなくても家で楽しく過ごせます。
「みんな見てる」「そういう時代」は少し横においといて・・・
読む楽しみとすんなり出会える時期を大切にしたいなと思います。
・お手紙(21)はこちらからどうぞ。
(21)5歳頃から〝積読本〟と暮らすことが「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~|涼原永美 (note.com)
今日は
「子どもが本好きになり、親として『助かる・・・』と心底思ったこと」
・・・というお話です。
さて、シオリさん。
子どもの読書は、子ども自身にとって良いことがたくさんあるのですが、見守る親にとっても「ありがたい」「助かるな・・・」と感じることがたくさんあるんです。
私としては、はじめからねらっていたわけではなく、子どもの成長に伴って「ああ、そうなんだ・・・!」と実感してきたこと。
我が家で実感した「助かること」を、少しお話しますね。
1つ目は、「待ち時間」です。
子どもを育てていると、「待ち時間」って意外と多くありませんか?
病院に行っても、ご飯を食べに行っても、場合によっては1時間くらい待つことってありますよね。予約をしても待つことはありますし、出かけた先でも、何かと予想外に待たされます。
そういう時、子どもに「ねえ、まだ~?」「つまんない」と言われるのは親にとって辛いもの・・・。
でも、あらかじめ本を1冊持って出かけていれば、1時間くらいなら問題なく読んで待っていることができます。
そして、ここで大活躍するのが「文章メインの本」「物語・小説」なんです。
マンガの場合、1冊は比較的早く読み終わってしまうので、時間つぶしのために何冊も持ち歩くのは難しい。
けれど文字メインの本は、1冊あれば読破するのにたいてい何時間もかかるので、待ち時間にぴったりなんです。
小学1年生くらいから児童書を読む習慣があれば、いつでもどこでも「待つ」ことに恐れることはありません。
具合が悪い時は無理ですが、たとえば歯科や皮膚科や眼科など・・・元気に待っている場合は、そこそこページ数の多い児童書1冊で十分。
「暇だ~!」とぐずぐず言われて困ることは激減します。
もちろん、スマホで動画やゲームを楽しんだり、読むにしても電子書籍なら端末ひとつでいくらでも読むことができます。
――そういう選択肢もあるとは思いますが、待つ時はゲームや動画・・・という習慣がついてしまうと、「家では30分なのに」という子どもとの約束が、あやふやになってしまうこともあるかもしれませんよね。
そうなると子どもは、「あの時は良くて、どうして今はダメなの?」と疑問に思うかもしれません。
また、端末が親のものだった場合は、「使うから返して」というタイミングもあるでしょう。・・・そうすると子どもにとっても不完全燃焼で、「もっと!」と泣いている子も、何度か街角で見かけたことがあります・・・。
そして、幼少期からこういう場所で気軽に親のスマホを渡してしまうと、結局はそれが習慣化の入り口になることもあると思うのです。
「出先では本」という習慣は、穏やかな待ち時間につながるんじゃないかな、と思います。
我が家では、出かける時は必ず現在小6と小2の子ども達に、「長く読める本1冊、カバンに入れておいて。文章メインの・・・」と言います。
この1冊が本当に、出先でのアクシデント的な待ち時間、ちょっとおとなしくしていてほしい時、穏やかな時間の救い主になってくれるのです。
ーー本当に、助かります。
2つ目は、書店や図書館がレジャー代わりになること。
出かける予定のない週末って、ありますよね?
夏休みや冬休みだって、親が働いているにせよ、家にいるにせよ、子どもの相手をしてあげられないことは正直言って多いです・・・きっとたくさんのパパやママが、それで悩むのではないでしょうか。
けれど子どもが本好きなら、長めの児童書1冊でけっこうな時間をつぶすことができます。
親の時間が空いた時に書店や図書館へ行き、買ったり借りたりしてあげれば、レジャー施設に行くよりは手間もお金もかからないです。
「そんなことで喜ぶかな・・・?」と感じるパパ・ママもいるかもしれませんが、それは、どのくらい子どもが「読む喜び」を積み重ねてきたかによる、かもしれません・・・。
「今日はおでかけできないの」と子どもにちゃんと説明することも、もちろん大切。そして、その代わり「好きな本を買って(借りて)あげる」・・・こういう習慣も、悪くないものだと思います。
我が家ではコロナ禍のステイホームや、どこにも連れて行ってあげられない休日に、何度も書店や図書館に助けてもらいました。
ーー本当に、ありがたいです。
3つ目は、意外と「コスパが高い」ということ。
2つ目の続きでもあるのですが、文章メインの本はコスパが高いんですね。
これまで何度も、「子どもが気に入った本は、できる限り買ってあげるといいですよ・・・」とお話してきましたが、もちろん買うにはお金がかかります。
・・・けれど、物語・小説って、
文章量にもよりますが「1冊で何時間、いや何日も読める」んですよね。
子どもが読むことに慣れれば慣れるほど、本人も気づかないうちに文章量の多さに慣れていきますし(お手紙(11)でもお話しましたね・・・)、読む本の文章量が増えていけばそれだけ、「1冊でつぶせる時間」も長くなっていきます。
(ちなみに長女は現在、「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~」(作・香月美夜/イラスト・椎名優/TOブックス)を読んでいますが、各巻400ページ弱あり、1冊あると何日間も放課後の自由時間に読み続けています。とてもコスパが高いです)
たとえば子どもに「今日は漫画を読んで過ごしてね」と言う場合はどうでしょう?
私も漫画は大好きなのですが、一日を過ごすとなれば、1冊というわけにはいきません。今はコミックレンタルなどもありますが、買う場合も借りる場合も、冊数は必要になります。
(あくまでも1冊を読むのにかかる時間の話をしています。漫画は素晴らしい文化です。念のため)
物語や小説は、予算に乏しい時は古本屋で1冊数百円からでも選べますし、図書館ならもちろん無料です(新刊書店さん、すみません)。
これは、慣れるとなかなかのワンダーランド。
下世話な言い方になってしまいますが、「数百円程度で何日も楽しめる」・・・これもまた、読書の大きな魅力です。
なので、これで子どもが1日を有意義に過ごしてくれたりすると、親としてありがたく、「本当に助かるな・・・」と思うんですね。
ちなみにこれは、子どもが成長して独り立ちした後も一生続けられる習慣になります。
物語・小説を読めると、何歳になっても「インドア娯楽・時間つぶし」のコストをかなり抑えた生活を、心穏やかにおくることができます(そしてさらに、読むことで知恵や知識も身に付きますーー読書って素晴らしい)。
ーー助かります。
4つ目は、親として「ゲームや動画、もうやめなさい!」と叱る回数が減ること。
そして子ども自身「あとは本でも読むか」という選択肢を持てる・・・ということです。
これは、現代のパパ・ママ共通の悩みかな、と思います。
ゲームや動画視聴が楽しいのはよくわかります。
我が家も、特に6年生の長女はゲームもやりますし、好きなチャンネルの動画視聴を日常的に楽しんでいます。
でも、一定の時間が過ぎると大抵は「今日はこのへんで」と自分からやめますし、やめない場合は私が「そろそろ・・・」と言うと、「そうだね」と言ってやめます。
いちど長女に聞いたところ、「ゲームや動画もおもしろいけど、本のほうがおもしろいから・・・というか別物」とのこたえでした。
別物の楽しみを持っていることで、気持ちのチャンネルを切り替えられるんですね。
子どもは一人ひとり違うので、「ゲームや動画がいちばんおもしろい」という子がいても、もちろんいいと思います。けれど、「これをやめたらほかにすることがない」というのは、子どもにとってもけっこう辛いものではないでしょうか。
「楽しく読めるものが家にたくさんある」「そしてそれはいくら集中しても親に叱られない」・・・という状況は、子どもにとってもノンストレス。
「いい加減にやめなさい」と言って、したくもないケンカをするのは親もイヤですよね。
親子関係がギスギスする材料が少しでも減る・・・それだけで、読書習慣は本当にありがたいものだと個人的には感じています。
ーー本様、いつもありがとうございます。助かっています。
本当に、「本好きの下剋上」のマインのような気持ちです。
5つ目は、親から説明するのが難しい内容も、本なら伝えやすい
・・・ということ。
子どもの成長に合わせて、世の中の動きに応じて、親はいろんなことを子どもに伝えなきゃいけないですよね。日々、痛感しています。
でもうまく伝えられない、ゆっくり話す時間もない・・・そういう悩みって、多かれ少なかれあると思うんです。
たとえば、性のこと、将来のこと、インターネットの注意点、子どもに関わる法律のこと、戦争のこと、歴史のこと・・・。
こういう問題を、子ども向けにわかりやすくまとめてくれている良い本って、本当にたくさんあるんですよね。これは漫画でもいいですし、必ずしもノンフィクションではなく、事実をもとにした物語(フィクション)でもいいと思います。
そういう本を用意して、「良かったら読んでみて」と伝える時、子どもがもともと本好きだと、かなり伝わりやすいんですね。
子どもにとって難しいのは、読書習慣がなくて、親と本の話をしたこともないのに、いきなりそのことだけ「本を読んでみて」と言われること。
たぶん子どもは抵抗を感じます・・・。
なので、子どもがそういう本をすんなり読んでくれている時、そしてその内容について「どうだった? ここはママも大事だと思う」と話せた時、本はありがたい、助かるなぁ・・・と思うんです。
――最後です。
6つ目は、これらの結果、
子どもの情緒が安定すること
・・・なんですね。
子どもの情緒には、「これをしたから安定しました」という特効薬はないですし、親がいくら頑張っても、外的な要因で不安定になってしまうこともあると思います。
それでも、家庭でできることとして、読書は土台にはなり得ると思うんです。
――少なくとも我が家では、本が子どもの心の安定のベースになっていると感じています。
子どもにとって、親に規制されたり、叱られたりしない娯楽はあったほうが、毎日を過ごしやすいのではないでしょうか・・・。
もともとそれがある子はいいのですが、なかなかなければ、子どもがいろんな本を読んでみるのはやっぱり良いものですし、そこから世の中に興味を持ち始めることもあると思います。
そうしてその後でゲームやスマホや動画視聴を楽しむようになったとしても、読書の時間も並行して持つことで、デジタル以外で集中することを覚えますし、自分の心と向き合う静かな時間も得られます。
読むことで語彙が増えて、自分の気持ちを言葉に変換して伝えやすくなるーーそういう効果もあるのではないでしょうか。
本当に、我が家は「子どもの読書」にたくさん助けてもらっています。
本は、いろいろな意味で子育ての強い味方です。
もし、子どもに本好きになってもらいたい・・・と願っているパパ・ママがいたら、「賢くなるかどうか」と同じくらい、「家庭にこんな良い影響があるかもしれない」ということも、頭に入れておいていただけたら嬉しいなぁと思います。
――あ、もちろん。
「どう? 本はおもしろいよね?」・・・は、あまり意味がありません。
本をおもしろいと思うのは、子ども自身の心です。
親は環境を用意して、習慣を手助けするくらいしかできないかもしれません。
けれど、やってみることに、意味があると思います。
見せてみなければ、子どもは世の中に宝石があることにも気づきません。
お手紙、続きます。
〈待ち時間ものがたり読む1時間 「はい次の方」ここどこだっけ?〉
・お手紙(23)はこちらからどうぞ。
(23)5歳頃からの積読本が「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~|涼原永美 (note.com)
・お手紙(1)はこちらからどうぞ。
(1)5歳頃からの積読本が「本読む子」への最短ルートでした~10年前に出会ったママさんへ~|涼原永美 (note.com)
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