一枚の小さな物語。「君を待つイス」

画像1 さっきまで、僕は彼女と一緒にいたんだ。彼女はココで泣いていた。ずっと一人で泣いていた。僕はただ、君のぬくもりと悲しみを感じることしかできなかった。僕のこの切ない気持ちは、どこから生まれるのだろう?君のかわいいケイタイからきれいなメロディが鳴った。君は涙を拭いて、その画面を見つめていた。また君に涙が流れた。けれども、さっきの涙とは違うみたいだ。僕はとても心配で、どうすれば君が笑顔になれるか、そればかりを考えていた。やがて彼がやって来た。すると君は幸せな笑顔になって、そして立ち上がって、彼と抱きあっていた。
画像2 そして僕は残されて、こうして今、ここにいる。やがて夕暮れがやってきて、いつものように日が沈むだろう。君に笑顔が戻って本当によかった。でも、なぜだろう?僕の胸が痛むんだ。一人はいつものことなのに、一人がとても寂しいんだ。でも、僕は信じている。君のぬくもりが消えていっても、僕のこの心はきっと消えないと。僕はただ、君を待っていたい。また、君が悲しいときに、いつでもここに来られるように、いつでも君を支えられるように。君をずっと待っていたい。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一