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”スポーツチーム”の如き合理的会社組織 ー『NETFLIXの最強人事戦略』を読んで

スポーツチームとはNETFLIXの会社組織を形容する言葉であるが、本書を読む限りとてもしっくりくる表現である。
例えばサッカーにおいてどんなに良いチームも翌年には何らかの新陳代謝を行い、逆にそれがないチームは同じメンバーでも衰退していく、それは企業の経営にも同じことではないかと思う。

本書では最近流行りの「(会社への)エンゲージメント」なんかクソくらえと言った感じで、著者は「業績とエンゲージメントは必ずしもイコールではない。エンゲージメントにせいにするな」、「「家族」を解雇したことがあるのか(会社を家族と捉えてしまうと、チーム構成をしにくくなる)」、「ハイパフォーマーはむしろチームに不満を持っていることが多い。最高を求めるからこそ痛みや不満を感じる。その姿勢をもってほしい」、とまで言っている。

驚くのはこの著者自身が、最終的には会社から解雇されているという事実。誰であっても功労者であっても、会社のフェーズとそれに対するパフォーマンスが見合わなければ新陳代謝が行われていく。

これ自体の成否は検証すべきだろうが、綺麗ごとでなく、厳格かつ言行一致の姿勢で高みを求める姿勢に個人的には非常に共感を持った。

▼以下、興味深かった箇所のメモ

・人材管理の3つの方針 -①優れた人材の採用と解雇はマネージャーの責任、②全ての職務にまずまずの人材でなく、最適な人材を採用するように努めること、③どんなに優れた人材でも、会社が必要とする職務にスキルがあっていないと判断すれば進んで解雇する

・そこで働くていたことが誇りであえると思える会社にしよう

・マネージャーが受け入れがたい真実を繕い、従業員の解雇を最後の瞬間まで引き延ばし、部下を望まない職務や会社に本当に必要でない職務にしばりつけても、誰のためにもならない。従業員は自分の将来性について本当のことをリアルタイムで知る権利がある。彼らの、チームの成功を確かなものにするには、ありのままを素直に伝え、新しい機会を探す手助けをするのが一番だ

・出来る限り無駄のないプロセスと規律正しい文化を持つことが優れた成果につながる(自由と責任の文化)

・一人前の大人であることは、真実を受け入れられるということ

・素直な意見を促すには、素直な意見を述べる人が無事生き延びることを示すこと

・匿名な時が一番正直でいられるというメッセージを出すことは避けたい。正直な人はいつも正直だ

・事業運営の大きな罠の一つは、議論のうまい人が主張の正しさではなく説得力の高さゆえに自分の意見を押し通してしまう事

・定量データによる意思決定が好まれるのは、意思決定が間違っていた時にデータのせいにできるから

・会社は家族でなくスポーツチーム。継続的に人材を探し、チームを組み替えていかなくてはならない。会社が常に変化にさらされている中で、昔を懐かしむ声が強力な抵抗を生む

・社内で得られない職務や会社にとって重要でない職務を望む社員がいたら、社外に行くことを促していた。しばりつけている方が本人にとってよくない

・人事考課の結果とその人の価値は本当にイコールなのか、だから、評価と報酬を分離させた


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