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【長編】善き羊飼いの教会

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【完結】長編小説。— DIVE episode B 01 ― 樫緒科学捜査研究所を訪れた鈴鹿の依頼を受け、所員の柊シュリとスルガは、連絡が取れなくなっている筒鳥大の学生三人の行方… もっと読む
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善き羊飼いの教会 -Overview-

— DIVE episode B 01 ― 『あなたの罪は水の中に沈め、ただしき教会で願い求めなさい』 【…

善き羊飼いの教会 -Prologue-

 ふいの一撃で左目が潰れた。  恐ろしさで顔をあげられず、うつ伏せた惨めな姿勢で周囲を窺…

善き羊飼いの教会 #1-1 月曜日

〈柊シュリ〉      * 「あれ? お姉ちゃん、仕事、午後からじゃなかったの?」  鏡…

善き羊飼いの教会 #1-2 月曜日

〈樫緒科学捜査研究所〉      * * *  パーティションで囲まれた無機質なスペース…

善き羊飼いの教会 #1-3 月曜日

〈柊シュリ〉      *  わたしが調査員?  樫緒科学捜査研究所での調査を、このわた…

善き羊飼いの教会 #1-4 月曜日

〈酒坂二丁目・路上〉      * * *  酒坂二丁目は佐棟町の北東に位置しており、東…

善き羊飼いの教会 #1-5 月曜日

〈柊シュリ〉      *  驚いた。スルガさんのいったとおりだった。  国道の北に、その家は建っていた。国道から脇道に入って、舗装されていない山道をのろのろと進んだ先に写真で見たままの玄関が現れた瞬間、わたしは思わず声にだして喜んでしまったほどだ。 「地図で見る限り、国道に面している家は少ないみたいだね。ほとんどの家が山林の中に建っているから、探しあてるのに手間取るかもな。覚悟しておいてくれよ」  スルガさんはそういったけれども、最初に入った山道がまさかの正解で、目指す

善き羊飼いの教会 #1-6 月曜日

〈幽霊屋敷・勝手口〉      * * *  鈴鹿は周囲を見回し、柿本らのいた形跡がどこ…

善き羊飼いの教会 #1-7 月曜日

〈柊シュリ〉      *  庭にでると視界が一気にひらけたこともあってほっとした。  …

善き羊飼いの教会 #2-1 火曜日

〈幽霊屋敷前〉      * * *  幽霊屋敷――前日はそう呼んだ廃屋の前に立ち、スル…

善き羊飼いの教会 #2-2 火曜日

〈柊シュリ〉      *  愛猫の甘えるような鳴き声で目覚めた。  飲酒したわりに普段…

善き羊飼いの教会 #2-3 火曜日

〈幽霊屋敷隣家〉      * * * 「立派な楠(くすのき)ですねえ」  畑の隅に屈ん…

善き羊飼いの教会 #2-4 火曜日

〈柊シュリ〉      * 「ハーイ、ウィルソン」  筒鳥大学東キャンパスの食堂へは、待…

善き羊飼いの教会 #2-5 火曜日

〈警固町・路上〉      * * *  スルガは顔をあげて歩道を見た。茶色いジャケットを羽織ったパンツスーツ姿の女性が鞄を抱えて、駆けてくるのが目にとまった。手を振られる。小さく振って返す。女性は助手席側の扉を勢いよく開いて、車内へ入ってきた。 「ありがとうございます、スルガさん。研究所に向かおうとしていたところだったので、助かりました。よかったんですか、迎えにきていただいて」 「通り道だったからね。それよりもどうだった? オリバー・ジャクソンさんだっけ。彼から役に立ち