善き羊飼いの教会 #2-5 火曜日
〈警固町・路上〉
* * *
スルガは顔をあげて歩道を見た。茶色いジャケットを羽織ったパンツスーツ姿の女性が鞄を抱えて、駆けてくるのが目にとまった。手を振られる。小さく振って返す。女性は助手席側の扉を勢いよく開いて、車内へ入ってきた。
「ありがとうございます、スルガさん。研究所に向かおうとしていたところだったので、助かりました。よかったんですか、迎えにきていただいて」
「通り道だったからね。それよりもどうだった? オリバー・ジャクソンさんだっけ。彼から役に立ち