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"②Coffee and love are best when they are hot"(コーヒーについて:エルサルバドル編)

(↓世界編についてはこちらをご覧ください)

エルサルバドルのコーヒー生産地

エルサルバドルは中米の最小国、面積にして九州の半分程度しかありませんが、なんと25の火山があり、ミネラル豊富な土壌がコーヒー栽培に適しているのだそう。更に標高が高いので、気温が上がり過ぎることもなく雨もしっかり降る。こうした環境が相俟って、コーヒー栽培に的しているようです。
(↓エルサルバドルの生産地は主に6か所。)

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エルサルバドルの収穫期は10~3月で、新しい豆が市場に出るのは4月以降。豆を収穫して初めてのコーヒー、「初づみ」に関しては、日本ではちらほら見かける気がしていたのですが、こちらではまだ初づみに価値を置いている話は聞きません。ワインのボジョレーヌーボーのようにコーヒーにおいても初ものが世界的に商業化されているというよりは、日本特有の文化?のような気がします。

エルサルバドルで生産されている豆の種類

以下ではエルサルバドルで主に採れる豆3種(いずれもアラビカ種)をご紹介+コーヒー見識者による味の表現もご覧ください。

ブルボン (Bourbon ):エルサルバドルで最もメジャー(62%)なコーヒー種。名前の由来はフランス領下にあるインド洋のブルボン島(レユニオン島)から。 

Sweet and well-balanced, sweet, and pleasant: it has unique chocolate-like characteristics.

パカス(Pacas):ブルボンの変異種。エルサルバドルで2番目の収穫量(31%)。

Medium body with a mild aroma and fragrance. It leaves a great after-taste and medium acidity.

■パカマラ (Pacamara):エルサルバドル国立コーヒー研究所によって開発された豆(収穫量は2%)。

Very pronounced floral aroma and sweetness with persistent chocolate flavor. It has a full body and a great after-taste.

こういう味の表現て、どれも大体一緒に見えてしまうのは、言葉のマジックでしょうか・・

エルサルバドルで評価の高いコーヒー

ちなみに、コーヒー生産国で行われるコーヒーの品評会、Cup of Excellence の2021年大会で出品された豆の割合は以下の顔ぶれ。生産量の少ないパカマラやゲシャが多く、最も生産量の多いブルボンの出品は少ない。

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そして2021年の勝者はというと、パカマラとゲシャが4位までを独占。豆の洗い方や焙煎方法等によっても変わってくるとは思いますが、豆だけを見るとパカマラやゲシャが評価されていることはわかります。

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更に、2020年の勝者↓こちらは1~5位中、パカマラがほぼ独占。パカマラ強い。

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★結論:エルサルバドルに着て何するか迷ったら、取り合えずププサ食べて、パカマラを飲んどけば間違いないということかと思います。

コーヒーの難しさ

エルサルバドル政府は1950年代に国立コーヒー研究所(Instituto Salvadoreño de Investigaciones del Cafe(ISIC))という機関を設立し、コーヒー豆の開発等に積極的に注力。そのおかげもあってか、中米の小国、エルサルバドルのコーヒー生産は世界10位に入っていたそうです。

ところが内戦(※)によりコーヒー産業は大きく衰退。研究所の役割も形骸化してしまい、内戦後は、より激化する国際市場競争に太刀打ちするための技術や知識が蓄積・継承されておらず、生産量は年々減少し、エルサルバドルのコーヒー産業は年々衰退しているというのが今の状況です。
(※1980-1992年: 約7万5000人が犠牲となった政府軍とゲリラ勢力との間で起きた国内紛争)

こうした状況を危惧してか、なんと今年の11月初旬、新しいコーヒー国立研究所の設立が議会で承認されました。政府の人気取りにすぎないかもしれませんが、これから何を行っていくのか楽しみです。

また、嗜好品の多くに該当することかと思いますが、コーヒー生産において、生産者と消費者の価値付が一致していないということが問題として挙げられます。
■ どれだけいい商品を作っても安値で買いたたかれてしまう
■ 生産者がいい商品を作ろうと思っても、市場が求めるものがわからない

こうした生産者と消費者の乖離が埋まり、正当な取引が行えるようになることは生産者側、消費者側の両者が歩み寄って解消すべき問題の一つ。
世界中には上述したCup of Excellenceやフェアトレード等、こうした問題を解消するために動いている組織がありますが、外からの補助金や、政府の支援ありきの制度に頼るのではなく、エルサルバドルの人々、または外国からでもコーヒーの知識を持つ人が集まり、独自に発展させていくことも大切。

そのためにはまずエルサルバドルはとりあえず「凶悪犯罪多くて怖い国」というイメージを払拭させる必要があるのかな・・と思います。
とりあえず日本語でエルサルバドルを調べる際のネット上の怖い写真消し去ってあげてほしい・・



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