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【白斑diary③】光線療法3・4回目/耳がダンボになるひととき

前回はこちら

前回は、CORONAの影響で皮膚科の診療がストップしてしまったことを書いたけど、その後、病院は無事に復活し、私の光線療法も再スタートした。

二週間ぶりに皮膚科に行くと、待合室の患者さんは少なくてヒッソリしている。

空いている席に座ると、隣の男性は外国人だった。
多分、南米系の方ではないだろうか。(なんとなく雰囲気で…)

お連れの方と並んで座り、診察を待っている様子だった。

椅子に座って、スマホを出したところで、「Emikoさーん」と呼ばれたので、慌てて処置室に入る。

※皆さんが、この記事のコメント欄にて「空いていますように」と祈ってくださったお陰で、今のところは待つこともなく、すぐに呼ばれます。ありがとうこざいます🙏✨

ベッドに腰を掛けて、準備していると、先生がやってきた。
「どうでしたか?」と聞かれ、
「大丈夫でした。特に変わりはありませんでした」と答えると、
「それなら時間を少し長めにしてみようかな」と言い、看護師さんに「〇〇で△△を3分ずつ…」と指示を出された。(←専門用語のためうまく聞き取れず…)


今日から3分と長めになるのね。でも、今まで大丈夫だったから、何とかなるでしょう。

…と楽観的に受け止めていた。


準備を終えて、ベッドに横になり、前面→背面→右脇→左脇と、順番に照射してもらった。

この時、隣の別の処置室から、他の患者さんと看護師さんの話し声が聞こえてきた。盗み聞きする気は1ミリもないけど、他にやることが無いから、話が耳に自然と入ってしまう。

この声の主は、どうも、先ほど待合室で私の隣にいた外国人のお兄さんのようだった。

たどたどしい日本語だけど、聞き取りはOKという様子だった。声から推測するに、お兄さんは20~30代、看護師さんは50~60代というところだろうか。イメージとしては、オカンと息子という年齢差。

そんな看護師さんから、お兄さんは薬の塗り方について習っている様子だった。

だけど、この看護師さんの口ぶりが、目の前の患者さんを「幼い子ども」に見立てているような感じで、丁寧というより、ちょっとイライラする。このお2人とは全く関係ない私なのに、看護師さんの話し方にモヤモヤしてきて、だんだん気になってきた…。

こうして隣室で、塗り薬の説明が繰り広げられている最中(←嫌でも話が聞こえてくる)、看護師さんが、ふと話題を変え、そのお兄さんの日本語能力に話の舵を切り始めた。
話の流れから、看護師さんが
「どこで日本語を勉強されたの?」
と聞いてくる。

そこで、お兄さんが、
「〇〇(=地名)ニアル△△(=学校名)デ、日本語ヲ学ビマシタ。」
と答えると、看護師さんは大きな声で、
「わぁ~!がんばってお勉強したのねー!すごいわー!日本語、とってもお上手よ!えらいわー!大丈夫よ!自信をもってねー!」
と、ベッタベタに褒め始めたのだ。

えっ?えええー---!

私はじっと光線を浴びながら、「その褒め方はアカンやろっ!」と、心の中で突っ込みを入れずにはいられなかった。

隣室から漂う空気感から、お兄さんも、看護師さんのベタ褒めリアクションにかなり困惑している様子である。

しかし、看護師さんは、私たちの困惑など全く意に介せず、そのままの調子で、終始、話し続けたのであった。

おいおい…。

「〇〇にある△△校」
ちょっと聞き取れなかったんだけど、発音のニュアンスから、これは日本によくある外国人向け日本語専門学校とかの類ではなく、海外にある学校かな?と思った。

もしかしたら、お兄さんが日本語を学んだのは「大学」ってこともありうるんじゃないかな?

それに、外国人って、母国語の他に、複数の外国語を使いこなせる人が多いから、もしかしたら、このお兄さんも、ここでは「たどたどしい日本語」だけど、実は、他に数か国語がペラペラと話せて、その中の一つが「日本語」だ…ということも考えられる。

だとしたら、私のような日本語しかわからないコッテコテのローカル日本人より、うんとグローバルで博学で賢明な人ではないか。

そう考えると、「日本語を話す外国人」をどこか見下すように子ども扱いしてしまうことを、私達日本人はついついやらかしてしまうんだけど、これって相手に相当失礼なことだわ…と思った。

親身になって、相手にわかるよう丁寧に対応しているつもりでも、お兄さんも「子ども扱いされている」と察したみたいで、「ハイ、チャントワカリマス」と冷静に答えていた。きっと鼻についたんだろうな…。

私が、このお兄さんの立場だったら、メッチャつらいぞ。

ホントこれ、マジ気をつけなきゃいけないことだなぁ…と感じたのだった。

こうして三回目の光線療法を無事に終えて、自宅に戻ったのだけど、照射の時間が少し長くなったせいか、皮膚が赤くなってしまった。

白斑だけでなく、白斑がない部分も広範囲に赤くなってしまい、少し痛痒い。なんだか日焼け直後の肌のようだった。

ちょっと心配だったので、特に赤みが強い「みぞおち」の部分には、オロナイン軟膏を塗っておいた。

次の日には、赤みはきれいさっぱりとれたから、良かったんだけど…ね。


◇◇◇

そして更に一週間後。
四回目の照射で皮膚科に行った。

前回の施療の後、肌が赤くなったことを伝えると、先生は「じゃあ、時間をちょっと短くしますね」と言い、赤みが出た前部と背部は、3分→2分台に落としてもらうことになった。

前回よりは短めだけど、やはりまた、家に帰ってから赤くなっていた。

「光線療法を受けると、皮膚が赤くなることがあります。これは日焼けのようなものなので…」と先生も看護師さんも仰っていたけど、きっとそういうものなんだろうな。

ただ、この日、担当して下さった看護師さんは、施術後に「なかなか効果が得られなくて、途中で離脱していく人もいるのよ」と、私にそっと耳打ちしてくれた。

「治るまでかなり時間がかかるよ」
と、初診で聞いた先生の言葉が、頭の中をグルグルする。

そうか、完治しない可能性もあるってことか。

だけど、まぁ気が済むまで、この療法に付き合ってみよう…と思ったのだった。


④へつづく


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