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小心者ランウェイ

ふと思い立ち、ウォーキングに出てみた。
近くにそれ用の道があるので都合がいい。

22時を過ぎ人通りは少ないながらも、ジョギングする男性とすれ違う。
走っている人は前方を見ているからいいものの、今すれ違った犬連れのおっちゃんはずっと歩きスマホ。
すれ違う寸前までわたしに気付きやしなかった。

てくてく。てくてく。
イヤホンで聴く音楽に合わせて歩く。

さて、もうすぐ折り返し地点。

と、数メートル先に犬の散歩をする母娘を発見。
歩くスピードからしてこのまま行けばわたしが追い抜く。
が、しかし、わたしはその手前の小さな交差点でUターンする予定。

わたしに気付かないといいな…

そう思った時だった。

交差点を渡ったところで犬が立ち止まり、マーキング…もしくは排泄作業を始めた。
まわりを気にして見渡した2人のうち1人(おそらく母)がわたしを見つけ、もう1人(おそらく娘)に道の端に寄るよう手招きする。
が、娘はなぜか母とは逆の端に寄る。
作業中の犬にもリードを引いて「行こう」と促すが、そこは犬、作業が終わらないから動かない。

こうして作業中の犬の横をすり抜ける用ランウェイが出来上がってしまったわけだが、すまぬ、そちらには行かぬのだよ。
すごい普通の服装でちんたら歩いているから帰宅途中の人に見えるかもしれないけれど、歩くことが目的のウォーカーだからね、突然不自然なところでUターンしちゃいます。

気遣いに感謝して(不審にみられるのがイヤで)もう少し先まで歩こうかしら、とほんの少し頭をよぎったけれど体は正直。
これ以上行くと股関節ガタガタするよー、と訴えている。
そんなわけなので、待ちの体制の2人の視線を感じながらも華麗にUターンをかます。

途端に月が見えた。
そっかぁ、今までわたし月を背負って歩いていたのね。
そして華麗にターンを決めたのね。

さっきまでの小心者は鳴りを潜め、その分ちょっと解放感。
背後で2人(と一匹)がどんな会話をしているのかはもう気にならなかった。

よし、コンビニ寄って帰ろうおうちへ。


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