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国家戦略2.0。常識を覆す新時代の国家の形(前編)

国家・国籍という常識

私達は生まれながらにして国家という大きな組織に属し、当たり前に生きてきました。日本で生まれたから日本人。タイに生まれたらタイ人です。

この事実において誰も疑うことをしません。それが当然のことであり、逆に生まれながらにしてどこに属しているのか分からなければ、はぐれものとして大変困ることでしょう。

国家があってそこに国民がいる

国民あってこその国家ではありますが、枠組みとしては国民は国家に所属するものなので、人間(支配者達)は国家が支配するテリトリーとし、国家が国民たちをまとめるというルールを国際的に作り上げたのです。

この常識をふまえた上で今回の記事はいつの時代か、その常識は覆されるという話をしていこうと思います。

今回の話は決して想像の話や架空の話ではありません。比較的平和な現代ではとうてい考えられないが実際に起こり得る可能性がある話なのです。

まずはこの新時代の国家戦略を説明する前に、国家の歴史について見ていきましょう。

日本国が建国されたのはいつ?

歴史通の方ならご存じかと思いますが、日本国が建国されたのは紀元前660年に神武天皇が初代天皇として即位した日とされています。

今から2682年前ですね。日本は世界の中で最も古い国家ともいわれているようです。建国されてから今に至るまで、幾度もの内乱を経て現在の形に発展し続けてきました。

最近では安易に天皇制の廃止を唱える声がネットで聞こえてきていましたが、天皇制を廃止することは戦争などが起こり、日本国が完全に占領されてしまったなどという国家滅亡の危機以外には廃止はあり得ないと考えるのが妥当です。

他国の建国はいつ?

話がそれましたが、他国の建国はいつなのかもチェックしておきましょう。

アメリカは、独立宣言が交付された1776年7月4日、フランスでは革命の発端となったバスチーユ監獄襲撃の日である1789年7月14日、ドイツは1990年10月3日の東西ドイツ統一の日、中国は天安門で新国家の成立が宣言された1949年10月1日。

以上のように、アメリカもまだ国家として産声をあげてから200年もたっていないわけです。非常に歴史が浅いことがわかります。

逆に日本は他国と比べると長い歴史を持つ国という話ですが、それでも2682年前の日本は全く現代とは違うものですので、国際的に国家として位置づけられるようになったのはもっと後のことです。

なぜわざわざ国家の歴史の話をしたのかというと、私たちが生きている現在の発展した国々が形成されてから私達が生きている間にも国家の形は少しずつ変わってきているのです。ドイツの統合やソ連の崩壊などが良い例ですね。

国家は不安定なもの

国が形成されてからも、戦争などは頻繁に起こり国家間での争い絶えず続いてきており、現在でも紛争地域が存在しています。また、これから来るかもしれないという台湾有事やウクライナ危機なども国家に大きく影響するであろう事例です。

つまり、国家は永遠に不滅なものではなく短期間で衰退したり、戦争で滅亡したりする不安定なものであると言うことなのです。

日本が敗戦してからまだたった75年しかたってないわけですから、いつまた戦争が起こってもおかしくないですし、戦争が全く起こらない未来の方が難しいと考えるのが歴史を知る者にとっては当然なのです。

このままだと日本は間違いなく衰退する

さて、歴史の勉強をしたことがある人なら誰もが知っていますが、現代に至るまでに数多くの文明が誕生し国家を形成してきました。

しかし、多くの文明は繁栄したあと衰退し滅亡しました。かつて何千年も滅びずに今なお、同じ形として残っている国家があるでしょうか。

日本は島国であるが故に侵略支配されたことがありませんでしたが第二次世界大戦の敗戦によりアメリカの統治下に置かれました。1945年から1952年の出来事です。

また、中国も中国三千年の歴史などと言いますが、中国も内乱が幾度と無く起き、外国とも戦争をし、そして歴史の中で栄枯盛衰を繰り返してきました。

そんな中、現代の日本は高度成長期からバブル期まで繁栄を極めましたが、それもつかの間、少子高齢化により人口減は予想通り進み、経済規模は縮小し、国際的な競争力もこのまま行けばどんどん下がる一方であると、ほぼ正確な正しい予測ができています。

衰退する未来が見えている日本はこれからどうすれば良いのでしょうか。そしてそこで今まさに生きている国民たちはどうすればよいのでしょうか。

理想の国家

国家には理想があります。『全ての国民が豊かに幸せに暮らせること』がどの国も目指すところではないでしょうか。そのためにどのような政治体制がいいのかどのような経済政策がいいのかを議論し実行しそれぞれの国が国家の歴史を作り上げてきました。

しかし現実はそう甘くはありませんし、理想通りに行くとは限りません。経済破綻をする国、天災によって国家が壊滅の危機になる国、侵略を受けて併合される国もあります。さまざまな理由により国家は理想の形を維持し続けることは簡単なことではないのです。

国家の状態を国民目線でみた場合、自分たちの生活が苦労していたりすると政治が悪いとか、政策が悪いとか、さまざまな思いを国にぶつける人もいるでしょう。

確かに国の経済状況や国民の生活状況が悪化している原因は政治家や政策にあるともいえます。しかしすべて政治家の責任ではなく国家を形成するすべてにその要因があるのです。

理想を掲げ、国を代表して運営するも思い通りにいかないことで政治家達は頭を悩ませるでしょう。そして国民は今の日本はどこに行くのか不安で心理的な迷走状態にあると感じる方も多いかと思います。

民主主義の弊害

日本の国家体制としての民主主義による弊害が現れてきていると唱える研究者もいます。政治家が悪い、政策が悪いと国民が声を上げても、結局その政治家を選んでいるのは国民であり、自民党からの脱却が図られていません。一時民主党が与党になった時もありましたが、特に代わり映えもせず、あっという間に民主党政権は終わりました。

民主主義とは多様な国民の意見の中、多数決で決めていくというのが本筋の決定手段です。ここでよく考えてみてください。

多数決で決めるということは少数の意見は潰されるということです。つまり少数派は不自由な思いをして民主主義という名の国家で暮らしているということなのです。

しかし、近年のデジタル社会では少数派も大きく声を上げることができるようになりました。少数派であってもネットを介してSNSなどで意見を堂々と述べることができる社会へと変化したからです。

デジタル社会は国家運営において
多大なる影響を及ぼす技術革新となった

日本の民主主義の弱さ

日本の民主主義の弱さはデジタル社会によって露呈してしまいました。少数の意見であっても、ネットを通じた言論の力は政治を動かすものにとって無視することができないものとなったのです。

そして白か黒かを選択しなければならない状況で、両方にいい顔をする政治が目立ってきました。政治家の風評に多大に影響するようになったからです。決定を下さなければならない政治指導者たちが決定しづらい状況になってきたのです。

具体例を挙げるとキリがありません。

最近ですと細かい話だとオリンピック開催、ワクチン接種、コロナ対策など頭が痛い問題が山積みでしたね。そして国が抱える大きな問題として格差社会、少子高齢化問題、社会保障問題など国家としてどう対応していくのか。

頭が痛い問題が山積みで私なら政治家にはなりたいと思いません。なぜなら国民すべての人に良い政策をとることは不可能ですから、どこかに政策によるしわ寄せが行くことになるのです。

※参考までに日本の国家戦略プロジェクトのPDFを貼り付けておきます。

リーダーシップが不足している

実は全ての国民が状況を正確に把握し、取捨選択ができる能力を持っているのであれば政治指導者たちは頭を悩ませることはありません。しかし国が抱える問題は複雑かつ、長期的につみ重なってきた経緯もあり、多くの国民はすべての状況を把握せずに断片的な情報や側面からだけみた情報で物事の善し悪しを判断しがちです。

多くの国民はどうすればいいのかの正しい答えや選択を理解できずに判断しているのです。そもそも政治指導者たちがわからないものをどうして多くの国民が理解することができるのか。

わからない例をあげるとコロナがどう変異するかや富士山がいつ噴火するかなどは誰も予測できないことなのです。起こってみてはじめて経験となり、どのように対応すればよいかをそこから考える。非常に難しい対応策を迫られています。ノストラダムスが生きていたらよかったですね。

今日本だけではなく予測不能な事態に対して、力を発揮するリーダーが必要であり求められているのです。しかし前述した通りデジタル社会で右向け右!で右を向くような社会ではありません。

ちょっと物議を醸し出す言い方をあえてすれば、「民主独裁主義」とでも言えば良いでしょうか。強力に決定できるリーダーの元、人権を保証するような国家体制が求められるようになるのではないでしょうか。独裁というと聞こえが悪いですが、民主的に選出されたリーダーであれば、国民の同意のもとの話です。

決められるリーダー

社会全体のためと言いつつも必ず政府が打ち出す政策のしわ寄せが行ってしまう層がありますから、その人達の不満を受け止めつつも、政策を強力に推進していくと言う強いリーダーシップです。

民主主義は一見自由で公平で良いと言うイメージがありますが、自由を広く許容するが故の多様性と曖昧さが、デジタル化も相まって国の推進力・決定力を低下させたのではないかとも思えてきます。

リーダーシップを発揮できる国の政策推進環境を整えなければ、本当の意味で賢い人たちは誰も好んで政治家になろうとはしないでしょう。

余談ですが、すでにデジタル時代です。国民の考えや思想を可視化し、数値として国が傾向を吸い上げ、政策実行できるような形を作ることができれば、日本国民はきっと納得し国の政策を受け入れるでしょう。

これがなかなか実装されてこないのではありますが... 

さあ、この国家2.0前編では、今の国家のぐらつきや優柔不断、推進力の減衰について記事を書きました。

次回後編ではいよいよ本題の国家2.0の斬新な発想や戦略について執筆致します。

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