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外出禁止令から約1ヶ月。 自分らしい/あなたらしいおうち時間の過ごし方



ここ数週間でニューヨークに住んでいるという理由から、何件か取材の声をかけていただいた。しかし実際私は週に1度しか外には出ないし、タイムズスクエアのあるニューヨークの中心部マンハッタンなんてしばらく足を運んでいない。わかることと言えば、自宅周辺の状況くらい。今のニューヨークの現状を語ることなんてできない。ネットでニューヨークの現状を事細かく話してる人を見かけるとどうやって知ったのか気になってしまう。それほどに部屋の中で過ごす時間が多く、今住んでいる地域の情報でさえ画面越しでしか知ることはできない。治安が悪くなったのか、差別が起きているのか、病院が大変なことになっているのかなんて自分の目で確かめようもないのだ。


強いていえば、家の近くのランドリーやよく利用していた生鮮食品のお店が再開未定の閉店をしてしまいかなり不便なのと、スーパーや薬局の前に均等にひかれたソーシャルディスタンスの線の上で等間隔で並ぶ人たちに違和感を覚えるくらい。数週間前まではニューヨークという街で人々が口を覆い隠しているという事実に衝撃を受けていたが、今ではだいぶ見慣れてしまった。逆にマスクをしていない人に目がいってしまうほどだ。


さて、そんなニューヨークは外出禁止令が出されてから約1ヶ月が経とうとしている。初めは外に出られない息苦しさや、不安をそそる様々なニュースによって憂鬱な気持ちを抱えながら生活をしていた。これからの不安やコロナという未知のウイルスに対しての恐怖と戦いながらの日々。しかし人間というものは本当に面白いもので、今やこの生活にも慣れ、当たり前に大学に通い友人に会っていた日々が思い出せないほどに体が順応してしまった。時間が余りすぎてどうしようという悩みも、オンライン授業を受けたり、課題をしたり、自分が興味のある分野の勉強をしたり、だらだら過ごしたり、意外と忙しく日々を暮らしている。


知らぬ間に家の近くの桜の木が緑に変わり、庭に色とりどりのチューリップが咲き乱れる。私がこうして家に閉じこもっている間にも他の生命たちは時間の流れとともに変化し続けているのだろう。彼らは今人間界で起きていることを知る由もないので当たり前といえばそうなのだが、なんだか自分だけが取り残されている気持ちになったりならなかったり、、、。だからこそ今私にできることはこの状況下で立ち止まるのではなくどんな一歩でもいいから前に進むことなんだと言い聞かせた。


「置かれた場所で咲きなさい」


ノートルダム清心学園理事長も務められた渡辺和子シスターの言葉だ。「自分が今いる場所で自分らしく花を咲かせうよう。」 私自身この言葉に救われたことは幾度となくある。だが、もちろん状況によってはこの言葉に縛られてしまう恐れもある。辛くて苦しい状況にいる時、抜け出せるのに抜け出せない環境にいる時、そんな時に踏ん張って同じ場所に止まる必要はない。過去に辛い状況に置かれ、この言葉を何度も心の中で繰り返していた時期があった。その時は結果この言葉に救われることはなく、むしろ自分の身をその場に抑えつけているだけだと気が付いた。しかし、変えることのできない現状にいる今はまさにこの言葉が適用すると思っている。現在世界中の多くの人がこの状況下に置かれている。みんな条件は一緒なのだ。だからこそこの状況で自分らしく花を咲かせてみようという意気込みが大切だろう。


またこの言葉もかねて紹介したい。

“It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent; it is the one most adaptable to change.”

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びる訳でもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。

これはリチャード・ダーウィンが残したと言われている言葉である。実際はダーウィン自身が残したものではなく、後のアメリカの経営学者がダーウィンの考えを独自に解釈して論文に記した言葉なのだが、私はこの言葉も今の状況に当てはまるのでは無いかと考えた。


変化といわれると「一目でわかるような変化」を想像しがちだがが、そうではなく周りの環境に徐々に順応することこそが変化なのである。自分の力で変えることのできない状況に置かれた場合、その環境に身を委ねられるか否かで心の余裕も変わる。どんなに悩んでも変えられないものは変えられない。それならその状況を受け入れてしまい、楽しんでしまえばいい。


もうちょっと寝ようとか、少し気になっていた分野に触れてみようとか、懐かしい友人と久しぶりに連絡を取ってみようか。部屋にいる時間が多いから紫外線から肌が守られてて若返る〜って思ってみてもいいかもしれない。もしくは部屋に篭りまくってたまに外に出て新鮮な空気を吸うことで、太陽の光や風の心地よさ、自然の音を体で感じ取ってみる。普段はできない体験や感覚を今こそ味わってみる。次の日の授業や仕事のことなど何も考えず、一日中ひたすらベッドに寝転ぶ事だって普段はできない時間の過ごし方だし、この時間を有効に使うために何か生産性のあることをやらなくてはいけないなんて決まりはどこにもない。自分の心に指示を委ねて、思うがままに過ごしてみる。


自分らしく自分のペースで



せっかくなのでここでほぼ一人暮らしで外出は週に1度の私がおすすめする、今だからできる時間の使い方を参考程度にご紹介したいと思う。


1. いかに堕落した生活を送れるかチャレンジする

この自粛期間どのように賢く過ごすか、何をすれば生産性があるのか悩む人も多いと思う。しかし、何もやらないことも賢い過ごし方だと私は思う。朝ゆっくり起きて、二度寝する。レンジで済むようなもので食事を済ませ、ひたすらベッドの上で動画を見ながらゴロゴロ過ごす。人生でこんなに長い休みが来ることは滅多にない。いや、もうこないかもれない。学生の長い夏休みでさえ宿題に追われたり、友人と遊んだり、貴重な長期休みだからと張り切って有意義に過ごそうと何かしらに追われるものだ。だからこそ今このたっぷりある時間で様々な娯楽と触れ合い、体を休ませるチャンスなのだ。冬になると冬眠する熊たちのように。


2. 新たな言語にチャレンジしてみる

新たな言語を始めるのは意外と労力を使う。ここでポイントなのは少しでも自分の興味ある言語をやること。みんなが英語をしてるから英語をやるなんてことは必要はない。韓国のアイドルが好きだから何を言ってるか理解したいとか、フランス語の発音がお洒落だからやってみたいとか。そんな簡単な理由でいいから何か理由を見つけると少なからずモチベーションを維持できる。

私はこれを機にDuolingoというアプリを使い、スペイン語の勉強を始めた。もともとフランス語をかじった事はあったが、発音で躓いた上にあまり愛着が湧かずしばらく距離を置いていた。

Duolingoは世界中で約1億2000万人が登録している無料の言語教育アプリで、現在約60言語に対応。ニューヨーク市立大学とサウスカロライナ大学の研究によると、平均34時間のDuolingoでの学習は大学の1学期分の言語教育に相当すると言われている。アメリカに来てからフランス語基礎の授業を受けたことあるが、その時より自分のペースで進められるので効果を感じる。これを機に軽い気持ちで言語の幅を広げてみたいという方にはお勧めだ。

言語の習得を真面目にやるのが苦手な私は、文法書を購入してもほぼ触れずにいたが、このアプリは暇な時にサクッとゲーム感覚で楽しむことができる。また、並行しながら参考書を見ると復習にもなり一石二鳥。言語を始める時、たとえ軽い気持ちだとしても教材費にかなりお金がかかる。しかし実際はどの言語も基本的な文法は変わらないので、古本を気にしない方は古本屋さんで参考書を手に入れてこのアプリと並行するとかなりコスパがいい。ちなみに私はニューヨークにあるbookoffで購入した。


3. バーチャルコミュニケーションツールを駆使する 

今巷で話題のZoom飲み会。昔懐かしい友人たちと久しぶりに話したり、LINEを使い大人数で人狼を楽しんだり、ジェスチャーゲームやワードウルフなど対面で楽しむ遊びを画面越しでできるというのはまさに現代のテクノロジー社会だからこそ実現できる事。人狼をするのもわざわざアプリをダウンロードする必要はなく『人狼GM』を友達追加し、希望のLINEグループに招待するだけで自動でゲームを進行してくれる。なんて進化しているんだ。設定も様々あり、かなり盛り上がる。バーチャルにも関わらず、向かい合って同じ時間を共有することで実際に集まってる気持ちにしてくれる。

それだけではなく、毎日一定の時間に友人と時間を合わせ、媒体越しに共にに作業や筋トレをすることでお互いの士気を高めあえ、継続しやすくしてくれる。


4. サステナビリティについて学ぶ

私はここ最近日本にいる同世代の子がサステナビリティという言葉を知らないことに驚愕した。今世界で注目されているサステナビリティ。簡単に説明すると、「将来に渡って、良い社会と自然環境を保ち続けることを目指した取り組み」である。調べ出すとかなり奥が深く、これを機にサステナビリティに興味を持ち、環境問題に対して考えを持つことで、少しでも多くの人が自分も何かやってみたいなという気持ちに繋がればいいなと個人的には思っている。

たとえば、世の中に溢れる「ヴィーガン」や「ベジタリアン」の文字。これも実はサステナビリティーの一環だ。全く知識がなかったときは、お洒落なモデルさんが格好つけるためにやってるだけだろうと思っていた。身近にあまりお肉を食べない友人がいたとしても、彼女の気持ちさえ初めは理解できなかった。しかし、彼女の影響を受け、様々な知識をつけるうちに徐々に本当の意味をわかってきた。「ヴィーガン」になる人、目指す人にはそれぞれ様々な理由がある。アレルギー、動物愛護、そして環境保護。私は環境保護という点で刺激された。ヴィーガンが環境にどのような影響をもたらすのかを知るうちに、私自身お肉を食べる量が自然と減り、今はほぼ食べなくなった。知って理解を深めることは、自分が同じことをするかしないかは関係なく、自然と受け入れられる柔軟な思考に導いてくれるのだと身をもって感じた。


5. ミュージカルを無料で鑑賞

ミュージカル好きとしてお勧めしたいのは、ミュージカル界のレジェンドである作曲家のアンドリュー・ロイド・ウェバー氏がYouTubeにて期間限定で無料配信している彼の作品を観ることだ。YouTubeチャンネル"The Show Must Go On!!"において、彼の作品を期間限定で無料配信している。 

日本時間の毎週土曜に午後3時から1作品ずつ公開。現在まで『Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat』『Jesus Christ Superstar』『The Phantom of the Opera』などの有名作品を公開。彼はこの他に『CATS』『EVITA』など多くのヒットミュージカルを手がけているため、これからどんな素晴らしい舞台を私たちに届けてくれるのかとても楽しみだ。どの作品も週末の3日しか公開されないので、見逃さないように注意が必要だ。


以上、これがリアルな私の時間の使い方の一部である。実際は答えのない悩みや問題をただただ考え続けたり、ひたすら友人と電話したり、意味のない時間を過ごしてたりもする。世の中に溢れかえる模範のようなおうち時間の過ごし方。家でおしゃれな料理を作ったり、筋トレをしたり。無論自分が興味のない分野であればわざわざ流行りにのる必要はない。自分らしいやり方で今ある時間をゆったりと過ごせばいいじゃないか、と。案外数日だらだらと過ごしていると、だらだら過ごすことにさえ飽きてきて何か取り掛かり始めたりもする。だから今何かを始めなきゃなんて思わないで、肩の力をだらーっと抜いてみるのもいいのかもしれない。



今回記事を書くにあたり、どのような記事を書けば良いのか、なにを書けば上手く纏められるのかかなり悩んだ。しかし、今こうして自分の言葉で自分なりに記事を書くことでnoteの存在意義を再確認できた気がした。



(あとがき)

最後まで読んでくださりありがとうございました。先日更新するとお伝えしたにも関わらず、個人的な理由で更新が途切れてしまいました。心配してくださった方もいらして、皆様の温かさを身に染みて感じることができました。ありがとうございます。こちらは今もなんとか無事にニューヨークで暮らしています。

ここ数日で私のnoteに対する見方も変わり、私の気持ちをもう少し多くこのページに記していきたいと思えるようになりました。ですのでこれからも温かい気持ちで見守ってくださったら嬉しいです。


皆様にとって素敵な1日になりますように、、。



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