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こかじさら『負けるな、届け!』(双葉文庫)

新聞の双葉文庫の広告で目に付いた小説。リストラOLが東京マラソンの応援をきっかけに立ち直っていく小説、みたいなそういう感じ? なんじゃそりゃ? 応援で元気? いや、確かに応援で元気を貰えるのもわかるが、それが小説になるのか? タイトルもピンと来ない。この小説、単行本の時は『アレー! 行け、ニッポンの女たち』というタイトルだったらしい(加筆修正されているので内容は少し違うのかも)。単行本タイトルもわかりにくいが、せっかく改題した文庫本もわかりにくい! もっといいタイトルが付けば、もっと売れるのでは?

驚く位前時代的な会社で、ハラスメントといって差し支えない退職勧奨を受ける女たち。残留した人も、辞めた人も、会社、そして人事担当の理不尽さに怒り心頭。そんな中、別々の人生を送っている彼女たちが、他の人の東京マラソンの応援をきっかけに、マラソンに目覚め、そこから少しずつ立ち直っていく。物語の構造はやや類型的だが、友人の東京マラソン(先に品川に行ってから浅草行って有明に向かっているので、一昨年以前の東京マラソンだ)を、タイム表片手に曙橋、三田、日本橋、蔵前、豊洲、ゴール手前で応援。同行の友人の作った応援プランを見て、驚きあきれていた主人公は実際に応援に立ち会い、思わぬ気持の高揚に襲われ、その日の深夜、メドック・マラソンのエントリーボタンをポチって、それから走り出す。

何故メドックなんだよ、という、破れかぶれ具合が無理な展開にも見えたし、実際にどの程度の準備をして、どう当日を迎えたかのディテイルもやや都合よさすぎな感じではあったが、描かれているメドック・マラソンは魅力的で、いつか行ってみたいな、という気持ちになった。

そして、複数の登場人物が、それぞれにこの東京マラソンをきっかけにランニングに目覚め、練習したり、大会に出たり、応援したりして、マラソンと深くかかわっていくようになる。小説のクライマックスは館山若潮マラソン。東京マラソンに較べると随分地味な(笑)。でも、色々なエピソードをうまくたたむ、感動の大団円。カタルシスが約束された小説であった。

この本を読んで走ろうと思う人がいるのか、はよくわからない。でも、現在少しでも走る習慣を持っていて、マラソンの大会に出てみようかな、と思っていたり、身近にランナーがいて、大会に応援に行ったりしたことのある人ならうなずけるエピソード満載で、楽しく読めると思う。走るっていいな、という、あまりに単純な感想になってしまうところが、ひねくれ者のわたしとしてはやや悔しいのだが...。

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eneo

読書、ヴァイオリン、オーケストラ、ビーズ、マラソン、ウルトラマラソン、観劇、美術館、ガレット・デ・ロワ、顔ハメ、ちょっとだけ乗り鉄。
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