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増田明美『カゼヲキル』(毎日読書メモ(363))

増田明美さんの『カゼヲキル』(講談社、全3巻)、千葉のマラソン少女の成長譚。増田さんご自身を投影したところ、こういう風に訓練して成長していければよかったな、という願望等、ランナーとして思うところを色々盛り込んだ小説だと思う。
2007年~2008年刊行。文庫本になってないので、あまり知られていないかもしれないが、増田さんを知っている人、マラソン走ってる人などは共感しまくりの小説だと思う。Kindleで読めます。

『カゼヲキル 1 助走』:増田さん本人の自伝的小説かと思ったら、携帯電話とか使っていて現在の中学生の物語でした。小説としてちゃんと読みやすく、特訓の様子とか、経験者ならではの描写にひたすら感心。美岬はこれからどんな成長をしていくのかな、続きが楽しみ。また千葉県民なので、天台の競技場、昭和の森のクロカン(名前をかえてあったけど)にも親近感。(2009年10月)

『カゼヲキル 2 激走』:進学を決めるところから、練習で悔しい思いをするところ、駅伝のシーンまで、電車の中で読みながらずっと涙ちょちょ切れでしたよ! 佐藤多佳子『一瞬の風になれ』を読んだ時も感心したが、体育会経験のないわたしには、陸上部ってとにかくとにかくこんなに訓練するんだ、と読んだだけで卒倒しそうです。(2009年11月)

『カゼヲキル 3 疾走』美岬が勝っては涙、挫折しては涙。あんまりスポーツ観戦しないわたしですら知っているエピソードが出てきたりして、モデルは結構くっきりしている。しかし別にモデルの詮索はどうでもよく、10年かけてマラソンのための肉体を作る、という、トップアスリートの世界をしみじみ体感。素人が1年位でマラソン完走するのとは全く別の競技なのだと思わされた。勝たなくては意味のない世界! 健全な精神でそれを乗り切れるか、というのがこの本のテーマでした。(2009年12月)

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