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エノコロの庭1~自己紹介・目指す庭の形~

はじめまして。
静岡県にてエノコロ庭園設計室という屋号で個人邸の外構・庭の設計をしています。大人から子どもまで親しみのある、素朴でかわいらしいエノコログサ(ネコジャラシ)の美しさが味わえるような庭造りをしたいという思いから、この屋号を名付けました。
2023年に自邸が完成するとともに、自身の庭造りがスタートします。せっかくなので、庭造りと庭との暮らしを記録してみようと思い、noteを始めます。

自己紹介

私は幼少期からずっと団地やマンションで暮らしてきました。小学生の頃から植物が好きで、学校で植物の種が配られるといそいそとプランターに撒いて育てていました。夕方5時に遊びから帰ると、水を上げるという日課にしてベランダガーデニングを楽しんでいた記憶があります。時にはバケツで稲を育てたことも。大学では再生生態学研究室に所属し、森林をフィールドに研究をしました。

その後は庭・外構の設計施工の仕事に就くことになるのですが、庭のある暮らしをしたことが無いので、憧れは募るばかり。庭があったらこれを植えたい、あれをしたい、と夢ばかりが膨らみます。そしてこの度、自邸が完成することとなり、憧れの庭のある暮らしが始まることになりました。

目指す庭の形・暮らしの形

・心地良い庭

家は同じ市内の建築家さんに設計をしてもらいました。今までの施工物件を拝見し、ぜひこの方に依頼したい!と思いました。とてもお話しやすい柔らかな雰囲気のベテラン設計士さんで、打ち合わせ中は先生と生徒のように錯覚したものです。その設計士さん曰く、「凝ったデザインは飽きるし、好き嫌いがある。心地良さは万人に共通する感覚で、時間が経っても変わらないもの。心地良さを追求する設計をすればブレない。」とのこと。な・な・なるほど~。

そうして作られた心地良さを大切にした家。庭も同様に、凝ったデザインではなく、いつまでも変わらない心地よさを感じられる庭にしたいと考えています。

・自然素材を使う

心地良い庭という話に繋がりますが、デザインよりも素材感を大切にしたいと思っています。やはり凝ったデザインは飽きがきたり、流行り廃りがあるものですが、本物の素材感というのは時が経つにつれて味わいを増していくものです。石・木・土・植物を使った素材の良さを感じられる庭を目指します。
自然素材、特に天然木はメンテナンスが避けられません。自分たちでメンテナンスが出来るような工夫もしていきたいと思います。

・収穫できる庭

とにかく私が憧れまくっていたのが、家庭菜園や果樹栽培です。子どもと一緒に野菜を植えて育てたり、収穫したりしたいのです。今もベランダでイチゴを栽培し、小さな小さなイチゴを収穫しています。時には収穫する前に鳥に食べられたりして、そんなことも楽しく感じます。

・地域の生物多様性に貢献できる庭

大学ではもともと環境問題に興味があり、生態系の研究室に所属していました。昔ながらの暮らし的なものにぼんやりとした憧れはありますが、現代を生きる人間が暮らしていく以上、山を削ったり、田畑が宅地になったり・・・ということは止められません。その中で、少しでも人間と他の生き物が共存しうる場というのが庭なんじゃないかと思っています。連続した大きな自然が無くても、飛び石的に生物が生息できる場を庭で作りたいと思っています。
私の家は、普通の住宅地の中にあります。その中でも、鳥や虫や爬虫類が過ごせる場としたいと思っています。

・在来植物を使う

社会人になってから、ニュージーランド及びアジア周辺をワーホリ&バックパッカーしていた時期があります。日本では観葉植物として扱われている植物も、現地では露地植えで生き生きとしているのです。日本では高級なランもそのへんで普通に生えていたり、日本では低木扱いの木も見たこともない大きさになっていたり、植物は適した環境で一番キレイなんだな、と実感しました。私も珍しい植物には魅力を感じますが、一番育てやすく、ありのままの美しい姿でいてくれるのは、その場所に適応した在来植物です。自身の庭は在来植物を中心に設計をしていきます。
以前、大学の大大大先輩のプランタゴの田瀬さんとお会いする機会がありました。田瀬さん曰く「近くの山と同じような植物があると、訪れる生き物も変わってくる」とのことでした。植物の選び方は生物多様性にも関わってきそうですね。

・水と空気が巡る庭

大地の再生という環境再生手法をご存知でしょうか。矢野智徳さんという方が提唱しているもので、土の中の空気や水の循環を整えて、健やかに育った植物や菌糸によって大地を安定させる手法です(あってるかな?)。大地の再生には本でしか触れたことがないのですが、腑に落ちることも多く、大地の再生の手法を自分の庭に取り入れてみたいと思っています。
大地の再生は水の流れを大切にしています。まず水が浸透して流れていくこと、それに伴い空気が動くこと。これを妨げないような素材、設計をしていきます。

・家族とともに育つ庭

私は夫婦と現在4歳の息子と2歳の娘の4人家族です。もともと子どもはあまり好きではなかった私ですが、我が子の尊いことといったらないです。この子達と共に庭を造り、暮らしていきたい。子ども達が楽しく過ごせる庭、帰ってきたら懐かしいと思う庭を造れたらと思っています。

長くなりましたが、このような庭の形を考えながら設計をしてきました。現在は建築の引き渡し目前、庭・外構はこれから本格的にスタートするという段階です。心配性の私は、ワクワク半分、心配半分といった心境でしょうか。折に触れてお伝えしたいと思います。