「チエちゃんと私」
家の本棚には、吉本ばななさんの本が初期の作品からエッセイも含めて、ハードカバーと文庫でたくさん揃っている。
私にとって吉本ばななさんの作品は、これまでもこれからの人生においても、読むお薬みたいな存在なので、本棚に揃っているのを眺めるだけで、落ち着いたほっとした気持ちになる。
「なんだか心が疲れたな。」
「生きてくってなんか大変だな。」
「どうしてうまくいかないんだろう。」
こんなふうに心がほんの少しへたって、かわいたスポンジになりかけている時に、本棚の吉本ばななさんの作品から直感で(ここが大事)選んで読んでみると、その作品の中に、その時自分が気になっていたこと、言語化できずにもやもやしていた気持ちに、ふわりと寄り添ってくれるような文章に出会うことができるのだ。
今回の作品はこちら。
内省する自分、思ったことはっきり言ってしまう自分、投げやりになる自分、本質を見極めようと思考して行動する自分。
どれも自分であるけれど、職場にいる忙しい人たちの言葉には「○○さんって、~だよね。」のような、何かと個人を型に嵌めたがる傾向を感じることがある。
そのほうが楽だからだろうか。
そんなことを感じていたので、久しぶりに「チエちゃんと私」を読んだら、読後に少しすっきりした。
何回読んでも、はっとしたり、じんわりきたり、はらはら涙したりすることができる。
本ってすばらしいなと心から思い、そんな作品を届けてくれる作者と偶然にも同じ時代に生きているのがとても嬉しい。
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