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「推せる」北欧ブランドのメッセージたち

最近、理念やメッセージが素晴らしい北欧ブランドが多いことに気づいたので私が「推せる…!」と思ったブランドをいくつかピックアップしてみました。

北欧発のプロダクトはおしゃれなものが多いので単純にデザインが好きという理由で購入しても、もちろん満足いく買い物ができるはず。けれど、ブランドの想いに共感したものを大切に長く使う、そんな買い物の入り口になれば良いなと思います。

そもそも、北欧のデザインって何だろう

まず、日本でもてはやされている「北欧デザイン」の表面的な印象から一歩奥の世界を知ってほしいので、北欧デザイン全体の特徴をすこし。

シンプルで可愛くって、おしゃれ…それが日本での北欧デザインのイメージの大部分です。そのイメージも間違っていないのだけど、そもそも北欧デザインが生まれた背景には、北欧独自のライフスタイルが関係していると言われていて、それを理解するだけで選び方も使い方も変わるはず。

北の国々であるこの地域の冬は暗くて寒く、厳しい自然環境です。そんな中でいかに楽しく過ごすのか…というのは彼らにとって至上命題でした。結果、彼らは地域の資源である木材などを活用したあたたかみのあるプロダクトやシンプルで使いやすく、飽きのこないデザインを追求してきたのです。

また歴史ある建物の価値が高かったり、家具や食器を親から子へ受け継ぐ習慣もあることから、長く使えることも大事なポイント

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私はこの話を聞いた時に思ったのは、なんだか北欧のものづくりは、日本みたいだなということ。

台風や地震など自然災害の多い日本は、それに抗うのではなく受け入れ、共存する価値観を受け継いできたはず。自然の恵みを少しずつ頂き、巡る季節に生活をゆだねる生き方と、そこから生まれたものづくり。

因果関係があるかは分からないけど、結果としてお互いに木工が盛んで、シンプルで長く使えるものが多くある日本と北欧。北欧のものづくりは、私たちの目線から見ると親近感にあふれる存在なのかもしれない、と思うのです。

そんな使い勝手や親近感の中に、確固たるデザインの哲学が盛り込まれているのが北欧デザインを牽引するブランドたち。長く使うからこそ人の暮らしのデザインや、サステナブルな観点での思想がちゃんと根幹にあるのです。

前置きが長くなりましたが、推せる北欧ブランドを紹介していきます。

高潔なデザイナーの思想を引き継ぐ「Iittala」

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言わずと知れた北欧食器の代表格、Iittala(イッタラ)。

日本でもファンの多い普遍的で美しいプロダクトづくりの背景には、1930年頃にIittalaを率いたデザイン界の巨匠、アルヴァ・アアルトやカイ・フランクの哲学があります。

彼らの信念は、デザインはすなわち思想であり、かつ誰にでも手に入るようなものにすべきだというものでした。イッタラ・デザインの哲学の基礎を作ったのはアアルトとフランクのこの考えでした。すなわち、旧来の考えにとらわれず、美しさと機能性をすべての人のものにすることでした。

デザインとは思想……痺れざるを得ない…!この哲学が今もなお息づいているIittalaは、やっぱりシンプルで美しく、それでいて時代を超えても使えるプロダクトを届けてくれるのだなと、改めて納得しました。

出典:Iittala公式HP https://www.iittala.jp/

おしゃれをする心を持つ人を勇気づける「marimekko」

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フィンランド発のmarimekko(マリメッコ)。大胆なプリントとカラーは1度はきっと見たことがあるはず。「marimekkoなんて知ってるよ」と思うかもしれないけれど、ブランドメッセージを今一度よく読んでほしいのです…!

「誰がために振る舞うのではなく、自分らしく」
他の誰かの視線を気にして振る舞うのではなく、自分の人生を自分らしく生きて欲しい。マリメッコは日々の生活を美しく過ごすための秘訣を追求し続け、そして答えを見出しました。 例えば「忙しく過ごす平日にちょっとした楽しみを見つける」といった、実生活の中にあるリアルな感性を大切にしたいと考えます。 時には立ち止まって「自分のテイストに合っているだろうか」と考えてみるのも良いでしょう。 ただファッションに流され、誰かに気に入られるために自分を偽るのではなく、大胆に、自分自身の感性に従えば良いのです。

すべての女子を勇気づけるかのようなこのメッセージ、一体いつからこういう思想を持っているのだろうと思ったら…

設立当初から現在に至るまで、マリメッコは一貫したミッションを掲げてきました。時代に流されることのない、機能的でわかりやすいデザイン。 大胆なプリントや色使いを通じて、人々を勇気付け、幸せと喜びをもたらしたいと願い続けてきました。

設立は1951年なので、70年も前からおしゃれを楽しむ心をもつすべての人を明るく応援し続けてくれていたのかと思うと、改めて尊いブランドだなと思うのです。

出典:marimekko 公式HP https://www.marimekko.jp/


交点に立ち続けるバランス感覚で、文化を作る「Artek」

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前述のふたつと比べると、Artek(アルテック)は少し知名度が落ちますが、Iittalaを率いたアルヴァ・アアルトなどが創設した超超超重鎮ブランドです。ちなみに、考え方が好きすぎて私が今一番働きたい会社です。

アルテックは1935年、アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、マイレ・グリクセン、ニルス=グスタフ・ハールの4人の若者により「家具を販売するだけではなく、展示会や啓蒙活動によってモダニズム文化を促進すること」を目的に、ヘルシンキで設立されました。今日、アルテックのコレクションは、フィンランドの巨匠たち、そしてグローバルに活躍する建築家やデザイナーによる家具や照明器具、ホームアクセサリーが揃っています。それらは一様に、機能性に基づき、詩的なまでに明快なデザインです。創業者の精神を受け継ぎ、アルテックは今日でもデザイン、アート、建築の交点に立ち、未来への道を切り開き続けています

「モダニズム文化を促進する」という表現を、勝手に分かりやすく解釈すると「このブランドは現代の文化を作っていく」というようなことを言っています。それをアーティステックで手の出しづらいものを作るわけでも、安易な大量生産によって流行らせるだけでもなく、というバランス感覚。

言葉でさらっと言えるほど容易くないメッセージを掲げ続けてるあたりにブランドの強さを感じたりします。

ちなみにArtekの名前の由来は「アート(芸術)」と「テクノロジー(技術)」を掛け合わえた造語だそうです。それも好き…。

出典:Artek公式HP https://www.artek.fi/jp/


今回は私の心の琴線に触れた3つのブランドコンセプトをピックアップしてみました。新たに推せるブランドを発見したら、そのときはまた違う形でご紹介できればと思います。

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