見出し画像

短編小説│チョコ欲

普段から人間の3大欲求が満たされること
なく生きている憂羽(ゆう)が、
どうしても我慢できなくなる時期である。

街がチョコに染まる季節。
この時期になると、
とてもチョコレートが食べたくなる。
普段は殆ど食べることがないので、
この時期特有のもの。
きっとデパートなどの商戦の賜物だと思う。

デパートの上層階にある催事場。
普段あまり足を運ばないエリアに
この時期だけは通ってしまう。
キラキラと輝く宝石のような
チョコレート達が並んでいる。
パンフレットを見るだけでも
心のトキメキが止まらず、
食べてすらいなくても幸せになってくる。

海外の有名ショコラティエが作ったものや、
お馴染みの高級チョコレートブランド、
そして地元のパティスリーなども
出店している。

そこにいるのは大半が女性。
みんな必死に選んでいるのは
何チョコだろうか。本命チョコ、友チョコ、
義理チョコなどがあるが、
憂羽はもちろん、自分チョコを買う。
例の流行り病の影響で、職場で
飲食物を渡すことが禁止されているので
こちらとしてはありがたい。
正直言ってお返しはいらないので、
それに使うお金は自分の為に使いたい。

毎年1,2箱、気になったものを買ってみる。
特にこだわりはないが見た目は結構大切だ。
安いものでも1箱に数粒入って
2千円ほどするので、
見た目にトキメカないと買わない。

混み合うバレンタインより前に
余裕をもって購入し、
仕事終わりに毎日一粒ずつ食べるのが
楽しみなのだ。


1粒の中に様々な工夫が凝らされている。
偶に中に入っているものが苦手なときも
あるが、その場合は
今後買わないようにするだけだ。

海外土産で貰ったチョコレートが
衝撃のマズさで、
食べれたもんじゃなかった。
それを思い出すので、
買うときには慎重になる。
日本のメーカーならほとんど安心して
食べられるクオリティだからありがたい。
海外の製品は、高いものを少量。
本当、2粒くらいから挑戦してみる。
ブランド等に拘りは無いが、
美味い不味いは自分の舌しか信じられない
ので、他人のおすすめはあてにならない。

カリッと一口。
とろけるガナッシュは色んな味があり、
わざとリーフレットを見ずに食べるのも
楽しみである。この拘りや手間を考えると、
1粒数百円ですら安いように感じる。


そんなこんなで、また今日も1粒
いただきます。




もしかしたら今後、この主人公が出る物語が出るかも?
まだ未定ですが、他の短編なども少しずつ書いていこうと思っています。



SNSのフォローもお願いします

ツイッター


インスタグラム

https://instagram.com/eri_hanil?igshid=YmMyMTA2M2Y=


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?