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丸汁(がんじる)

 食生活が乱れているな、気持ちがおちつかないな、という時は、精進料理を作ります。

 先日畑仕事を手伝い、たくさんいただいた筍を水煮にしてあったので、それを使って丸汁(がんじる)を作りました。
 太めの筍の根元をすりおろします。ごりごり、ごりごり。
 地下茎から顔を出した竹の芽が筍。『新芽』という言葉からイメージする、柔らかい小さな芽とは程遠い、どっしり、ずんぐりした様子で地面から顔を出していました。それを台所で茹でると、筍と糠の香りが部屋中に広がったことなどを思い出しながらすりおろしていると、頭の中でもやもやしていたものが消えていき、ただ、ただ、筍をすりおろしているのです。
 おろした筍を団子状に丸めて油で揚げ、昆布出汁を注いだら丸汁の出来上がり。お団子を口に入れると、正真正銘の筍。筍を通して大地の栄養を吸収した気分になり、すっかり元気になりました。

 (丸汁の作り方は、藤井まり先生の『宗哲和尚の精進レシピ』を参照しました。)

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