【お茶の科学】みんな知らない緑茶のつくりかた
緑茶を知らない人はいないと思いますが、その作り方を知っている人は少ないでしょう。
そして緑茶づくりは非常に奥が深く、科学的に見ても興味深い点がたくさんあります。
今回はそんな緑茶の作り方について見ていきたいと思います。
緑茶の加工法
緑茶と言えばパックに入った茶葉や、はたまたペットボトルに入った飲料となったものを想像すると思います。
しかし、元をたどればチャノキという植物の葉っぱだったわけですね。それが多くの加工工程を経て、私たちのもとに届きます。
緑茶の加工法は基本的には次のようになります。
殺青→揉捻→乾燥
何やら難しそうな単語が並んでいますが、ここからは簡単に紹介していきますね。
殺青:茶葉を蒸す
「青を殺す」とは何やら物騒な表現ですが、この工程ではお茶の酸化を止める役割があります。
茶葉の中に含まれる酸化酵素を破壊するため、茶葉を蒸したり炒ったりと熱を加えます。日本の場合は蒸すことが多いようですね。
蒸し時間の長さによって味や香りが変わると言われています。
蒸す時間が短い(20~30秒)ものを浅蒸しといい、逆に長くなってくると深蒸しとか特蒸しと言います。
浅蒸しでは香りが強く渋めの味が、深蒸しになっていくと香りが弱く味はまろやかでこく深くなるようです。
そうはいっても自分が飲んでいるのが浅蒸しなのか深蒸しなのかわからないですよね。そこで指標になるのが茶葉の形やお茶の色です。浅蒸しの場合、茶葉の形は細長く、お茶は澄んだ色になります。逆に深蒸しの場合、茶葉は粉々になり、お茶は濃い緑色になります。
このような見た目の特徴からも自分の好みのお茶を探していくといいかもしれませんね。
また、この工程が遅かったり無かったりすると酸化が進み、烏龍茶や紅茶になっていきます。
揉捻:茶葉を揉む
お茶づくりには揉捻という茶葉を揉む工程があります。これは茶葉の組織を壊して、細胞内から成分が抽出されやすくします。
揉み加減によって味の抽出のされ方が変わります。
想像に難くないですが、強く揉むと茶葉が撚れ、味が抽出される速度が速く、一度目からお茶がよく出ます。そのため、この揉む工程は手作業であっても機械であっても重要になりますが、だからと言って強く揉めばいいというものでもないようです。
強く揉むと抽出速度が速いため、何度も入れることができません。逆に弱めに揉むと、ゆっくりと味が抽出される。何度もお湯を入れて味を出すことができるという利点もあります。
大量生産を前提とした場合は規格化されていると思いますが、手揉みで急須で入れるタイプの茶葉なんかは、揉み加減はシビアなようですね。
普段考えることもありませんでしたが、お茶の揉み方によって味が変わるというのは驚きです。高い茶葉を買うようなことがあったら乾燥した茶葉の形
なんかも観察してみると面白いかもしれません。
茶葉の乾燥
熱風乾燥により茶葉の水分の含有量を5%程度まで下げます。
乾燥工程を経て茶葉の香りをさらに引き立たせることができるようです。
こうして私たちの家庭に届く茶葉が誕生します。
ここでは大きな区切りで工程を紹介しましたが、実際にはそれぞれの大工程の中に細かな工程があり、現在では多くが自動化されているようです。
最後に
ここで緑茶の種類を見てみましょう。
これを見ると緑茶の中には数多くの種類があることがわかりますよね。
実は今回紹介したのは茶摘みをした後の煎茶~玉露の工程になるんです。
つまり、煎茶と玉露・抹茶の間の違いは茶摘みの工程で決まってくるということがわかります。
ということで、次回は少しさかのぼって煎茶と玉露・抹茶の違いについて見ていこうと思います。
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