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久し振りにネトフリ契約した ~9月に観た作品の感想置き場〜

映画館と配信を含めて年に20本程度しか映画やドラマを見ないのですが、
Lighthouse観たさでNetflixに入り、暇な日は何か観るようにしてました。

観たかった映画やドラマを一月で沢山観れたので、感想を書いていきます。
良ければお付き合いください。



Lighthouse (満足度: 8/10)

オードリー若林と星野源による対談番組。
現在の活躍からはかけ離れた鬱屈した20代を過ごした両名の、
過去に対するわだかまりや現在のモヤモヤといった等身大の悩みが、
6ヶ月という時間を通してその人自身とともに変化していく様を見れます。

二人のファンとしてそれぞれの思いが聞けることも勿論ですが、
悩みにもがく人が刻々と変わっていく様を客観的に眺められる点が、
形は違えど同じく悩みを持ち不安とともに日々を生きる自分にとって、
とても大きな意味を持つ時間になりました。

自分もこれから数十年生きて、それでもまだ「俺はこんなもんじゃねえ」と
心のどこかで思っている気がします。

この番組では全6話ある中のEp1~Ep5までに星野源による
各エピソードのトーク内容を受けての書き下ろし曲が当てられています。
星野源の曲としても、Lighthouseの各エピソードの曲としても、
どこかで拠り所を求めて本作を再生した視聴者にあてた曲としても
どれも本当に素晴らしい曲です。観た上でぜひじっくり聴いてください。


プロミシング・ヤング・ウーマン (満足度: 6/10)

性被害によって親友が命を落とした女性が主人である、
性加害とそれを容認する社会への復讐劇のような作品。

あらすじもロクに読まず評判だけで見始めたため、
冒頭の「泥酔したフリで男性を誘い込み持ち帰られるシーン」でてっきり
通り魔的事件を扱うスリラー映画かと思いました……

将来有望で成功が約束されたpromisingな女性が、
『女性である』ことをきっかけにレールから外れ(外され)、
あまつさえそのきっかけとなった『男性』は全てを忘れて成功を勝ち取る。

この構図はいろいろな作品で角度を変え様々なテーマで表現されてますが、
復讐劇をポップさで彩り、まったく救いのない最後すらどこか痛快なのが、
この映画としてとても印象的です。


映画大好きポンポさん (満足度: 5/10)

映画の都ニャリウッドでプロデューサーを務めるポンポさんのもとで、
自分には映画しかないと言う自信稀薄な青年が映画作りへ挑戦する作品。

話としては王道展開の一本道。
自信のない青年が映画作りに挑戦し、軽い挫折と成長、
大きな挫折と周囲の助けを経て飛躍し、名作映画が生まれます。

作品の特徴としては、観客を引き付けワクワクさせる画面構成や演出。
展開が明確なので画面を見なくても話は分かるのですが、
映画作りにおける試行錯誤やちょっとしたワンシーンまで、
すべての画面づくりが創意に富んでいて見ごたえ抜群でした。

また出演キャストの心構えや、映画監督にとっての作品時間の認識など、
クリエイター視点の映画哲学も作品に盛り込まれていて面白いです。

あらすじも知らない中でハチャメチャ流行ったことだけは知っていたので、
展開やギミック等で面白い作品かと思い込んでたため予想外でしたが、
観ていて楽しい映画でした。


ナイヴズ・アウト: グラス・オニオン

大富豪と友人達によってミステリゲームが行われる予定だった陸の孤島で、実際に参加者が殺される殺人事件が起きる。
名探偵ブランを主役としたナイブズ・アウトシリーズの第二弾。

名作ミステリを端々に感じる古き良きな雰囲気に溢れる前作から一転、
若い大富豪とその取り巻き、権力の象徴として借りて来たモナリザなど、
非常に俗物的で現代的な要素が多いです。しかも爆発まであります。

前作『名探偵と刃の館の秘密』が非常に好みだっただけに「おや?」と思う部分もありましたが、謎解きや伏線回収を含めストーリーはとても面白く、
「そういうことか!」という驚きもしっかり与えてくれるので満足です。


ウェンズデー (満足度: 9/10)

頭脳明晰で非常に冷徹な少女ウェンズデーが、
人狼や吸血鬼といった異端者が通う学園で起きた猟奇殺人事件を追う、
ファンタジーミステリ。

人狼を始め人外種が登場する学園を舞台とした作品の雰囲気によってか、
冒頭で『ハーマイオニーが主人公の暗いハリーポッター?』と思いましたが、
その魅力も十分ありつつ全く別の作品として完璧に構成されている作品。

まず最高の点としては一話でウェンズデーが披露するチェロシーン。
主人公と世界観のもつ暗く妖艶な雰囲気とともに、これから展開する物語の広がりを感じ非常にワクワクします。(映像がないので曲だけでも)

また一話の最後に5分程度の作品ダイジェストが挿入されているのですが、
これを見た段階で本作を途中で脱落する選択肢は無くなりました。

主人公を始めとしたキャラの魅力、掴んで離さないストーリー展開、
音楽と映像の美しさとあらゆる要素が素晴らしかったです。
(ウェンズデーもめちゃくちゃかわいいです。)

前述の魅力にあふれた1話から一息に展開する序盤は満点で面白く、
終盤1.5話分ほど天才ウェンズデーが突然アホちゃんになるのですが、
それを鑑みても終始とても面白かったです。

現在シーズン2の制作も決定しているため、次を心待ちにしています。


ハケンアニメ (満足度: 7/10)

天才監督王子に憧れ公務員を辞めアニメ業界へと転身した主人公。
彼女が初めて監督を務めるクールには、王子の新作アニメが決まっていた。
新人女性監督と天才監督の二者によるアニメが覇権を争う様を描いた作品。

片や新人監督かつ女性監督して現場からも懐疑の目を向けられ、
作品の質とは直接かかわらない宣伝活動までも精力的に担わされる一方で、
天才監督は自身が打ち立てた栄光の陰に悩まされて成功が求められ、
ただひたすらにクオリティを磨き上げるための挑戦と挫折を繰り返す。

そんな対比を通じ、アニメに関わる人々の熱意や困難を感じ取れる映画。
特に印象的な所として作中で両監督が手掛けるアニメが登場するのですが、
どちらもしっかりと面白そうなんです。

それもそれぞれの監督としてキャラクターや環境が投影された、
「期待値低めなちょっと滑りそうなアニメ」「凝ったファン垂涎のアニメ」という各属性は感じさせつつ、映像としてはとても面白そう。

また個人的に中村倫也と柄本佑の演技がとても良くて好きになりました。
特に柄本佑は今後も名前きっかけでいくつか作品を見たくなるほどです。


クーリエ: 最高機密の運び屋 (満足度: 7/10)

冷戦時代にアメリカとソ連の対立によって生じたキューバ危機を中心に、
第三次世界大戦目前まで進んだ日々を描いた実話に基づくサスペンス。

スパイ経験もないただのセールスマンであった民間人がCIAに請われ、
ソ連での営業を通じてアメリカや世界に対するソ連の破壊的計画の
機密情報を運び続ける日々がじっくりと描写されている。

銃撃戦にカーチェイスといったスパイ映画らしいド派手な演出はなく、
日々情報を運ぶ中でじっくり心臓が潰れるような恐怖心が淡々と描かれ、
衝撃的な映像はないにもかかわらずその静けさに愕然とします。

気軽に見てて面白い娯楽作品ではないかもしれませんが、
あの頃歴史の裏側で起こっていた出来事が見つめられる点で、
とても良い映画です。


花束みたいな恋をした (満足度: 7/10)

駅で終電を逃したことをきっかけに出会った男女の、どこにでもありそうで
きっとどこにもないだろう5年間の恋を描いた恋愛映画。

冒頭で中心人物となる男女二人が別れることが明示されており、
そこから過去二人がどうやって出会い恋に落ち、
そしてどう別れるのかが描かれています。

本作は出会いから恋を描く前半と、別れへと繋がる後半に大きく分かれ、
そこに共通するテーマとして『言葉』と『価値観』があるのかと思います。

主人公の男女はともにサブカルを愛し、世間的にはぱっと出てこないような作品名や人物名を通じて急速に仲を深めて恋に発展します。

現実でも、ある濃さを超えた上での共通点は『共通言語』を作りますよね。

『自分たちにしか通じない言葉』は相手を簡単に特別に感じれるでしょう。
それが同性であれば親友になるし、異性であれば簡単に恋愛へ繋がり得る。
作品内で扱われる『共通ワード』自体の面白さに加えて、
そんな視点で恋愛を眺める楽しさがありました。

そしてそんな関係は、相手の『言葉』が変わると途端崩壊するものでした。
「価値観が変わった結果に趣味が変わり言葉を失った」のか、
「共通言語を失ったから価値観が変わったように見える」のか。

多くの場合では前者の順序を想像しますが、
本作では「最初から価値観が一緒でなかったのでは?」という気もします。
趣味や好きなモノが一緒だからといって、価値観が一緒ではないですよね。

作品の後半では「『価値観』は違ったわけだけど、私達はどうする?」
という点がじっくり描かれています。

一方は「好きを捨ててでも安定で堅実な日々を」、
他方は「安定を捨ててでも毎日が好きで溢れる日々を」というスタンス。
本作ではどちらも折れることなくすれ違い続ける様子が描かれますが、
現実でもあるこの対立に「ではどう折り合いをつけるのか?」という問いをサブカルの視点から考えるのは、非常に自分事で考えがいがあります。

長くなりそうなので、この話はいずれどこかで纏めてしたいですね。
この話は喫茶店とかファミレスの端っこで人と喋りて~~~


クイーンズ・キャビネット (満足度: 6/10)

孤児院でチェスと出会い、圧倒的才能を開花させる少女を主人公とし、
冷戦期を舞台にチェスでスターへと駆け上がる様を描いた作品。

作中では、孤児院育ちで男性社会であるチェス界に身を置く孤独や薬物依存といった主人公の持つ負の側面と、圧倒的才能で敵をなぎ倒し名を轟かせる華やかな側面とが、テンポよく映し出されます。

そういった相反する側面が互いを蝕み、華やかな成功で負が加速する中、
結果として主人公を救うのはチェスを通じて築いた人間関係という、
非常にシンプルでオーソドックスな回答に収斂するのが印象的です。


AKIRA (満足度: 5/10)

第三次世界大戦を機に築かれたネオ東京を舞台に、暴走族まがいの非行に
走る少年たちが、軍の施設へ連行された友人を救うため動き出すSF作品。

とにかく有名な1シーンやセリフが多く、ネットミーム辞書的な存在に
なりつつあるが、将来の(今となっては現代の)日本を舞台とするSFとして、
その設定や描写力、なによりも現在の日本を写し見たかのような表現には
驚きぱなしでした。

「子供が突然世界を壊せる力を手に入れたら?」という作品は多く、
このAKIRAも最終的には子供らしい癇癪にまみれた喧嘩になりますが、
その中で描かれるSFとしての味が濃厚でたまりませんでした。


パーフェクトブルー (満足度: 8/10)

事務所の方針により突如センターを務めるアイドルグループを卒業し、
女優に専念することとなった主人公。
そんな彼女のもとに届いた脅迫文をきっかけに、
女優として活動する中で関わる人々が次々殺されていくサイコスリラー。

公開25周年を記念し全国の一部映画館にてリバイバル上映されている本作。
開始30分程度はとても単調に作品が進み、「つまんないし失敗したな~」と観に来たことを後悔していました。

ただ25年前の社会での『オタク』『アイドル』がどんな扱いだったのかが、登場人物の見た目やライブの描写を通じ表現されていて、
その視点では面白く見ていました。

しかし後半からは、物語自体にも釘付けです。
現実世界と非現実が入り乱れる様には、主人公と同様の恐怖と不安を感じ、
今観ている彼女は本当の彼女なのか?という臨場感はたまりません。

終盤の頃には物語における仕組みの全容も明かされるのですが、
その上で物語に説得力や魅力を与える描写がどんどん現れ、
終演頃には圧倒的な満足度と余韻だけが残りました。

最近では(もしかしたら人生で)一番疲れる映画体験でしたが、
その価値は十全にありました。



映画や連続ドラマ以外ではその他に配信ライブを数本見たりしたのですが、
このひと月は色々と観たいと思っていた作品を楽しめて満足です。

ネトフリ, アマプラ解約後1年以上なにも見ず過ごすほど『映像を見る』ことが身近でなくなってましたが、面白いものはいつ観ても面白いですね。

あとは完結してから一気観しようとため込んだVIVANTをいい加減観たい。
ついでにネトフリはひと月で解約しました。
次はトークサバイバー2。楽しみです。

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