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生き残る地方の条件【コラム#57】

主に3つ。「人口減」「超高齢化」「収入源」が理由で日本の市町村はなくなることが約束されている。

ちょうど先日愛媛の県庁所在地松山市の人口が50万人を切ったというニュースが流れた。1月に松山に行ったところだから話題としては結構身近。
ニュースでは「何か対策をしなければこのまま減る一方」と言っていた。
これがこのコラム書くきっかけになったわけで。

結論こう。「何か対策をしても減る一方」

何がダメかよりも、生き残る条件を書いた方がわかりやすいと思う。
東京、大阪、福岡の都市圏に近くてアクセスがよく、適度な自然があるところは生き残りやすい。東京圏では静岡と群馬が移住先として人気で、どちらも1時間で東京に出られる。
大阪はどちらかというと京阪神の3都市へのアクセスがいい田舎は生き残る可能性が高い。
福岡は政令指定都市の人気ナンバーワンなので当面心配しなくていい。周辺の市も同じ。

残りの政令指定都市の都心部は数十年は安泰だと見ている。
ただし北九州だけは別。財政破綻、治安の悪さ、産業の低迷で持ち直す見込みがない。
札幌は北海道中の老人が集まる。地方で生きていけないので病院や設備、インフラの整った札幌に出ざるを得ない。人口は増えるが生産性は上がらない。
名古屋は端折っていうとトヨタがハイブリッドで世界で勝負できる期間は安泰。EVが世界中どこでも落ち目なので豊田市はもちろん周辺の市町村も十分勝機がある。

ストレートに言うならその他の市区町村は全滅する。
正確には合併などを繰り返すが財政の改善が見られないままになる。

それで松山市は生き残る条件に入っていない。
もうひとつ生き残りにくい条件がある。
松山は以前書いたけど伊予鉄が利権地権を持っていて政治家の力が弱い。おべっかで回る連中は潤うが、下々には住みにくい街になる。単純に建物やインフラの老朽化が改善されない。そういう街に人は集まらないから人口は減る一方になる。
利権の嫌らしさは静岡県にもあるけども、自動車輸出が成り立ち企業が回っている間は利権者の支えによって行政も回るという逆順が成立するはず。
松山と静岡の違いは地政的なものもあって、日本ははるか昔から東海道が栄えるようにできているので位置的に安泰な条件もある。

さらに別角度。
生き残るが状況が非常に良くない、という芽も少し出始めている。
埼玉県川口市が代表的な例で、クルド人だけではなく外国人問題に街がやられてしまっている。日本人はいなくなっても外国人が流入する余地があり、存続はできるかもしれないが色々と問題を抱えることになる。

地方の良い例。
特に北海道の東川町が成功例として全国から見学にやってくるモデルケースになっている。写真、留学生、酒造の招致、建築家事務所の誘致など、おそらく行政に優秀な人がいて引っ張っているのだと思う。見せ方、展開の仕方も上手くて北海道では札幌と近郊の市を除いて唯一人口が増えている。
弱小地方は何か工夫をしなければ生き残れないことが明らかだけど、実際には「何か工夫をしても生き残れない」というのが事実。そしてほとんどの市区町村に「何かをする知恵も実行力も財源もない」。
落ち葉を売ってお金に変えた、という話題性は長続きしない。土地の名物を売る、も同じ。成功している行政もあるが、そんなのは極めて稀でしかない。

利権地権も地元をダメにするけども、まだ経済が回ってはいる。もうひとつの要素は市民の民度の低さ。政治というより人間関係に現れる。
単純な話、嫌なおじさんおばさんが一人いるだけで、その町村に移住する人はいないし、若者は去る理由になる。
古き良き日本はもちろん良い側面もあるけど、現代(特に若い人)に合わない古臭くて陰湿、閉塞的で高圧的な様子は町村滅亡の大きな助けになる。


なんだか絶望しか書いていないと思う人もいるかもしれないけど、案外そうではない。ただの事実として書いているし、ならどこの真っ当な場所に住むか?ということが問われるのは間違いないのだから、今から考えることが大事だろうと思う。
若者は家を買っていいのか、買うとしてその場所でいいのかということをよくよく考えた方がいい。仕事の選び方も同じ。仕事をするということはまだまだ基本として通勤するということだから、どの土地のどこに住むかということはもはや「生まれ育ったから愛着がある」ことと「将来の不幸」を引き換えにはできないレベルにまで高まっていると思う。


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