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ホテルに住むライフスタイル〜ひとつの新しい生活のしかた【コラム#048】

約1年ホテル生活をした経験、とは別に長期エアビー生活をした経験を「新しいライフスタイル」として書いてみようと思う。
外国生活の方も併せてどうぞ



■ホテルに住むということ


はじめて「ホテルに住む」なんていうことを聞いたのは、確か20代の頃に読んだ雑誌で作家の落合信彦氏がホテル暮らしをしている、というような内容だったと思う。それとも同じ時期にココ・シャネルが晩年をパリのリッツで過ごしたという逸話だったかもしれない。
初めてそういう考え方があると知った時、つまり若い時だったが、いまひとつピンとこない感触と、なんとなくこれは大事なことを言っているという気がした。

27で会社を興して余裕ができてきた29歳あたりのことだと記憶しているが、社員に「もうこれはホテルに住んだ方が良くないか?」みたいなことを言った。当時都内で引越しをよくしていたしなかなか良いところがなかった。いや、高層マンションなり高級マンションは経験していたけど、なんとなく落ち着かないというか安定しなかった。
そこで続けて「日に1.5万として月45万の家賃という感じになるな」と言ったら、社員に「日に1.5万コンスタンスなホテルなんかないでしょ」と言われた。
当時はまだ2000年代で、もちろんビジネスホテルなどでは条件を満たすところはいくらでもあった。物価メモとして書いておくと、恵比寿のウエスティンに安い時は3万ちょいで泊まれたし、同じく安い時で大阪のリッツ・カールトンは5万で泊まることができた。

そんなこんなで、時代は1.5万/1日を許してくれなかった。


■airbnb通称エアビーというサービスが出てきた


経営者をやっていた頃にも出張はあったが、全国くまなく行きまくるようになったのは個人で活動を始めてからしばらく経つ2009年ごろからだと思う。
全国の様々なホテルに泊まった。そこから10年ぐらいが経過してやっとエアビーとホテルのサブスクが出てきた。

17年ごろから外国に出ることが多くなって、長期滞在するようになった。最初のうちはホテルを使っていたけど、そのうちエアビーを利用するようになった。ホテルに対して内容と価格のコスパが良いと感じた。
物価が高い国や都市ではなかなかいい物件がないものの、場所によってはその国の伝統的な建物や新築高級と言っていいようなところに泊まることもできた。
そんな生活をしているある日世界でコロナが蔓延して、ちょうどシンガポールにいるときに帰国することになった。日本でもそのままエアビーで過ごすことにして、福岡、沖縄、河口湖、小樽、札幌でそれぞれ1か月ずつ過ごした。

結論日本ではコストパフォーマンスがとても悪い。物件の古さや汚さに対して価格が見合っていなかった。物件の数も十分ではないし、業者が入っていて他の国では感じないキャッチな表示など改善点もあると感じた。


■ホテルのサブスクサービス


22年ごろからホテルのサブスクサービスを利用することにした。個人的に使っていたのはこちら。

ある一定の料金プラス、ホテルのグレードによって価格が設定されている。価格のわかりやすさと検索のしやすさ、登録ホテルの多さを考えてここは一番使いやすいように思う。が、他にも調べればいくつか出てくるから、用途で比較すればいいと思う。

都心部でも10万円以内でステイできるケースもある。なので、学生でも十分に使えるし長期出張でも便利がいいように思った。
ここを利用して滞在したのは鎌倉、柏、旭川、高山。もしかするともう1〜2カ所あったかもしれない。旭川だけ1か月半であとはそれぞれ1か月滞在。価格帯は旭川以外がひと月22〜27万円(当時)だった。旭川がひと月14万円。もちろんホテルのグレードが価格を左右する。
ただ「予約が取れるかどうか」が結構なポイントで、人気の場所もそうだしシーズンにもよる。ただ当時はインバウンドが回復していなかったから、今はもっと取りにくいかもしれない。

敷金礼金が不要で、Wi-Fi、光熱費、備品(テッシュなど)が全て無料なこと、一切の掃除をしなくていいことなどを考えると結構なお得感はあると思う。逆に炊事ができない(※アパートメント方で炊事できるところもある)住民票を置くことができない、というようなデメリットもある。

子供がいると少し無理があるけど、ダブルインカムの夫婦なら都心に居心地のいい場所を借りて過ごし、掃除や備品に関する無駄を省いてスタイリッシュな生活をするにはもってこいだと思った。無駄に物も増やさずに住む。
しばらく経ってから帝国ホテルがアパートメントスタイルで部屋を貸し始めた。タイミングも当時は価格も見合わなかったのでスルーしたけど、とうとう昔求めていたホテル暮らしまで可能になったか・・・といい気分やら残念な気分やら複雑な気持ちになった。
確かオークラも似たようなことを始めたとどこかで見た気がするけど、半端なままにしておこう。気になる人は調べてほしい。


■土地に縛られる旧世代の考え方


オーストラリアにいると現地の人が「そろそろ引っ越そうか」と考えるときに、全く違う別の都市に移り住む話を何度か耳にしたことがある。次住みたい場所に移動する。家族がいてもそうする。
そして新開地での仕事は前職とは全然違ったものをする人がいる。以前はシティでオフィスワークをしていたけど、引っ越して観光ガイドになったという話を聞いたことがある。

国民のほとんどが30代で5000万程度の借金をするということが、おかしいことだと多くの人が気がついていないことが不思議だ。むしろするべきだし、そうするものだという風潮すらある。つまり家を買うということだ。
比較されるのは賃貸で、屋根付きの場所に住むだけで一生継続的にお金を払うことを約束する。しょうがなくはあるが不思議でもある。
しかも購買や賃貸が成立すると我々はたちまち「安心」する。安心と引き換えに可能性や自由を放棄しているようにも見えなくない。

ホテル暮らしは新しい考え方ではない。古くはシャネルがそうしていた。ただその当時は一部の金持ちだけに許された特権だった。落合信彦氏のコラムで読んだ時も、そこそこ事業が成功していた俺が難しいと思う程にはハードルが高かった。ところが今現在そのハードルは子供を大学に行かせる親が十分払えるほどまでに下がっている。
ホテルサブスクもいくつかあることを考えると、ビジネスとして成り立つぐらいには人がそういう選択を始めたということだ。

ホリエモンがホテル暮らしをしているとYouTubeで話しているのを見たのが2〜3年前だったと思う。現代であまり人と関わる必要がなく、娯楽が全てオンラインにあるなら環境が良い田舎に引っ越して十分やっていける、というようなことを言っていた。
未婚率が高まっていて、特にひとりの人は子供が成人するまでにかかる数千万を心配する必要がなく、余計なことをしなくていいホテル暮らしで良い生活をすることができる。この状況がスタンダードにはならないにしても、成長市場だと思うし、新しい可能性のある考え方をする人は増えておかしくない・・・そして増えてほしいと思っている。

外国生活の方もどうぞ。



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