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どうする?珈琲豆の短期・長期保存

エスプレッソエンジニアのMarkです。

今日はコーヒー豆の保存方法について解説します。コーヒー豆は、長期保存していても見た目で品質の違いはあまり違いが分かりませんが、焙煎から半年放置してあった豆を抽出したら、苦くてまずかった経験はないでしょうか?

珈琲も他の食料品と同じ、時間が経つと酸化劣化を通して成分に変化が生じ、品質も悪くなります。これが主な味や香の変化の原因です。

美味しいスペシャリティ珈琲も、保管方法次第で味と香りに天と地の差が出ます。

 基本、焙煎後は空気に触れない冷暗所に保存するのが一般的ですが、買ってもすぐに全部飲みきれない、旅行で飲めない期間がある等の理由で品質を犠牲にするか捨ててしまうのが一般的じゃないでしょうか。

ここでは、家庭でもできる短期(1ヶ月程度)から、長期保存(1年程度)する方法を紹介します。


劣化メカニズムと保管環境


コーヒー豆が劣化する主な要因は酸化劣化と熱です。この二つを適切にコントロールさえすれば長期保存もそんなに難しくないです。

酸化劣化

豆は外界に晒されている間は常に状態が変化します。特に、空気中の酸素は豆の成分と反応しその促進を早めます。これが酸化です。つまり、豆が酸素に触れない状態にするのが最も適した保存条件になります。
 
ここでは簡単に3つの手法を紹介します。

  1. 豆の容器を真空に近い状態にする

    調理用の真空パックなんかがこの例です。厳密には完全に真空にするのは不可能ですが、珈琲も他の食品と同じようにしておけば酸素との接触を防げます。
    店頭販売のKey cofffeeの豆なんかはこの手法を採用しています。特に、弾いた豆なんかはそれ以上ガスが発生しないので有効な手段です。
    少し手間はかかりますが、一般家庭で長期保存するにはベストの方法です。

  2. 容器の豆と豆のスペースを別の気体で埋める

    イタリアのエスプレッソメーカーはこちらを採用していることが多いです。具体的には、不揮発性の窒素を封入しており、酸素を窒素で置換することで改善しています。
    焙煎後の豆の保管の時などように、二酸化炭素が発生してもコントロールしやすいように、ベント(内部の空気を逃す穴)を設けてあることが多いです。
    家庭でこの方法は、少々難しいでしょう。

  3. デッドスペースをなくす

     
    キャニスター内のコーヒー以外のスペースをそもそも小さくして、中の空気(酸素)量を少なくす方法です。小さい容器に移し替えると、デッドスペースが小さい苦なるので、その分酸素量も減ります。
    当然と言えば当然の方法で、最も手軽な手法ですが、あまり試してない人が多い様です。

適切なサイズのキャニスタを使用

 この方法は、1、2程の豆周辺の酸素を極限まで減らす方法とは違うので効果は薄いですが、短期保存なら最強の方法です。

熱・紫外線劣化

熱は豆の酸化劣化を促進します。特に日本の夏は高温多湿で、新鮮な焙煎豆もすぐに劣化させてしまい、カビの原因にもなります。

夏場は、短期で保管なのであれば冷蔵庫、長期保存であれば冷凍庫が適切です。ただし、条件として必ず真空にするか窒素置換してから保管する様にしてください。取り出した後は特に、すぐに開封せずに室温に戻るまで待ちます。(1〜2時間ぐらいでしょうか)

袋の中の空気に水分が残ると、取り出した時に豆が結露し痛めてしまう原因になります。

その他、紫外線によっても豆は痛むので透明の容器は避けた方が有効です。
中が見えにくい問題はありますが、クオリティ優先なら透明容器は避けよう。


豆の形状保存

豆は基本的に、使う直前に挽く様にしてください。
挽いた後溜めておくと、せっかくスペシャリティコーヒー等のいいを豆を買っても、安い豆よりクオリティは圧倒的に落ちます。

 ドリップコーヒー・エスプレッソ等用途に関わらず、豆をグラインダー・ミルで挽くと表面積が指数関数的に大きくなります。
つまり、酸素と合体する頻度が上がり酸化劣化を促進します。

焙煎後は、豆の形状を変えずに「焙煎豆のまま保存⇨飲む直前に挽く」を徹底してください。

エスプレッソ豆は基本的に粉の状態で販売はしていません。粒度が細かい粉は粗い豆に対して表面積が圧倒的に大きく、酸化劣化が直ぐに始まるため保存が効かないからです。

保存におすすめな器具と方法

長期保存 | 「真空」x「冷凍」

豆を大量に一括購入した時や、焙煎した時によく使う方法です。

真空に関してはキッチン用の真空パック機なら何でもいです。KitchenBossの製品なんかは、家庭でもお店でもよく使われてたりする。


短期保存 | 「非透明」x「適切サイズ」のキャニスター

日常に思い立った時にすぐ飲みたい。そういう時に便利なのがキャニスターです。室温で保存しておけばいいため、いつでも取り出せます。

基本的に、豆の容量にあった非透明の容器であれば問題ないですが、一つの容器で済ませたいという需要に対しては、EVAK(イヴァーク)というメーカーのPreparaというキャニスターも一つの手です。
蓋のレバーを一番下まで下げてデッドスペースをなくす構造なため面白い製品です。


 私は極限まで故障する部品やパッキンがない製品を選びたいので、今は廃盤ですが、「無印のポリプロピレンスクリューキャップ丸型弁当箱」を使用してます。

同等の容器ならなんでもありです。少ない豆には小さい容器、多い豆には大きい容器の使い分けの徹底です。

プラスチック容器は、軽く、非透明のものが多く、落としても割れないのが最強の魅力です。

過去に、FelloのAtomsキャニスターを使っていましたが、真空にするバルブが直ぐ壊れ、その経験から単純な無印の弁当箱にしました。

中期保存  | 「ジップロック」x「冷蔵 or 冷凍」

 今回は触れませんでしたが、焙煎後数週間程度であればこの方法もあります。袋保存は空気さえ極限に抜けば、キャニスター以上のデッドスペースをなくせるため有用です。

みんなのおすすめ保存方法は?


さて、今回すこし長く解説しちゃいましたが、みんなのおすすめの豆の保存方法があればぜひ教えてください!

Ciao, Ciao

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