江洲永一

空想と妄想による私的叙想集。 この物語はフィクションです、たぶん。

江洲永一

空想と妄想による私的叙想集。 この物語はフィクションです、たぶん。

記事一覧

村上春樹 - 海辺のカフカ #002

「村上春樹、読んだことある?」 読んだことはなかった。もちろん名前くらいは知っている。本のタイトルも数作は言える。頭にいくつか思い浮かべてみるが、もしかしたら村…

100
江洲永一
5年前

trf - CRAZY GONNA CRAZY #001

「あ、これ、わたしのことなんだよ」とナツミ先輩が唐突に言った。 少し呆気にとられた表情を浮かべている自分を見て、先輩は「ほら、この曲」と天井を指差す。店内にはtrf…

100
江洲永一
5年前

村上春樹 - 海辺のカフカ #002

「村上春樹、読んだことある?」

読んだことはなかった。もちろん名前くらいは知っている。本のタイトルも数作は言える。頭にいくつか思い浮かべてみるが、もしかしたら村上龍の作品が混じってしまったかもしれない。

「面白いから読んでみて」とスミレは二冊の本をぼくの前に差し出した。『海辺のカフカ』というタイトルだった。上下巻。けっこう分厚い。もともとぼくは他人から何かを勧められるのが苦手だ。断りにくいし、

もっとみる

trf - CRAZY GONNA CRAZY #001

「あ、これ、わたしのことなんだよ」とナツミ先輩が唐突に言った。
少し呆気にとられた表情を浮かべている自分を見て、先輩は「ほら、この曲」と天井を指差す。店内にはtrfの"CRAZY GONNA CRAZY"のイントロが流れていた。知っている曲だったが、はたして先輩のような人物が曲中で歌われていただろうか。気にはなったが特に歌詞を先読みすることもせず、同時進行で流れる詞に耳を傾けることにした。

きょ

もっとみる