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30日間の革命 #革命編 12日目

 「江藤さん、ちょっといいかな?」

 加賀は昼休みに江藤へ思い切って話しかけた。白の会の一件があってから、江藤とはほとんど話すことはなくなっており、突然の加賀から話しかけられた江藤は驚いた表情をしていた。

 「い、いいよ。何?」

 驚きながらも、加賀の誘いに応じてくれた江藤。加賀はそのまま、教室の外へと江藤を連れ出した。江藤は頭の中で色々と考える。何でこのタイミングで急に誘われたのか。何を言われるのか。もしかしたら、今更だが手崎の件について何か言われるかもしれない。それとも白の会を妨害したことかもしれない。そんな不安が頭の中を駆け巡っていた。

 人目のつかない場所まで江藤を誘い出すと、加賀は一息ついてから、話はじめた。

 「なんか、久しぶりだね。江藤さんと話すの」

 「そ、そうだね。最近は全然しゃべってなかったもんね」

 「最近はどう? 部活とか結構忙しいの?」

 「い、いや、もう最後の大会も終わって、私たちはほとんど引退した同然だから全然……」

 「そっか……」

 ぎこちない会話がしばらく続いた。どこか重苦しい空気が二人を包み込む。それに耐えられなくなった江藤が切り出した。

 「あのさ、今日は突然どうしたの? 何か用でも?」

 そう問われた加賀は、一回だけ息を飲み込んだ。

 「そうだよね。急にごめん。一個だけ話したいことがあって……」

 そして少しの間をおいてから、加賀は話を始めた。

 「……今さ、小春と二人でもう一回革命を起こそうとしてるんだ」

 「……はあ?」

 加賀の発言に江藤は思わず声をあげた。何を話すかと思ったら、革命を再び起こそうとしていることを打ち明けたのだった。それも、一番バレてはいけない生徒会に最も近い人物に。

 「え、ちょっと待って、今なんて言ったの?」

 江藤は少し混乱をして、もう一度加賀へ訊ねた。

 「……俺たちはまだ革命を諦めてない。これから、もう一回革命を起こそうと思ってるんだ」

 加賀は再び力強く答えた。加賀の答えに、江藤は混乱とともに、少しの怒りが込み上げてきた。江藤は拳を握りしめ、

 「はあ? ちょっと待ってよ。あんた馬鹿なの? 自分が何を言ってるのか分かってんの?」

 と声をあげた。それも当然。江藤は生徒会長である馬場と交際しており、白の会だった加賀や坂本の監視役を任されていた。それは加賀たちも十分わかっているはずなのに、一番バレてはいけない相手に自ら告白してくることが理解できなかった。

 「そんなことを私に言うってことは、馬場にも伝わるってことだよ? あんたそれ分かってんの?」 

 「……うん。だからこそ、落ち着いて話を聞いてほしいんだ。それと、今だけは生徒会とか白の会とか関係なく江藤ちゃんとして話しを聞いてほしい」

 「……はあ? 意味がわからないんだけど」

 相変わらず加賀の意図が読めず混乱している江藤。しかし、先ほどまでは「江藤さん」と読んでいたのが「江藤ちゃん」と変わったことを江藤も気づいた。

 腑に落ちないところもあったが、江藤は加賀の話を聞くことにした。

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