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30日間の革命 #革命編 4日目

 「ていうかさ、小春もいい加減LINEとかやってくれないかな? 学校じゃあんま話せないから、せめてLINEで話し合いでもしないと時間が足らないよ」

 加賀と坂本はこの日、一緒に下校をしていた。

 「LINE? それってどうやるの?」

 坂本はスマートフォンを持っていない。いわゆるガラケーを未だに使っている。そのため、LINEはおろか、ほとんどのSNSやアプリを利用したことはなかった。

 「そっか。小春ガラケーだったっけ。ガラケーってLINEできんのかな? 調べてみるよ」

 加賀はそういうと、自身のスマートフォンで検索を始めた。

 「うわ。もうガラケーでのLINEサービスってほとんど終了してんじゃん。やっぱガラケーじゃダメなんだ」

 「よく分からないけど、私の携帯電話じゃ使えないってこと?」

 「そうだよ。しかし、よく小春もガラケーで女子高生やれてるな。他の女の子たちなんてTwitterとかTiktokとかバンバン使ってんじゃん。話とかついていけてるの?」

 加賀は単純に気になっていた。坂本が普段、クラスメイトなどとどういう会話をしているのか。

 「その話についていけているかはわからないけど、今のところ日常生活に支障はきたしていないわよ」

 坂本は全く不思議そうな顔をして答えた。

 「……さすがだね。そういえば、普段小春って誰とよく話してるっけ?」

 「クラスの中だと、峰さんとか若葉さんとかかな」

 「へぇー。そうなんだ」

 加賀は意外に思った。坂本は基本、誰かとずーっと一緒にいたり、決まったメンバーの中にいることはほとんどない。坂本から名前の挙がった峰と若葉は、仲が良いことで知られていて、よく二人で一緒にいることが多かった。

 「ちなみに、男だと誰かと話したりするの?」

 加賀は興味本位で坂本に聞いてみた。すると坂本は少し眉をひそめて考えてから、

 「うーん……。男子ねぇ。今回のことで、森下くんとか神原くんとはたまに話したりするようになったけど、他の男子とはあんまり話したことはないかも」

 と答えた。加賀はそれを聞いて、少しだけ安心している自分がいることに気が付いた。

 「そ、そういえばさ、仙波さんとはあの後どーなったの? 多分、仙波さんが小春に近づいたのって、馬場の策略だろ?」

 隣のクラスの仙波美波は、少し前に急激に坂本と接近していた。隣のクラスにも関わらず、朝も放課後も坂本のところへ駆け寄り、加賀も近づきにくくなる程だった。しかし、それは馬場の策で、坂本と加賀の距離を遠ざけることや、手崎の問題から目を背けることが目的だった。そんな仙波は、馬場が生徒会長に当選した後、生徒会副会長に就任している。

 「そうね。私が選挙に負けてからは、向こうから近づいてくることはなくなったわね」

 「やっぱりなー。あの仙波さんが馬場の手先として動いているってのも、何か釈然としないな。だってさ、あのあと馬場は江藤ちゃんに乗り換えたわけだろ? それも策略で。それでも馬場のそばにいることが、何か納得いかないんだよな。何か馬場に弱みでも握られてるんかな?」

 加賀は不満そうにそう話した。加賀が不満に思うのも無理はない。仙波は元々は馬場と交際をしていた。仙波は学年のアイドル的な存在であり、そんな彼女が1年生と交際を始めたと、当時はかなりの噂になっていた。しかし、そんな馬場は現在は江藤と交際をしている。普通なら、その時点で馬場に協力することをやめると考えるのが普通だ。しかし、それでも仙波は生徒会副会長になり、馬場のサポートをしているのだった。

 「そうね。私も彼女と色々と話してみて、少し思うところがあるの。彼女と馬場くんを結び付けている何かがあるはず。それは恋とかそんなものじゃない。もっと強くて離れられない何かがあるんだと思う」

 坂本は少し思いつめた表情で話した。

▼30日間の革命 第一部
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