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【詩】花火の君

花火のようなあの人は
今もキラキラ輝いて
時々私の側を通り抜けていく


すれ違いざまに
「おはよう」
あの日と変わらないあの笑顔を向けて去っていく

一瞬の事だけどしばらく背中に暖かさを感じる


庭の椿がポトリ
雪の絨毯を少しずつ塗り替えていく

白の上の赤

雪が跳ね返す陽光で少し熱をもった花びらが
まだ生きているかのように見える

キラキラと辺りを照らす君は
雪のようでもあるんだね

私はまだ落ちたばかりの椿のように
君にキラキラと照らされて生きている

散らないでと願ったあの夏の時と変わらない想いを
今は庭の雪につぶやく


どうか
溶けないでキラキラ輝いて


いずれは水溜まりになる雪も
春の陽光に暖められていつかは消えていく
そう思った時
あの日の夕立ちが作った水溜まりにキラキラと反射した花火が目の前に輝きだす


はっとして空を見上げた
花火は登っていない
それでも私は寒空にあの日の花火を打ち上げる


君はいつまでもキラキラ輝いて
花火でも雪でもない太陽だから

あなたに照らされている人は
きっとたくさんいるよ
私みたいに

雲が出てきて遮るなら
私が吹き飛ばす
少し乱暴かもしれないけど
それぐらいしても足りないぐらい
君に助けられて生きている


もう叶わないあの日までの想いを伝えずに
別れの季節がやって来る


花火から永遠の太陽へ
君の笑顔がいつまでも私を照らす



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