ばなー

デザイナーは戦略を語れるべきか。ものをつくるのに必要なスキル。

ソフトウェアの開発をする会社の、デザイン部のディレクターというポジションになってから、ものづくりってどいうことかしらと考えて2、3年経つのですが、最近すこし視野が拓けた瞬間があって、それを周りの人に熱く飲みつつ語ったら、結構盛り上がったので note にしてみます。
こいうのは一度ハラオチしてしまうと、次からは意識しなくなってしまうので、生の経験のうちに。

デザインと言っても、関わる領域がとても広くて、クライアントからのRFP見ながら、提案を考えたり、ユーザー調査したり、色んな要件詰めたり、サービスのユーザーフローや画面フローを検討したり、サービスやデザインのコンセプトや、トンマナ策定したり、導線を考えて、ワイヤー切って、デザイン作って、開発と認識合わせながら、クライアントと合意を取り、指示書を作って、エンジニアと最終調整して、やっと1つのものがリリースとなります。
そこには多くの知識や経験、手法、適正が存在し、しばらくは訳もわからず、ただひたすらに手を動かして覚えてきました。
ディレクター1年目に、つまずいた課題は、だいぶ理解してきたとはいえ3年目にしてもまだまだ心にひっかかっています。

当時の、ディレクターがHCDの資格とったよ社内勉強会をしたときの、なんで取得しようとしたかの熱い思いを書いたスライド。

適当に道を探して選んで進んでいったら金脈みつけたみたいな。自分が作った最終的にできた「もの」はただの運に任せた制作物なんじゃないかしらね、どうなのかしらね、と思いました。

弊社にはスーパーなデザイナーもIQ200のディレクターも、ロジカルでハイパーなプランナーも、宇宙語を話すコンサルやマネージャーがいっぱいいるので、あとよくわからんけどすごいエンジニアとかPMとか。
一人一人に話を聞いたり一緒に仕事をすることで、なんとなく最近おもうことは、『あれ?デザイナーが戦略語れるとすごい楽じゃない?』です。

デザイナーから出発すると、最初は先輩の制作物を1pxずつまねたり、そのうち自分で少しずつデザインできるようになって、表現力を高めたり、設計力を高めたりしていきいます。なので、戦略とか考える余裕は皆無だったりしいます。なんていうか、下から見上げてる感覚になるんですよね。上流下流という言い方がわるいのかもしれない。本来はチームで動かないといけなくて、役割が別れているものではない。

以下はジェス・ジェームス・ギャレットの「ユーザエクスペリエンスの要素」という図です。デザイナーはまずは表層に強くなるし、下手したらそれがデザイナーというスキルでそれがすべてなんですけど。

よく思うのは、ものづくりは 戦略 → 要件 → 構造 → 骨格 → 表層 の順で行われていて、多くのサービスはそれぞれに役割が分断されていたりします。戦略はプランナーだよねとか、要件はディレクターだよねとか。

でもデザイナーのスキルセットで順に満たしていくとなると、表層 → 骨格 → 構造 → 要件 → 戦略 みたいな感じで順にだんだん気づいていきます。
だから2年前のわたしのようなデザイナー(ディレクター)が、どれが正解かわからないまま、ツルハシを闇雲に振り下ろす悲劇が起こります。デザインのアウトプットが戦略につながることを説明できない。なぜか?要件定義の段階で戦略の意味がハラオチしてないので、要件を表層しか見ずに分析・定義しない。

もちろんサービスには戦略を考える人がいて、その方がコントロールしてくれます(くれるはず)。そんなときに、このサービスは、どういうユーザー体験をさせるべきで、サービスのゴールは何で、それはどんな目的のためにつくるのかを、デザイナー(ディレクター)も一緒に語れたり想像したり分析したりして、ちゃんとハラオチしているとぐっとリアリティのあるものづくりができます。

デザイナーはプロダクトオーナーの人とかと、向かい合うのではなくて一緒の方向を見て、一緒になって熱心に語って画面のデザインだけでなく、戦略を理解することで、そのサービスだけのデザインだけじゃなくて、例えばサービスにまつわるノベルティなどとか、他にも必要なデザインを提案できたりします。

なので、デザイナーだから戦略がわからなくていいということはなくて、デザイナーだからこそ戦略を理解し、なぜその戦略が立てられてどういう要件になっているのかをキチンと1本の筋として理解し、
それを受けて、どんなものを作るのか?の引き出しを広げないといけないなと強く思いましたと、スーパーなデザイナーに飲み会でいうと「なんでわかってなかったんだろ?」って言われました。たしかにマネージャーも、強いデザイナーもいつも、いってたよなと思い出しました。
画面ばっかみて余裕なかったからですよ。精進します。笑。

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