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介護保険とケアマネジャーのあり方

2024年は介護報酬の改訂が行われる年です。
介護報酬は全体で1.59%の改定になることが示されています。
前回21年の0.7%から大きく増加する見込みです。
介護に携わる職員の報酬は決して多いとはいえない状況での報酬改定ですが、はたして介護現場の処遇は改善されていくのでしょうか。

介護保険制度について

介護保険の仕組みを振り返ってみます。
介護保険は社会保険であり、利用する人の保険料やサービス利用料のほか、国や都道府県、市町村からの給付で賄われています。
介護サービスを利用して生活を支えられることは良いことですが、サービスを利用する量が増えると当然、国などが負担する給付が増大します。


ケアマネジャーの役割

ケアマネジャーは利用者(支援の対象者)の自立した生活を支えるための適切なケアマネジメントを行うことを求められていますが、介護に関わる給付を適正にする役割も担っています。その一環として、介護保険で定められた公的サービス以外のサービス(以下インフォーマルサービス)を勧めることが望まれています。

介護保険のサービスだけでは十分な支援ができない場合もあるのですが、インフォーマルサービスを駆使できれば介護給付費の抑制に繋がることも理由にあります。

そして社会資源が足りないならば、自分たちで必要なサービスの提言をしたりして社会資源を開発して欲しいということです。

そんな難題が、ケアマネジャーの資格を更新するための研修内容にも組み込まれているのです。


理想のケアマネジャーとは

介護サービスを必要な分だけ利用して、あるいはインフォーマルサービスを駆使して介護が必要な人の能力や生活状況を向上させることができれば、優秀なケアマネジャーであると言えそうです。

そして利用者が介護される必要がなくなれば、まさに理想的です。
ところがケアマネジャーの報酬は、介護サービスを利用してもらうための計画書(ケアプラン)を作成し、サービスの利用が発生した時点で報酬が給付されます。

利用者が元気になって、介護サービスを使わなくなると報酬が発生しなくなります。

極端な話、利用者が全て自立してしまうとケアマネジャー自身が自立した生活をすることができなくなってしまいます。ケアマネジャーの給与の元になる収入が得られなくなるからです。


ケアマネジャーの課題

ケアマネジャーは制度の利用や存続のため、利用者に対して行政側に立った説明をして、利用者からの不満や苦情を受け止めないといけないことがあります。

ところが行政からケアプランやサービスの内容を指摘され、「不適切」がないかを問われる立場でもあります。常に板挟みになるようなポジションで、与えられる責任は重大です。

そんな相談業務をしたいと思う人は減っているのか、若い世代のケアマネジャーが少なくなってきました。

今の介護業界で働くなら、介護職員の方が給与が高いケースもたくさんあります。
そうなるとわざわざケアマネジャーになろうと思う人は少ないようです。
少なくとも、自分の周りの地域ではケアマネジャー不足、特に40代以下の若手不足が目立つようになってきました。

そもそもケアマネジャーに限らず、介護保険に関する仕事はストレスに晒されやすく、それでいて給与面も課題があります。

あらゆる業界で人手不足が深刻化していくなか、ケアマネジャーの存在をどのように維持していくのか、模索が続きます。

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