柿色社会

心の在り方を模索しながら人の役に立てまいかと、福祉に関わっている。介護福祉士、介護支援…

柿色社会

心の在り方を模索しながら人の役に立てまいかと、福祉に関わっている。介護福祉士、介護支援専門員。社会、心理、哲学に関する話題や人文科学を好む。カメラが好きで写真も撮る。平和な社会になって欲しいと願う。

最近の記事

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介護保険とケアマネジャーのあり方

2024年は介護報酬の改訂が行われる年です。 介護報酬は全体で1.59%の改定になることが示されています。 前回21年の0.7%から大きく増加する見込みです。 介護に携わる職員の報酬は決して多いとはいえない状況での報酬改定ですが、はたして介護現場の処遇は改善されていくのでしょうか。 介護保険制度について 介護保険の仕組みを振り返ってみます。 介護保険は社会保険であり、利用する人の保険料やサービス利用料のほか、国や都道府県、市町村からの給付で賄われています。 介護サービスを

    • デフレは抜けられるか。介護現場の利益と働き方を考える。

      いよいよ新年度が始まります。 春闘では賃金アップの動きも見られ、株価も上昇しているようです。 日銀もマイナス金利政策を修了することを打ち出しました。 介護報酬も全体で1.59%のアップと謳われています。 介護従事者への処遇改善加算も手厚くなるとか。 上昇の気配が感じられますが、果たしてどうなることでしょうか。 案外減っている? 今、4月の利用票・提供票を見直しています。 当事業所で使用している介護ソフトは3月末にバージョンアップがあり 4月からの報酬が反映されるようになり

      • 雑記帳「世界スズメの日 世界は多様性に溢れている」

        3月20日は世界スズメの日だそうです。 今日初めて知りました。 世界にはいろんな記念日がありますね。 健康のため休日はなるべく外を歩くようにしているのですが、 ただ歩いているだけでは飽きてくるので そうだ鳥を撮ってみようと思い立ち、最近は鳥をよく撮っています。 住んでいるところは田舎なので、 歩いていると とにかくいろんな鳥の鳴き声が聞こえてくるし カサカサと茂みのいたるところで音がするんですよね。 鳥を撮り歩いてみると、身近にもいろんな種類の鳥がいることに気づきま

        • 追悼

          庭に水仙が咲いている。 今年はいつもよりたくさん、いっせいに花がついた。 この水仙は、神戸にあった実家の庭に植えてあったもの。 球根を持ち帰って、うちの庭に植えたものだ。 阪神淡路大震災のあの日、実家は大きな被害を受けたが 当時その家に住んでいた祖母はなんとか無事だった。 この花も、ともに震災を乗り越えた。 その後、住む人がいなくなった実家は取り壊し今はもうない。 それでも水仙は、住む場所が変わってからも毎年きれいに咲いている。 むしろ日を追うごとに、元気に

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        介護保険とケアマネジャーのあり方

          雑記帳「人は物語で理解する」

          メディアでも取り上げられることがありますが、 人は物事を理解する時、それを物語によって理解するそうです。 何が理由で結果がどうなのか、物語を作り出すことで理解します。 それがないと理解が難しい。いや、できないかもしれない。 言葉をただの音や信号として受け止めると、情報として記憶できません。 物語は自分が受け止めやすい内容に変換します。 歌や小説に共感することも、自分の言葉やストーリーに置き換えて受け取りやすくしているからだと考えられます。 SNSの情報に動かされる時も、自

          雑記帳「人は物語で理解する」

          安全な不自由

          医療と介護の現場では安全が重要です。 特に病院や施設では、「危ない」ことを避けなければいけません。 一人で歩くこと、一人でトイレに行くこと、一人でお菓子を食べること。 危ないことは避けるか、見守りのもと行います。 病院や施設ではナースコールを押して、介護者を呼ぶことを求められます。 大腿骨頸部骨折などで入院をすると、手術をして経過に合わせてリハビリを行います。 リハビリとは、元の能力を取り戻すこと。 足が動かせないとか歩けない状態では、いかに歩けるようになるか、回復のための

          安全な不自由

          介護とお金と施設事情

          誰しも生活をするにはコストがかかります。 特に高齢者になると医療や介護の必要が高まり、出費がかさみます。 しかし高齢になると仕事は退職していて、収入は減少しています。 子どもたちを頼るのも難しい。 子どもたちが子育て世代であれば、何かとコストがかかる時期。 自分達の生活が苦しければ親の援助どころではありません。 お金がない。 それでも事情により、家での生活がもう無理だ。 そんなとき、どうするか。 介護にかかる費用の一例 何らかの事情で家での生活が大変になって施設を利用

          介護とお金と施設事情

          介護報酬改定について、(いつも)感じることを含めて

          介護報酬の見直しについて、概ね全体が見えてきました。 プラス改定と言われていますが、基本報酬が何気なく下げられているところもあります。 訪問介護の報酬 生活援助2(20分以上45分未満)が179単位になりました。 遡ってみると、かつては生活援助2(30分以上60分未満)が229単位、生活援助3(60分以上)が291単位だった時代がありましたが、随分と減ったもんです。 給付管理の枠外である処遇改善加算に置き換えることで、限度額管理に影響させずに利用者からの自己負担によって、

          介護報酬改定について、(いつも)感じることを含めて

          人生会議とACP(advanced care planning)について

          人は最後どうやって死んでいくのかわからない。それがいつ訪れるのかもわからない。 それでも人は死を迎えます。 いろんな出来事がある人生を歩み、その最後を締めくくる時間。 どのように過ごしたいでしょうか。 どんな医療や介護のケアを受けたいと思いますか? 人生会議、ACPとは 医療や介護のケアを受けるためにご自分が大切にしている価値観や希望、どこでどのようなケアを受けたいかを前もって話し合い共有しておくことをACP、日本では「人生会議」というふうに呼んでいます。 人生の

          人生会議とACP(advanced care planning)について

          雑記帳 「世間とは」

          見えない縛り 世間とは漠然とした社会通念。 あるいは社会的監視の目か。 個別性が重要視されるようになっても、 日本には世間を気にする感覚が残っています。 著名人が離婚したとか浮気していたとか、などのニュース。 当事者の人が「世間の皆様にお詫び申し上げます。」と言っていました。 自己責任とか、個人の自由が尊重される世の中ですが、 まだまだ日本人は強く世間を意識します。 たぶん、意識する人が多いと思います。 この日本において個人の自由とは、 まだそんなに自由でないような感覚

          雑記帳 「世間とは」

          ある高齢者の肖像。「自分らしくある」とは。

          ある高齢者の自分史 『若い頃は夢や希望、あるいはちょっとした野望もあったかな。 勢いで挑んだり、そこから反発したり脱線したりもしました。 だんだんどこに行けばいいのかわからなくなり、でもとにかく進みたくて。 やる気はあるのに、やり方がわからない。 結局、何もできずにうろうろしていたような。 そのうち家族ができて、その頃にはついた仕事にも慣れてきて、次第に責任を持つようになりました。 仕事の重圧が増えるなか、家での時間は少なくなり 家族には厳しく当たっていたと思います。

          ある高齢者の肖像。「自分らしくある」とは。

          雑記帳 「迷惑なのは」

          足腰が悪くなり、歩きにくくなっている。 耳が聞こえにくくて、車の接近なんかも、気が付きにくい。 高齢者になると、体の不自由さが増えてきます。 ふらふらしている高齢者がいると、危ないと心配すると同時に、 「邪魔だな」と思うこともあるでしょうか。 でも体が動きにくくても、人間自体が変わるわけではありません。 今までの暮らし。 今まで考えてきたこと。 今までしてきたこと。 自分が培ってきたものが、年齢とともに自然に変容するなんてことはありません。 変わるのは自分の体。 もち

          雑記帳 「迷惑なのは」

          雑記帳 瞑想散策

          寒くて縮こまってると動きたくなくなりますね。 新年明けたとはいえ、じっとしてると何となく虚しくて、気が重くなります。 気が重くなると、体が重くなる。体が重いと、心が重い。 そのうち出られなくなり、自分の殻に閉じこもることに。 早朝。空気が白い。 じっとしてて固まってる時こそ、なるべく家から出るようにしています。 指先がピリッとする冷気の中、とにかく外に出てみました。 気持ちを動かすために、体から動かします。 いつもと変わらない、いつもの場所でも。同じ景色をぼん

          雑記帳 瞑想散策

          死生観。死について考えてみる。 第37回大阪作業療法士学会④

          もうすぐ旧年が過ぎ、新年を迎えます。 自然は移ろいます。古いものが過ぎ去り、新しいものが生まれる。 世間の人々もまた同じように。 お伝えするのはワークショップ「死生観」について。 かつて死とは、もっと身近にあるものでした。そして日本では忌み嫌う「穢れ」として扱われていました。 そこから、死について話すことは縁起が悪いと避けられがちです。 現代社会では様々な制度や医療福祉が充実しているため、死はあまり身近な話題ではありません。 その分、いざ直面する時にどう考えてよいか、向き合

          死生観。死について考えてみる。 第37回大阪作業療法士学会④

          eスポーツx作業療法 第37回大阪作業療法士学会③

          外は12月。空気がだんだん冷たく、、なり切らない温暖な年末です。 かえって体調管理が難しいですね。 世の中の喧騒に関わらず、自然はありのままに過ぎてゆきます。 eスポーツとは こちらはeスポーツx作業療法というテーマのワークショップです。 eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略ということで、広義には電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、 PC、ビデオゲームによる対戦をスポーツ競技として捉える際の名称(一般社団法人日本eスポーツ連合

          eスポーツx作業療法 第37回大阪作業療法士学会③

          作法が生み出す共生の形 第37回大阪作業療法士学会②

          師走の只中、毎日慌ただしいですね。 皆さま、お気を付けてお過ごしください。 慌てて行動するといい事がありませんよね。 物を落として壊したりとか、人に話しかけられても生返事で何を聞いたかわからない、とか。 先日の学会で、「湯にバーサル茶会」というセッションがありました。 お茶を点ててくれる人も頂く方も、少し背筋が伸びるような感じ。 それでいて気軽に、おいしくお茶をいただく。 一服すると心が落ち着きます。 茶の湯とは和の心。分け隔てないバリアフリーな関係作りにも通じている気

          作法が生み出す共生の形 第37回大阪作業療法士学会②