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僕のこと

前略
少しだけ、僕のことを話したい。
僕だからできることを探した結果、僕にしかない特性を話すことはきっと誰かのためになるかもしれないと思った。
これは人を選んで話していたことだ。
ここだからこそ、僕のことを知らない人達に知っていて欲しいのだ。

幼少期
僕は、1999年に生まれ、幼少期をすごした。
僕はすこし、何かがおかしかったのだ。
その時は漠然とした違和感でしかなく、何も分からなかった。
周りが楽しんでいるおままごとが楽しくない。男の子との鬼ごっこや戦隊ごっこが楽しい。
でも男の子はもちろん、女の身体をもった私を仲間として遊ぶのを躊躇うことが多かった。

僕は、女性の身体生まれてはきていたものの、女であるという認識を生まれてこの方、1度も持ったことがないのだ。

ある日突然、スカートを履きなさいと言われて、無理だと思った。
嫌、ではなく、無理、と思ったのだ。
それは自認が女の子がはくものだ、僕には履けない。
そう思ったのが1番の自分の存在に疑問を抱いた瞬間だったかもしれない。

そして、生まれて初めて好きな人が、小学生の時にできた。なんと女性だった。
僕は自分のことを知らない。
だから、なんだ、これは、と思った。

僕は自分のことを本当に何も知らなかった。
周りの子と見た目も違う、中身はもっと違う。
あの頃の僕は異物だったと思う。
世の中に間違って入った異物混入だったのだ。

そんな中途半端な僕は、好きな人ができる度に、その子に彼氏ができるのを見送った、仲介役になったことも何度もあった。
僕が生まれてきた役目はこれなんだ、と当時は思ったのだ。好きだからこそ乗れる相談というものは結構ある。辛かったがどうしようも無かった。

それでも、1度は好きな気持ちを誰かに相談してみたり、恋バナに参加してみたり、なんなら告白もしてみたかった。周りが羨ましかった。

人生の転機
そして、時が経ち、自分が何者かわからぬまま大学生となった。

僕は、心の底から好きな人に出会った。
でも僕はきっとおかしい、普通では無い、そんな状態ではきっとなにもできないと思ったのだ。

だから僕は僕のことを調べ始めた。
女性であることはありえない、だがしかし男性なのかと聞かれたら、それも違う。
僕は何者なのだ、僕はどうしたらいいのだ。

調べまくった結果、Xジェンダー、という言わばどちらでもない性別の概念がある、という所に行き着いたのだ。

僕はたしかに変わっていた、LGBTのひとつ、性同一性障害とはほぼニアイコール。
マイノリティだった。でも決して異物でも化け物でもなかったのだ。

大学で自分という存在を学ぶことが出来て、さらに多様性専攻だったため、お金以上に価値のある時間を過ごせたと思う。

僕の好きな人はとても良い人だった。
もちろん、彼女はマジョリティ側の人間(と思われるので)お付き合いなぞできたものでは無いのだけれど、初めて人に告白することができた。
(振られた理由が僕が変で気持ち悪いからだ、という思い込みから要らん精神疾患を発症したが。)

それでも救われたのは間違いなかった。
底抜けに相手がいい人だったから、だと思う。
本当に、本当に心からずっと感謝をしている。

だから今僕は、Xジェンダーでいることを、わざわざ自分からひけらかしたりはしないものの、隠すことはなくなった。
好きな人が出来た時は、しっかりと女性を好きになったことを信頼できる人に相談できるようになった。

皆、何者かであって、何者でもない。
僕が僕を知る過程で、学べたことだ。

虐待を受けてきた人、僕のようにLGBTのどれかに該当する人、黒人や白人、黄色人、沢山の、本当にたくさんの背景や生まれつきの特性を持った方々でこの世は構成されている。

普通などは、逆にどこにも無かった。
あれほど欲してた普通の概念の正体は、多数派の意見から構成されているものであって、何を持って普通とするかは人それぞれだった。


PS 僕から
以下、普通じゃない、ということに落ち込んでいる方々へのメッセージを描きたい。

普通になりたい、それは素敵な目標だと思う。
でも、ぜひ自分が普通じゃないから、という理由をつけて普通を探すのは待ってみてほしい。

何故なら、あなたは何もおかしくない。
好きな人は同性か?異性か?
異国人か?邦人か?
少し少数派の好みがあるか?
障害はあるか?ないか?
(僕は生来のADHDと恋愛病みの時に発症した謎疾患があります。)

あなたの中の普通を目指すことを、普通をポリシーとすること、それを僕は否定しない。
でもあなた自身を否定する言葉は僕は絶対にかけたくない。

最後に繰り返す。
あなたは何も変じゃない。
あなたは何もおかしくない。
もし安心して他人に話せないことがあれば、僕に話してくれてもいい。
僕は絶対にあなた自身を否定することは無い。
普通という概念が世の中にある以上、そこから逸脱している人間が生きづらくなるのは当然のことだ。
だけど決して、あなたは何も変じゃない。
ありのままの自分を愛するまでに時間がかかってもいい。僕もまだ愛せていない。
それでも、もがき苦しむかもしれないけれど、あなたが自分の特性を失うのは、あなたの長所の質量が減ってしまうように思えて、僕のわがままで、やるせない気持ちになる。

あなたはあなたのままで、相当魅力的で、相当に充分に、充分に素敵な人だと思っている。

僕は顔も見えないそんなあなたのことが大好きだ。
あなたがあなたを愛せるように、僕も僕を愛せるように、ずっと祈りつつ今日は眠る。
おやすみなさい。

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