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キタダ授業記録集 12 未来への種まき、また。


先週の木曜日の、ふたつの実践。
ふだんの授業もぜんぶそうなんですが、また未来への種まきができたかな?と思えた時間です。

【ひとつめ】話は10月の合唱コンクールの直後にさかのぼります。国語の授業を受け持っている2年生のあるクラスで、かつてわたし自身が担任したクラスの合唱コンクールの思い出を話しているうち、そのときの曲を歌ってあげたい、ということになりました。諸般の事情で延び延びになっていたのですが、ようやく条件が整い、冬休み前の最後の授業で実現。2002年度に担任したクラスが歌ってくれた「春に」(谷川俊太郎・詩、木下牧子・曲)を歌いました。生徒の感想を二、三紹介します。
○感情が入り混じっている私たちの心境を表した歌なのかなと思いました。不安だけど、新しい人々にあって、まちがえるかもしれないけど新しいことに挑戦してみたいと思う複雑な感情を表しているように感じました。中学校に入ってすぐの自分にとても重なって、共感できました。この歌をきいて、入ってすぐの自分を思い出すことができました。
○何度も「この気持ちはなんだろう」とくり返していることでもどかしい気持ちが表現されていて、なおかつ世界の儚さが伝わってきていい詩だと思いました。先生の歌も力がこもっていてよかったです。
○「この気持ちはなんだろう」という言葉がたくさんでてきて、うったえかけられている気持ちになりました。強弱がとてもしっかりついていて上手でした!! 私も「春に」をおぼえて二十年後に先生と一緒に歌いたいです。          などなど。

春に    谷川俊太郎

この気もちはなんだろう
目に見えないエネルギーの流れが
大地からあしのうらを伝わって
ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ
声にならないさけびとなってこみあげる
この気もちはなんだろう
枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく
よろこびだ しかしかなしみでもある
いらだちだ しかもやすらぎがある
あこがれだ そしていかりがかくれている
心のダムにせきとめられ
よどみ渦まきせめぎあい
いまあふれようとする
この気もちはなんだろう
あの空の青に手をひたしたい
まだ会ったことのないすべての人と
会ってみたい話してみたい
あしたとあさってが一度にくるといい
ぼくはもどかしい
地平線のかなたへと歩きつづけたい
そのくせこの草の上でじっとしていたい
大声でだれかを呼びたい
そのくせひとりで黙っていたい
この気もちはなんだろう

【ふたつめ】同じ日の6限目、小俣町にある「えほんと童話の店 みやがわ書店」の店主・橋村孝子さんをお迎えして、人権・平和学習を行いました。「『人権』と『平和』の大切さ!」と題し、「『いじめ』や『差別』から起こることは?」「なぜ、戦争は起こるの?」「私の戦争体験(いじめや差別も含めて)」「戦争をしない平和を願って」のプログラムで、絵本の読み聞かせを交えながら、わたしが所属している2年生の生徒たちみんなに語り掛けてくださった45分間。生徒たちの感想を読んで、橋村さんをお呼びしてよかった! と心から思いました。生徒たちの感想からです。

〇橋村さんが今日、読んでくださった本のほとんどは、小さいころに祖母が読みきかせをしてくれたので、知っていたけれど、今、その絵本の内容をきいて、小さいときでは気づけなかったことに気づけたり、もっといろんな人の立場になって考えることができ、小さいときよりもいろんな考えを持つことができました。例えば、『私のせいじゃない』を聞いたとき、前は、まわりでただ見ていただけの人は、別に悪くないのではないかと思っていました。でも、今日それをもう一度考えてみたとき、まわりで見ているだけの人も、いじめをしている人と同じような立場にいるんじゃないかと思いました。もし、この学校でいじめがあったとき、私は、「まわりで見ているだけの人」ではなく、その子に「大丈夫?」と声をかけ、手をさしのべてあげることができたらいいなと思うし、そんなことができる人になりたいです。橋村さん、ひさしぶりにお会いすることができてうれしかったです。また祖母と一緒にみやがわ書店に行きます!
〇私も親せきから戦争のときの話を聞いたことはあったけど、戦争中の食べ物のこととか今とは全然違ってまた驚きました。はじめて知ったことは、疎開先で「よそものや。」と差別があったことです。いじめや差別もだんだんと戦争につながるんじゃないかと今日気づけました。今の日本の生活は「ご飯が食べれる」などたくさんのことができるけど、昔はそうじゃなかった、今も争っている国があるっていうことも考えると、『普通の』『当たり前の』生活ができていることがとても幸せなことなんだなと思いました。ほかの国は「今この瞬間も」戦っている人がいたり、生まれたばかりの赤ちゃんが亡くなったりしていると改めて分かったので、ひとりひとりの「命」の大切さや重さをしっかり考えて生きようと思いました。私は「戦争」について、原子爆弾のことや、この地域での被害、今も各地で起こっている戦いを調べて知りたいと思いました。親せきからも、もっと話をきいてみたいと思いました。私は今日の一限の間に実際の戦争の体験という貴重な話をきくことができて、とても良い経験になりました。戦争から、どんどん年がすぎるにつれて、「今日のような実際の話をきくことができるような人が減ってしまっている」ということは、二度と起きてはいけない「戦争」をまたくり返してしまうかもしれないと思っています。だから、私は今日きいたこと、親せきの話、本で勉強したことなど、たくさん色んな人や後世に伝えていけるような人になりたいです。たくさんの大切な命を簡単にうばうことができる「戦争」。そんな戦争を二度とくり返さないために、何年たっても『忘れない』ことが大切だと思いました。橋村さん、今日は貴重な大切な話をありがとうございました。
○「戦争」のこと、「差別やいじめ」のこと、たくさんのことを学べてとても充実した時間でした。『へいわとせんそう』『もっとおおきなたいほうを』は家にあって読んだことがあったけど、今日家に帰ってもう一度読んでみたら、「へいわでも戦争でも人や風景は何ひとつ変わらない」と分かって、命を大切にしないといけないんだなとよく分かりました。絵本からもへいわの大切さがよく伝わってきました。私はこれからこの世の生き物はみんな同じ「命」を持っているんだからお互い命を大切に、他人を傷つけるようなことはしない と決めました。今、こうやって楽しい生活が送れていることに感謝し、他の国の戦争も1日でもはやく終わって世界に「へいわ」が訪れるようになるために、私もできることはしていきます。今日はありがとうございました。
〇私が一番心に残ったのは『さっちゃんのまほうのて』の本です。何かが、かけていたとしても、なににでもなれる。ということを感じました。あと、みんなが嫌な思いや、悲しい思いをしない世界になってほしいと思いました。
〇戦争についてたくさんの話を聞いて、食べ物や生活、差別などが色々あったことを知りました。戦争をしても平和にならないのに、戦争をする必要がないと思います。僕は戦争の種になることをしないようにしていこうと思います。
などなど。



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