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週末レポート;Livre;『貧乏サヴァラン』

冒頭は『マリアは貧乏な、ブリア・サヴァランである。』で始まる。
サヴァランってあのケーキの?
自分をマリアと名乗って、そして、貧乏なケーキだと断言している。
どういう意味だろう。

違和感のあるまま読み進めていくと、1つの文章に括弧書きで追加の説明文が長々と書かれている。
やっと括弧書き内の文を読み終わると、何の話をしていたっけ?という状態。

本文の内容を思い出し、次の文を読んでいると表し慣れない漢字の単語が並べられている。
読みにくいなぁ。
と感じる読み出しだった。

(ブリア・サヴァラン;フランスの法律家、美食家。人の名前だった。読了後に調べてやっと納得した。読み終わった後に調べて、「そういうことだったのね」とスッキリするのもいいな、と新たな発見をした。)

それでも、読み進んでいけたのは、私も好きな美味しい‘食’のお話がこんもりと詰まっていたからだ。
私が1番気に入った話は、シュウ・ア・ラ・クレェムの場面。(響きも素敵♡)
凮月堂のシュウクリイムについてを皮の食感、粉砂糖のかかり具合からクリームの味、香り、皮とのバランス、と一息で言うように書かれている。
読んでいると涎を垂らしながら、近場のコンビニのショーケース前まで‘私も買いに行かなきゃ!’という衝動に駆られる。
読みにくいなぁ、と感じていた文章たちは、たちまちレストランのメニュー表に見えてきたのだった。

「生きる」って「食べる」こと。
「食べる」って「生きる」こと。
幸せだよね〜
この本を読んで、森茉莉さんと再確認したのであった。

再確認する2人

《食べてみたい作品中のメニュー》
①【凮月堂】のシュウクリイム
(今もあるのかな?)

②縁が古代のレースのように尖ってギザギザしている
【伊勢屋】のイタリアン・ウエファース
(レースのようなウエファースを見てみたい)

③獅子文六が書いたようなバナナ
(最近,獅子文六の作品を読んだから気になった。「バナナ」を読んでどんなバナナか実際に読んで確認してから吟味したい)

④父、森鴎外の好きな食べ物(Ⅰ)
 4つに割った葬式饅頭をご飯の上に乗せ、煎茶をかけて食べる
(勇気を出して一口食べてみたい気がする…)

⑤鴎外の好きな食べ物(Ⅱ)
 刺身の煮付け
(わざわざ、そのままでも美味しい刺身を煮つけるのは勿体ないぃと思ってしまうのは私だけ…?刺身の煮付けとノーマル煮付けだとどう違ってくるんだろう??気になる。
ちなみに、森茉莉さんは魚の骨や皮の下処理をするのが面倒だから刺身を煮付けるらしい。面白いね)

ps,
あなたのお父さん、素敵ね。
でも、私のお父さんも負けてないわ。
って言いたくなるくらい、森茉莉さんは父を溺愛していました。
『貧乏サヴァラン』では森茉莉さんの好きな‘食’だけでなく‘ 父・森鴎外’についても愛情深く取り上げられている作品となっていました。

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