最後のプレゼント
来るかな・・・来ないよね。
分かってるけど、あなたがいつも乗っていた電車が来るのをホームからじっと見つめる。もうこれで2本の電車がホームに入っては出て行った。次は3本目。
いつも3本まではここでこうして待ってるんだよ。
もしかしたら電車の窓から笑顔で手を振ってくれるあなたが乗ってるんじゃないかって思いながらね。
あの日、あなたは言ったね。
「僕は、もうその電車には乗らないよ」
あなたから私への最後の言葉だった。
恋は素敵。恋は幸せ。
恋は苦しい。恋はつらい。
大好きなあなたと手を繋いで笑いあった日々が静かに閉じていく。
私があなたをどんなに好きでも、どれほどあなたを大切にしても、あなたの心があの子に動いていくのを止めることはできなかった。
仕方ないって思ってる。でもあなたは最後まで私に寄り添ってくれた。心があの子を見ていても、それでも目の前の私を悲しませたくないって見つめてくれた。
あなたが私の横にいてくれる間は自分からは離れないって思ってたけど、あなたのその優しさを感じるたびに、私の心は泣いていた。もう終わりにしようって言えるのに半年かかった。
ごめんね。長く引き止めて。
お別れの日に「明日もあなたを待っちゃうかもな」って小さな声でつぶやいた私に言ったあなたの最後の言葉がそれだった。
「僕は、もうその電車には乗らないよ」
もう二度と、あなたはその電車には乗らない。
それがあなたから私への最後のプレゼント。
あなたを忘れてがんばれっていう最後のプレゼント。
私は毎日もうしばらくこうしてあなたがいつも乗っていた電車を待つよ。今日もいなかったと苦しい思いをしながら、でも諦めようって必死で噛みしめる。
心のお別れの儀式はあともうちょっと必要なんだ。
泣く回数は減ったよ。
でも会いたいな。
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お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨