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『親子口笛』の先駆けとして…辿り着いた“世界”観

これまでnoteでは、直近の記事「口笛の吹き方~音響工学的な考察&“誰でもできる”練習法の試案」を含め、いくつか口笛の話題をご紹介してきました…が、そもそもなぜ、私がそれ程に深く口笛と関わっているのか?…まだそうした自己紹介をしていなかった自分に気づき、今更ながらまとめてみます。

親子3人で、東日本大震災の被災地を訪問し、口笛を演奏

口笛…きっと鼻唄みたいな存在ですよね。私にとってもそうでした。いつ吹けたのか覚えていない程、物心ついた時には傍に居た存在。だから娘が妻のお腹に宿った時(話しかけるのは照れくさくて)口笛を吹いたのだと思います。するとその音が届いていたのか…産まれ落ちた日、妻のお乳が上手く出ずに泣いてたのに、私の口笛ですやすやと寝てくれました。それからも夜な夜な“子守り口笛”を続けていたら、娘も(自分では覚えていない年頃に)口笛を吹き始めたのです。そしてそのバトンは姉から弟へと受け継がれました。

姉弟で仲良く口笛、のちにユニットを結成

そんな私たちが“世界”を知ったきっかけは、とある新聞記事でした。2008年のある日、関西の高校生が、米国で開かれた口笛世界大会(ティーン部門)で優勝したと。そして翌年、なんと日本で(茨城県牛久)世界大会が行われると言うのです!嬉々として準備をする私の傍らで(当然のように)自分も出る気でいる娘…結局、私は(成人部門)予選落ちで、娘は(こども部門)出場…誇らしそうな、娘の笑顔を覚えています。

米国ノースカロライナで、娘が世界大会(こども部門)3位

そしてそこでは、今やNovelbrightのボーカルとして大活躍の竹中雄大くん当時のYouTube動画が500万回も再生された小杉山智早ちゃん等、異次元の口笛に圧倒され敗退…しかし翌年、家族の米国旅行を兼ねて出場した大会で3位。さらに翌年は、私が付き添った中国での大会で(こども部門)優勝と、親の予想を遥かに超えて、羽ばたいてゆきました。

中国の青島で、娘が世界大会(こども部門)優勝

ちなみにここで娘が駆使している「舌ウォーブリング(さえずり)」…これは浮かせた舌を、口内のあちこちに付けたり離したりして音を切る技術…私が原理を説明しただけで、こんな難曲を演奏するまでに発展昇華させてくれました。いやぁ、こどもの成長ってすごい!

一方で弟は、早くから吹けたものの弱々しく、音程も怪しい?と思っていましたが、姉と一緒に吹くと…あら不思議!見事にハモっているではありませんか!!世にも稀な希少種:ハモラー(ハモりだけに突出した奏者)だったようで、以後、姉が喜んで、あちこちへ連れ出すようになりました。

そんな風に家族で楽しんできた口笛が、大きな実を結んだのが2016年大会。3人で総合芸術部門3位、姉と弟の2人で審査員特別賞と、2部門で入賞し、世界でも珍しい「親子口笛」ユニットとして注目されることになったのです。

ただその後は、それぞれが徐々に忙しくなり(娘は俳優の道へ、息子は研究職を志し)なかなか親子として活動できなくなったので、私はソロでピアノ弾き吹きに取組み、2018・2020・2021・2022年は、単独で世界大会に出場しています(入賞はできませんでしたが…)。ちなみに私は「インアウト奏法(吸って吐いて両方で鳴らす口笛)」。この長所は息が続くこと、短所は音程が不安定なこと。長所>短所となるように日々修行中です。

そんな風に「親子口笛」の先駆けとなった私たち。私が医療に関わる仕事をしているからか、いつしか口笛と医療・介護・健康の関係を考えるようになりました。そして2013年には、私が参画した医療プロジェクトでご一緒した介護施設長の医師と編み出した「臨床口笛」を開始…これはその様子です。

最初はこんな風に、介護施設で「音楽レクリエーション」をやらせて頂いたのですが、思った以上に好評で、次第に看護師さんから「個別セッション」を任されるようになりました。これがその様子で、いろいろ忘れてしまう(高校時代コーラス部だった)おばあちゃんが、私たちの口笛を聴いて思い出した童謡を(歌詞も見ず)熱唱してくれた場面です。

そんな物語を経て、先日掲載したケースレポート「口笛の健康効果について〜オーラルフレイル予防の観点から」に辿り着き、さらに研究を深めてゆくつもり。一方で医療についてダイアローグ(対話)を重ねるべく、音声SNSクラブハウス(医療部屋)で毎週日曜に「口笛カフェ」をモデレートしていますし、毎年応募している星新一賞では、どうしても口笛が題材になってしまう…という訳です。以上が、私(口笛ますみん)の自己紹介でした。

最後に、そんな私が「口笛」を通じて辿り着いた“世界観”を綴ってみます。

どんなマイナーな分野でも、突き詰めるとそこから世界に通じているんだ…としみじみ思います。口笛を通じてでないと出逢えなかった世界の友人たち…については、また別の機会に書いてみたいと思います。

またミスチル桜井さんが名曲「口笛」で歌った通り「言葉より確かなものに届く」のだと思いました。妻のお腹にいる娘にも届いたし、認知症が進んだおばあちゃんにも届いた。考えてみれば口笛は(脳に直結している為)楽譜がなくても吹けて、例えばドとレの間にある無限の音を自由に奏でられる…そんな希少で貴重な楽器だと思うのです。そんな口笛の奏でる周波数が人の心にどう届くのか?…学術的に深めてみたい気もします。でもあいにく私は理系の訓練を正式に受けておらず、noteでそこを補完頂ける方と出会えないかなぁと、密かに望んでいたりします。

あと、世界大会を通じて凄い才能たちと出会いました。口笛のように“自由だけど不安定な”楽器を、ここまで正確に操れるものなんだ!…と、感嘆したものです。でも同時に、私は、口笛がそうした“一部の人たちだけのもの”になって欲しくないと、強く思っています。だから「誰でも吹けるメソッド」を、医学的・音響工学的に明らかにしようとしているし、娘ほど凄くはないけれど、何度でもステージには上がりたいと思うし、身体が動く限りは吹き続けたいと思います。この楽しさを一人でも多くの人に届けたい…その想いが、私を突き動かすのです。一応これでも難病を患っているので、どれだけ時間が残されているか分かりませんが、これもミスチルの桜井さん曰く「まるで世界中を優しく包み込むように」どこまでも広がっていって欲しいと心から願っています。

あぁ、やっと色々と吐き出せた気がします。こうして自分の中にある想いを形にして、遺せるのはいいですね!noteに心から感謝します。これからも、そんな方向でいろいろ書いてゆこうと思いますので、素敵な出逢いに繋がることを楽しみにしています♫

♬優しく響くあの口笛のように…♬


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