オラショ

広告代理店で勤務後、現在はフリーの戦略マーケティング・プランナー。「広告コミュニケーシ…

オラショ

広告代理店で勤務後、現在はフリーの戦略マーケティング・プランナー。「広告コミュニケーションは、売上につながらないと意味がない」「『数字』と『人間』の理解で事業にコミットする」がモットー。仕事ではマーケティング、趣味では物語論、哲学が好き。

最近の記事

神話・民話はなぜ伝わってきたのか

久しぶりに神話とか物語とかの話です。 今日のテーマは「神話・民話はなぜ伝わってきたのか」です。 「神話とは何か」「神話はなぜ生まれたのか」…というテーマは色々な考え方があるかと思います。 ・人がなぜ生まれているのか、この世はなぜそうなっているか、を説明するため ・実際にあった歴史を、反映して伝えているため ・時の為政者(もしくは宗教)が、自らの正当性を主張するため ・人間の原始的な意識が、何らかの形で実現したものである …などが良く聞かれる説でしょうか。 これらのうち

    • マーケティングの数字②ユーザーを増やすために見る数字

      前回、売上アップの為には結局「購入者」をふやすべきだ、という話をしました。では、購入者を増やすためにどんな数字を把握すればよいか、という事を書いていこうと思います。 僕が一番良く使うのは「5セグ」です。これは、全人口もしくは潜在顧客を含めた全人口を下記のように分けます。 ①そもそもブランドやサービスを知らない人(未認知) ②知っているが、買ったことがない人(認知未購入) ③買ったことがあるが、今は買っていない人(経験あり離反) ④買ったことがあり、頻度は低いが買っている人

      • マーケティングの数字①売上を、消費者行動に変換する

        以前に書いたことと重複しますが、 僕はマーケティングは「数字」と「人」の理解が必要だと思っています。 ・「数字」はマクロの視点で、ビジネスの問題点を見つけるのに ・「人」はミクロの視点で、ビジネスの解決策を出すために それぞれ必要、といったニュアンスでしょうか。 逆に、どちらかだけ見ていては失敗することも多く ・「数字だけ」見ていては、うまく人が動かず ・「人だけ」見ていては、うまく規模がとれない …ということが多いです。僕はどちらの失敗もしたことがあります。 では、

        • マーケティングを上手くワークさせる、数字の把握の視点

          マーケティングを実行するにあたって避けては通れない「数字」の話です。マーケティングを上手くワークさせるためには、どんな数字を把握するべきでしょうか。自分自身の経験も踏まえ記載してみます。 ①自社(自ブランド)視点でみる数字 最近は「ファン度」「熱狂度」「ロイヤルティ度」というような概念も出ていますが、商売である以上、最重要なのは「売上」だと思っています。商品別や(店舗型の場合)はエリア/店舗別にみる場合もあるでしょう。ですが、それだけではマーケティング活動として戦略を組み

        神話・民話はなぜ伝わってきたのか

          「未充足ニーズ」から新商品を妄想してみる①

          以前、「よいベネフィット」は「未充足ニーズ(まだ満たされていない消費者のニーズ)」を満たす、という話をしました。 そこで、今回はそういった「未充足なニーズ」を見つけ、実際にこんな商品があったら良いのでは?というものを妄想してみようと思います。 やり方は下記です。①消費者(今回は自分自身)がやりたくないが、やっている行動を発見する②その根本にあるニーズを把握する③行動の問題を裏返す。これは「キーニーズ法」といって、強いニーズは行動に現れる、という考えを基にしています。 例

          「未充足ニーズ」から新商品を妄想してみる①

          強い「ベネフィット」は葛藤を解決する

          前に、強いベネフィットは「本能」に刺さる、と書きました。似たような話ですが、強いベネフィットは「葛藤」を解決する、という話をします。 ヒトの意思決定については、単一のシステムで判断がされていない、という心理学の研究があるそうです(「二重過程理論」といいます)。ヒトのココロには、「早いこころ」と「遅いこころ」がある、という考え方です。ヒトの意思決定を考えるにあたり、この考えは非常に示唆に富んでいると思っています。 こんな経験はないでしょうか。美味しそうなスイーツを見た時に「

          強い「ベネフィット」は葛藤を解決する

          数字を見るときは、『差』を見ろ

          仕事の記事では消費者ニーズのことを書くことが多いですが、マーケティングに関わるようになり、第一に上司から言われたのは「数字」についてです。自分の関わる仕事について、どの程度の数字を理解しているか?売上は?利益は?人数は?「数字」は、国や文化が違っても共通する唯一の言葉であると。 ちなみに、もう一つ言われたのは「全体を見ろ」です。「全体を見る」。そうすれば、現状の理解がきちんとできる。「数字を見る」と「全体を把握する」。この2つは自分の仕事をする上でも意識をしている部分です。

          数字を見るときは、『差』を見ろ

          マーケティングのありがちな失敗②「ヘビーユーザーの声を聞いて製品を作る」

          以前、マーケティングのありがちな失敗の記事を書きましたが、今回は第2弾を書いてみようと思います。僕も実際に体験した内容です。 それは、「ヘビーユーザーの声を聞いて製品を作る/改訂する」です。 マーケティングでは、「今使っている顧客が、市場全体を代表している」と考えるバイアスが存在します。でも、実際はそうではないんですね。市場全体を見ると、大きく①未認知(そもそも知らない)②認知未購入(知っているが買わない)③経験非ユーザー(一度は買ったことがあるが今はユーザーではない)④

          マーケティングのありがちな失敗②「ヘビーユーザーの声を聞いて製品を作る」

          「ベターなニーズ」と「ディファレントなニーズ」

          またしてもニーズ/ベネフィットの話を書きます。 今日の話は、ニーズには「ベターなニーズ」と、「ディファレントなニーズ」がある、という話です。多くの場合、トップシェアを取るブランドは世の中で最初に「ディファレントなニーズ」を押さえたブランドです。 「ベターなニーズ」とは「より美味しく」「より早く」「より白く」といったように、「同じ価値基準の中でより上を求める」ニーズです。一方「ディファレントなニーズ」は、「(今まであった価値基準とは)別の価値」を求めるニーズになります。ある

          「ベターなニーズ」と「ディファレントなニーズ」

          「文脈」でのニーズ理解の重要性

          僕は広告会社でマーケティングに関わっていいますが、そこで使われている手法やフレームの中には、なんとなく実感が湧かないものがいくつかあります。 そのひとつが「消費者を●●タイプ」でセグメントするという、価値観をタイプ別にして分類するやり方です。例えば食品のブランドターゲットを考える時に「美味しさ重視タイプ」「オーガニック重視タイプ」「量が一番タイプ」…のように「自分が重視する特徴」でセグメントをしてみたり、「食事は楽しいのが何よりタイプ」「食事にはこだわりたいタイプ」…のよう

          「文脈」でのニーズ理解の重要性

          強い「ベネフィット」は「満たされないニーズ」に応える

          「強いベネフィット」とはどんなものか?という話です。 「強いベネフィット」は「本能」に根差している、というのが一つ。 もう一つは、何らかの「今満たされていないニーズ」を満たす、ということです。消費者に「これが欲しい!」と思わせるには、「今満たされていないこんな事が、この商品なら解決できますよ」という提案が有効です。しかし、モノがあふれている現代では「満たされていないニーズ」は消費者自身も気づいておらず、商品やサービスを見て初めて気づく、という場合も多いのです。逆に言うと、

          強い「ベネフィット」は「満たされないニーズ」に応える

          強い「ベネフィット」と、それを支える「本能」の話

          前回、マーケティングで一番大切な4つの要素、ということで ①ターゲット ②ベネフィット ③カテゴリ ④信じる理由(RTB/ Reason To Believe) を書きました。この中で最も大切なのは②ベネフィットだと思います。なぜならば、②のベネフィットが、実質①ターゲットや③カテゴリを規定するからです。マーケティング戦略において最も重要なのは ビジネスを伸ばすために ・企業や商品が、本質的に届けているベネフィットは何か ・企業が商品が、これから届けたいベネフィットは何

          強い「ベネフィット」と、それを支える「本能」の話

          個人的に思う、マーケティングで最も大切な「コンセプト」の話

          今日はマーケティングを考える際に大事な「コンセプト」について書いてみようと思います。商品、ブランド、広告の戦略を考えるにあたっては、その大元を貫く「コンセプト」が必要になってきます。人によって違いがあるかもしれませんが、個人的には「コンセプト」を考えるのに必要なのは、下記の4つの要素かな、と考えています。 ①ターゲット ②ベネフィット ③カテゴリ ④RTB (Reason to Believe/「信じる理由」 ) 実務を通じて思ったことも踏まえ、書いていこうと思います!

          個人的に思う、マーケティングで最も大切な「コンセプト」の話

          マーケティングのありがちな失敗①「差別化」の罠にはまる

          今日も仕事の話から。 マーケティングというと、「差別化」という言葉がついて回ります。 元々は、マイケル・ポーターが競争戦略として言い出したものでしょうか。 「差別化」という言葉は非常に有名で、マーケティングの基本としても良く知られています。しかし、実業で行う場合、「差別化の罠」に陥ることがあります。これは、僕自身もプランニングで経験したことがあります。 「差別化の罠」とは、簡単にいうと「差別化」という「手段」が「目的」化しまっている(「他社との『差別化』さえできていれば

          マーケティングのありがちな失敗①「差別化」の罠にはまる

          ビジネスに使える「ソクラテス」的考え方

          こんにちは。 題名を見て、「なんじゃそりゃ?」「哲学?」「難しいの?」と思った方もいらっしゃるかもですが、そんな難しい話ではありません。 ビジネスや問題解決には、「『答え』ではなく『問い』を考える」というアプローチが意外と役にたつよ、という話です。 ご存じの方も多いと思いますが、ソクラテスってどんな人かと言うと ・現代までつながる哲学、倫理学の大本になった人 ・「対話術」という方法を重視した ・「無知の知」という言葉を言った ・「知は徳である」という言葉を残した ま

          ビジネスに使える「ソクラテス」的考え方

          映画とマーケティングの「ベネフィット」

          今日はちょっと、仕事よりの話を。 マーケティングの基本中の基本に、 「便益(ベネフィット)」という言葉があります。 普段使わない言葉ですが、これは 「その商品が自分にとって何をしてくれるか」 ということ。そして、 「消費者が商品を買う本当の理由」とも言えます。 よく混同されがちなのですが、この「便益」は 商品の「機能」とは別だったりします。 例えば、洗剤の場合 「除菌成分が入っている」というのが 「機能」であれば、 「部屋干しでも洗濯物が匂わず快適」 というのが 「

          映画とマーケティングの「ベネフィット」