オラショ

広告代理店で勤務後、現在はフリーの戦略マーケティング・プランナー。「広告コミュニケーシ…

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広告代理店で勤務後、現在はフリーの戦略マーケティング・プランナー。「広告コミュニケーションは、売上につながらないと意味がない」「『数字』と『人間』の理解で事業にコミットする」がモットー。仕事ではマーケティング、趣味では物語論、哲学が好き。

記事一覧

神話・民話はなぜ伝わってきたのか

久しぶりに神話とか物語とかの話です。 今日のテーマは「神話・民話はなぜ伝わってきたのか」です。 「神話とは何か」「神話はなぜ生まれたのか」…というテーマは色々な…

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3か月前
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マーケティングの数字②ユーザーを増やすために見る数字

前回、売上アップの為には結局「購入者」をふやすべきだ、という話をしました。では、購入者を増やすためにどんな数字を把握すればよいか、という事を書いていこうと思いま…

オラショ
8か月前

マーケティングの数字①売上を、消費者行動に変換する

以前に書いたことと重複しますが、 僕はマーケティングは「数字」と「人」の理解が必要だと思っています。 ・「数字」はマクロの視点で、ビジネスの問題点を見つけるのに …

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1年前

マーケティングを上手くワークさせる、数字の把握の視点

マーケティングを実行するにあたって避けては通れない「数字」の話です。マーケティングを上手くワークさせるためには、どんな数字を把握するべきでしょうか。自分自身の経…

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1年前
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「未充足ニーズ」から新商品を妄想してみる①

以前、「よいベネフィット」は「未充足ニーズ(まだ満たされていない消費者のニーズ)」を満たす、という話をしました。 そこで、今回はそういった「未充足なニーズ」を見…

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1年前
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強い「ベネフィット」は葛藤を解決する

前に、強いベネフィットは「本能」に刺さる、と書きました。似たような話ですが、強いベネフィットは「葛藤」を解決する、という話をします。 ヒトの意思決定については、…

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1年前

数字を見るときは、『差』を見ろ

仕事の記事では消費者ニーズのことを書くことが多いですが、マーケティングに関わるようになり、第一に上司から言われたのは「数字」についてです。自分の関わる仕事につい…

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1年前

マーケティングのありがちな失敗②「ヘビーユーザーの声を聞いて製品を作る」

以前、マーケティングのありがちな失敗の記事を書きましたが、今回は第2弾を書いてみようと思います。僕も実際に体験した内容です。 それは、「ヘビーユーザーの声を聞い…

オラショ
1年前
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「ベターなニーズ」と「ディファレントなニーズ」

またしてもニーズ/ベネフィットの話を書きます。 今日の話は、ニーズには「ベターなニーズ」と、「ディファレントなニーズ」がある、という話です。多くの場合、トップシ…

オラショ
1年前
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「文脈」でのニーズ理解の重要性

僕は広告会社でマーケティングに関わっていいますが、そこで使われている手法やフレームの中には、なんとなく実感が湧かないものがいくつかあります。 そのひとつが「消費…

オラショ
1年前
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強い「ベネフィット」は「満たされないニーズ」に応える

「強いベネフィット」とはどんなものか?という話です。 「強いベネフィット」は「本能」に根差している、というのが一つ。 もう一つは、何らかの「今満たされていないニ…

オラショ
1年前
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強い「ベネフィット」と、それを支える「本能」の話

前回、マーケティングで一番大切な4つの要素、ということで ①ターゲット ②ベネフィット ③カテゴリ ④信じる理由(RTB/ Reason To Believe) を書きました。この中で最…

オラショ
1年前
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個人的に思う、マーケティングで最も大切な「コンセプト」の話

今日はマーケティングを考える際に大事な「コンセプト」について書いてみようと思います。商品、ブランド、広告の戦略を考えるにあたっては、その大元を貫く「コンセプト」…

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1年前
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マーケティングのありがちな失敗①「差別化」の罠にはまる

今日も仕事の話から。 マーケティングというと、「差別化」という言葉がついて回ります。 元々は、マイケル・ポーターが競争戦略として言い出したものでしょうか。 「差…

オラショ
1年前
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ビジネスに使える「ソクラテス」的考え方

こんにちは。 題名を見て、「なんじゃそりゃ?」「哲学?」「難しいの?」と思った方もいらっしゃるかもですが、そんな難しい話ではありません。 ビジネスや問題解決には…

オラショ
1年前
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映画とマーケティングの「ベネフィット」

今日はちょっと、仕事よりの話を。 マーケティングの基本中の基本に、 「便益(ベネフィット)」という言葉があります。 普段使わない言葉ですが、これは 「その商品が自…

オラショ
2年前
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神話・民話はなぜ伝わってきたのか

久しぶりに神話とか物語とかの話です。

今日のテーマは「神話・民話はなぜ伝わってきたのか」です。
「神話とは何か」「神話はなぜ生まれたのか」…というテーマは色々な考え方があるかと思います。

・人がなぜ生まれているのか、この世はなぜそうなっているか、を説明するため
・実際にあった歴史を、反映して伝えているため
・時の為政者(もしくは宗教)が、自らの正当性を主張するため
・人間の原始的な意識が、何ら

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マーケティングの数字②ユーザーを増やすために見る数字

前回、売上アップの為には結局「購入者」をふやすべきだ、という話をしました。では、購入者を増やすためにどんな数字を把握すればよいか、という事を書いていこうと思います。

僕が一番良く使うのは「5セグ」です。これは、全人口もしくは潜在顧客を含めた全人口を下記のように分けます。

①そもそもブランドやサービスを知らない人(未認知)
②知っているが、買ったことがない人(認知未購入)
③買ったことがあるが、

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マーケティングの数字①売上を、消費者行動に変換する

以前に書いたことと重複しますが、
僕はマーケティングは「数字」と「人」の理解が必要だと思っています。

・「数字」はマクロの視点で、ビジネスの問題点を見つけるのに
・「人」はミクロの視点で、ビジネスの解決策を出すために

それぞれ必要、といったニュアンスでしょうか。
逆に、どちらかだけ見ていては失敗することも多く

・「数字だけ」見ていては、うまく人が動かず
・「人だけ」見ていては、うまく規模がと

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マーケティングを上手くワークさせる、数字の把握の視点

マーケティングを実行するにあたって避けては通れない「数字」の話です。マーケティングを上手くワークさせるためには、どんな数字を把握するべきでしょうか。自分自身の経験も踏まえ記載してみます。

①自社(自ブランド)視点でみる数字

最近は「ファン度」「熱狂度」「ロイヤルティ度」というような概念も出ていますが、商売である以上、最重要なのは「売上」だと思っています。商品別や(店舗型の場合)はエリア/店舗別

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「未充足ニーズ」から新商品を妄想してみる①

以前、「よいベネフィット」は「未充足ニーズ(まだ満たされていない消費者のニーズ)」を満たす、という話をしました。

そこで、今回はそういった「未充足なニーズ」を見つけ、実際にこんな商品があったら良いのでは?というものを妄想してみようと思います。

やり方は下記です。①消費者(今回は自分自身)がやりたくないが、やっている行動を発見する②その根本にあるニーズを把握する③行動の問題を裏返す。これは「キー

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強い「ベネフィット」は葛藤を解決する

前に、強いベネフィットは「本能」に刺さる、と書きました。似たような話ですが、強いベネフィットは「葛藤」を解決する、という話をします。

ヒトの意思決定については、単一のシステムで判断がされていない、という心理学の研究があるそうです(「二重過程理論」といいます)。ヒトのココロには、「早いこころ」と「遅いこころ」がある、という考え方です。ヒトの意思決定を考えるにあたり、この考えは非常に示唆に富んでいる

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数字を見るときは、『差』を見ろ

仕事の記事では消費者ニーズのことを書くことが多いですが、マーケティングに関わるようになり、第一に上司から言われたのは「数字」についてです。自分の関わる仕事について、どの程度の数字を理解しているか?売上は?利益は?人数は?「数字」は、国や文化が違っても共通する唯一の言葉であると。

ちなみに、もう一つ言われたのは「全体を見ろ」です。「全体を見る」。そうすれば、現状の理解がきちんとできる。「数字を見る

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マーケティングのありがちな失敗②「ヘビーユーザーの声を聞いて製品を作る」

以前、マーケティングのありがちな失敗の記事を書きましたが、今回は第2弾を書いてみようと思います。僕も実際に体験した内容です。

それは、「ヘビーユーザーの声を聞いて製品を作る/改訂する」です。

マーケティングでは、「今使っている顧客が、市場全体を代表している」と考えるバイアスが存在します。でも、実際はそうではないんですね。市場全体を見ると、大きく①未認知(そもそも知らない)②認知未購入(知ってい

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「ベターなニーズ」と「ディファレントなニーズ」

またしてもニーズ/ベネフィットの話を書きます。

今日の話は、ニーズには「ベターなニーズ」と、「ディファレントなニーズ」がある、という話です。多くの場合、トップシェアを取るブランドは世の中で最初に「ディファレントなニーズ」を押さえたブランドです。

「ベターなニーズ」とは「より美味しく」「より早く」「より白く」といったように、「同じ価値基準の中でより上を求める」ニーズです。一方「ディファレントなニ

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「文脈」でのニーズ理解の重要性

僕は広告会社でマーケティングに関わっていいますが、そこで使われている手法やフレームの中には、なんとなく実感が湧かないものがいくつかあります。

そのひとつが「消費者を●●タイプ」でセグメントするという、価値観をタイプ別にして分類するやり方です。例えば食品のブランドターゲットを考える時に「美味しさ重視タイプ」「オーガニック重視タイプ」「量が一番タイプ」…のように「自分が重視する特徴」でセグメントをし

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強い「ベネフィット」は「満たされないニーズ」に応える

「強いベネフィット」とはどんなものか?という話です。

「強いベネフィット」は「本能」に根差している、というのが一つ。

もう一つは、何らかの「今満たされていないニーズ」を満たす、ということです。消費者に「これが欲しい!」と思わせるには、「今満たされていないこんな事が、この商品なら解決できますよ」という提案が有効です。しかし、モノがあふれている現代では「満たされていないニーズ」は消費者自身も気づい

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強い「ベネフィット」と、それを支える「本能」の話

前回、マーケティングで一番大切な4つの要素、ということで

①ターゲット
②ベネフィット
③カテゴリ
④信じる理由(RTB/ Reason To Believe)

を書きました。この中で最も大切なのは②ベネフィットだと思います。なぜならば、②のベネフィットが、実質①ターゲットや③カテゴリを規定するからです。マーケティング戦略において最も重要なのは

ビジネスを伸ばすために
・企業や商品が、本質的

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個人的に思う、マーケティングで最も大切な「コンセプト」の話

今日はマーケティングを考える際に大事な「コンセプト」について書いてみようと思います。商品、ブランド、広告の戦略を考えるにあたっては、その大元を貫く「コンセプト」が必要になってきます。人によって違いがあるかもしれませんが、個人的には「コンセプト」を考えるのに必要なのは、下記の4つの要素かな、と考えています。

①ターゲット
②ベネフィット
③カテゴリ
④RTB (Reason to Believe/

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マーケティングのありがちな失敗①「差別化」の罠にはまる

今日も仕事の話から。

マーケティングというと、「差別化」という言葉がついて回ります。
元々は、マイケル・ポーターが競争戦略として言い出したものでしょうか。

「差別化」という言葉は非常に有名で、マーケティングの基本としても良く知られています。しかし、実業で行う場合、「差別化の罠」に陥ることがあります。これは、僕自身もプランニングで経験したことがあります。

「差別化の罠」とは、簡単にいうと「差別

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ビジネスに使える「ソクラテス」的考え方

こんにちは。

題名を見て、「なんじゃそりゃ?」「哲学?」「難しいの?」と思った方もいらっしゃるかもですが、そんな難しい話ではありません。

ビジネスや問題解決には、「『答え』ではなく『問い』を考える」というアプローチが意外と役にたつよ、という話です。

ご存じの方も多いと思いますが、ソクラテスってどんな人かと言うと

・現代までつながる哲学、倫理学の大本になった人
・「対話術」という方法を重視し

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映画とマーケティングの「ベネフィット」

今日はちょっと、仕事よりの話を。

マーケティングの基本中の基本に、
「便益(ベネフィット)」という言葉があります。

普段使わない言葉ですが、これは
「その商品が自分にとって何をしてくれるか」
ということ。そして、
「消費者が商品を買う本当の理由」とも言えます。

よく混同されがちなのですが、この「便益」は
商品の「機能」とは別だったりします。

例えば、洗剤の場合
「除菌成分が入っている」とい

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