chiechie

chiechie短編小説集へようこそ ポツポツ書いてまいります

chiechie

chiechie短編小説集へようこそ ポツポツ書いてまいります

最近の記事

短編小説 「プレゼント顔」

プレゼントをやたら貰う ねだったことなど一度もないのに 生きてるだけで気がついたらあらゆるものをもらっている 服、バック、小物、それにTVや家具おまけに壺やちょっとした骨董品まで もらいたい顔なのだろうか いやいや、決してそんなことはない むしろ、物なんて増やしたくないし空き家のような空間でスッキリと暮らすのが夢だ。 しかももらうのはその辺の物ではない 今ではとても買えない貴重品ばかりだ。 もらった以上はもちろん大事にする 活用もする なぜこうも人から物をもら

    • 短編小説「まなざし」

      伸夫は夜勤のコンビニ店員である。 起きて仕事をする毎日を繰り返している きゅうきゅうで、他のことを考えるゆとりがない。 今日は父の命日 あれから5年が経つ 「父さん」 写真にぼそっと呟く 家にちっとも帰っていない 母さん1人で寂しいだろうなぁ さて、と出勤する準備をするとスマホの着信がなる。 「伸夫」 母さん! 「あんたちっとも帰ってこないから、心配してたのよ 少しは顔見せに来たら?」 「うん」 とだけ答え、伸夫は少し詰まる。 「なかなか休みが取れな

      • 短編小説「ひとみに映るもの」

        あたたかい 床もふあふあで、いたる所でゴロゴロし遊んでいられる。 美味しいご飯も食べられて、散歩にも連れて行ってもらえる。 こんな日が来るなんて、夢にも思わなかった。 そう、あの場で自分はもう終わるのだ、と思っていた。 前のご主人は僕を川辺に置き去りにしていった。 理由は、分からない。 ひたすら、どうして良いのか分からなかった。 あっちをウロウロ、こっちをウロウロ。 自分が誰かも分からなくなっていた。 ここに意味もないことも悟っていた 何も食べずにこのま

        • 短編小説 「たから乙女」

          宝くじを毎回買っている。 今までで当たったのは300円だけ それでも大金を夢見て買い続けている 1億円当たったら、家を出て一人暮らしして、もっと良いマンションに住むんだ。 こんな暮らしとは早くおさらばしたい。 買い続けていれば、いつか必ず当たる。 絶対に当ててやるんだ。 給料は恥ずかしくて人には言えない。ちっとも上がらないし 家にお金も入れている もっと媚びたり、女っ気あれば少しは給料アップはできたかも つくづく損な性格 あ〜あ 何かいいことないかなぁ。 お昼のお弁当

        短編小説 「プレゼント顔」

          短編小説 「トイレ男」

          トイレが好きだ この世で1番落ち着く空間 自宅のトイレはもちろん 外のトイレも好きだ あえて個室に入る。 あの空間は神様からのプレゼントだ トイレに行くために出掛けるようなものだ ここの店はこの特徴。 あのトイレはあの特徴と大体頭に入っている。 やはり座っているとす〜と心が落ち着く。 別に用など足さなくてもいい 座ることに意義がある。 だけど、許せないこともある 楽しみにさぁ、入ろうとすると 前の人の用を足した匂いがする もっと許せないのは、用が便器の中にひっついてい

          短編小説 「トイレ男」

          短編小説「私を忘れないで」

          静かだ 年金をもらい何気ない毎日を過ごしている 預金もそこそこあるし、家族と平穏に慎ましく暮らしている。 私は、若い人と話をするのが好きだ。 自分の体験談を語る 生きた証ともいえる どんなに昭和の厳しい荒波をくぐり抜けてきたか 営業の電話で指にタコができるほど電話をかけまくったことか。 この話をするとにキョトンとされることが多い。 それでも若い人にまだまだ伝えたい 自分がどんな苦労してきたか 君達はまだまだ甘い 苦労のくの字も知らない もっともっと教えたい。 まだまだ

          短編小説「私を忘れないで」

          短編小説「 並み の快適さ」

          美容が趣味である。 美しくなければ価値がないとさえ思っている 毎日美顔器をかけ まつげ美容液で、まつげを育毛し 髪も常にサラサラを保っている。 あっもちろんシミが嫌なので、日にはあたりません。 でもその反動で休日は何もしたくない。 顔も洗わず、風呂も入らずそのままだらっとすごす。 そしてそのまま外に出たりもする。 今はマスクで顔の半分は隠れるので 良いのだが さらに帽子をすっぽり被り 毛玉だらけ、だぼだぼのズボンのまま出る。 夏はさらにサングラスをかける 完全に別人

          短編小説「 並み の快適さ」

          短編小説「婚活男子」

          僕の名前は伸夫 上京し、長らく東京で一人暮らしをしている。 運良く就職もし、マンションをローンで買って生活をしている。 安月給なので生活費は敷き詰めなければいけない 自分でお弁当を作り、自転車で通勤し 1日の食費は300円に抑えている。 もちろん結婚もしたい マンションを持っているというのに 何故か女性には縁がない。 歳も30を過ぎている 母さん、さぞ心配しているだろうな 趣味は漫画 部屋の1室は漫画roomにしている 僕は面食いだ そこそこの女性には興味が湧かない

          短編小説「婚活男子」

          短編小説「子供の私が守りたかったもの」

          朝からウキウキしている。 そう、今日は待ちに待ったレコードの発売日。 同時にそれを買うことに命をかけている 絶対に買っているところを誰にも見られてはいけないのである。 そのため、朝イチでOpenと同時に店に行かなければならない。 大丈夫だ、並ぶ所はちゃんとチェックしている 店に入るなりさっと持ってさっとレジに持って行く その間5秒 この時間帯が勝負 よし、ドキドキ、胸を弾ませながら店へ向かう。 あった〜見つけた〜 踊る心を落ち着かせながらレジへ向かう。 ふぅ〜とひとま

          短編小説「子供の私が守りたかったもの」

          嫌われ者のぼく

          さ、寒い この時期が1番キツイ マシな場所を探し、ずっとこの時期を耐え忍んでいる 尽きるのも時間の問題だ 少し前までは快適だった あのじめじめ感 あの季節は自分のためだけに存在する 体も伸び羽も羽ばたき 最大限の生命力を発揮する 僕は見つけられると、霧のようなものを噴射される うまく逃れられればいいが 大抵嫌われているので そこで力尽きてしまう 温かい家具の下に隠れられた時はラッキーだ ここまでは誰も追ってこれまい あの時期は年々じめじめ感と熱気が心地よくなってゆく 今

          嫌われ者のぼく

          短編小説「年に1回の永遠の命」

          私はこの時期にだけ年に1回、生き続けている。 今年もまた目覚めた。 今年はどの家に行こうか、どんな子達がいるのか ワクワクするとともに、不安も募る なぜならば、以前は 年に1回とは言え、10年は生き続けた命が 9年8年と短くなっていっているのである。 その家によっては1回も誕生しないということもある 自分は何のためにいるのか 夢や嬉しさ楽しさのために誕生するのであって たとえその命が短くとも清いまま永遠に残るのである。 そう、大人になっても できれば、世界中に誕生した

          短編小説「年に1回の永遠の命」

          短編小説「しゃぼん玉色の涙」

          好きな人がいた。 もうだいぶ前の話だ 初々しい新入社員だった私の目には、鮮やかなスーツ姿の彼が新鮮に斬新に映った。 いわゆる一目惚れというやつ。 一言一言がもう心地よくてドキドキして、彼のために頑張ろうと思ったものだ。 彼もよく声をかけてくれた。 女は、恋をすると世界が変わるとはよく言ったもの 超優秀で、出世街道まっしぐらの彼はよく出張にも出かけていて 出張先の1つに噂になった女性がいる 気になるところです しかもその女性、自分より超優秀で、しかも美人。 彼は私の仕

          短編小説「しゃぼん玉色の涙」

          短編小説 「チョコレートと納豆」

          空はなぜ青いのだろう? 雲はなぜ流れるのだろう? この時期の水はなぜ冷たいのかしら? 自然には当たり前だけれど、なぜかしらと思うことがいっぱいです。 人間にもなぜかしらと思うことありますよね そんな思いを綴りたいと思います。 2つ離れた姉がいます。 名は由美子と言います。 幼い頃からキャッキャとよく話す自分とは対照的に あ〜、う〜しか話せませんでした。 それは、今でも、親の脳裏にインプットされていて 全く由美子はいい年して、なんでいつもああなのかしらね、と言う声が聞こえ

          短編小説 「チョコレートと納豆」