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ほうれん草の性の多様性


 数ある冬野菜の中で、冬野菜の印象が薄いのがほうれん草です。なぜかは分かりませんが白菜や蓮根に比べると地味な印象です。あまり鍋料理に使わないからでしょうか?

菠薐草

 ほうれん草は漢字では菠薐草と書くそうです。菠薐とは中国の古語でペルシャのことだそうです。つまり、ペルシャから中国に伝えられたということらしいです。そして、おそらくその後のことだと思われますが、ほうれん草は東洋種と西洋種に分かれました。
 
 東洋種はまるでタンポポの葉のようなギザギザの葉で、西洋種はギザギザがない丸い葉が特徴です。現在日本で市販されているほうれん草は、西洋種の性質が濃く出ている西洋種と東洋種の交雑種が主流です。

ホウレンソウには性別がある

  ほうれん草は雌雄異株植物です。つまり、雄花をつける雄株と雌花をつける雌株が別々だということです。ナスやトマトは雄しべと雌しべの両方を持つ両性花をつけるのでオス・メスの区別はありません。ほうれん草の他にはイチョウやキウィも雌雄異株植物です。ひと昔前は、大阪の御堂筋では、秋になるとイチョウ並木から落ちた銀杏を市職員が拾い集めて市民に無償提供したものですが、最近は落ちた銀杏の臭いが強烈すぎるとの理由で、銀杏をつけない雄のイチョウの木に植え替えられています。

 

オスとメス、どちらがおいしいのか?

 ほうれん草に限らず、性別がある食品はどちらがおいしいのかという議論になりがちです。例えば、鯛や鮭はオス・メス、どちらがおいしいのか? 雄牛と牝牛、どちらがおしいのか? などですね。 
 鯛や鮭のおいしさは性別とはあまり関係がないようですが、牛の場合は未経産牛(出産を経験していない雌牛)が一番おいしいとされています。
 ではほうれん草はどうなのか? おそらく、この難問を解明した人はいません。なぜなら解明不可能だからです。

どちらがおいしいかは永遠の謎

 ほうれん草がオスなのかメスなのかは、花芽が付くまで分かりません。オスとメスは花芽が付く場所が違うので、花芽が付けば一目瞭然ですが、それまでは外見で判断することはできません。しかし、花芽が付くまで待っているとバシバシに筋立ち、食用にするには不向きです。食べられないことはありませんが、もはやオスであれメスであれ、おいしくありません。

ほうれん草の性の多様性

 実は、ほうれん草にはオスとメスの他に第三の性があります。雄花と雌花の両方をつける株や雄しべと雌しべの両方を持つ両性花をつける株がけっこうあるそうです。なぜほうれん草はオスとメスだけにとどまらないのか? その理由は解明されていないことになっていますが、筆者は知っています。ほうれん草は種としての将来性に危機感を持ち、さらなる進化のために新しい世界に踏み出したのです。


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