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パンと本、そして産直野菜のような直接の売り方

March 10, 2019

今度のスタンダードブックストア(心斎橋)で『月の本棚』の一連のトークイベントも一段落する。有名作家でもないのに4回も、何をしているのか?

これは出版記念イベントのかたちをとっているけれど、よい(とわたしが思う)本、『月の本棚』で紹介している本と出合うきっかけ、買ってもらう機会になれば嬉しいな、という活動だ。わたしは作者というより紹介者なのだ。

著者や編集者自ら本を書店やカフェに少量持ち込んで販売する方法はどこか、農家直送の小規模なマーケットのようでもあり、純粋に楽しい。

『月の本棚』の材料となった本を買った書店の、同じ文芸書のコーナーに『月の本棚』を並べて売ってもらっていて、そこには小さな小さな循環が生まれる。それは笑ってしまうほど小さいことなんだけれど、おもしろい。

書肆梓は初めての詩集以外の本として『月の本棚』を世に出してくださった。わたしにとっては初めてのパン以外の本だった。そして今までとまったく違う感じで、ある意味、手渡しで、ひとの手に渡っていった。


イベントは、いろいろな方に来ていただいて、毎回違った感じになった。わたしの書くものを読んでくださっているパン好きの方、書店イベント好きの方、食のライターや編集者、アーティスト……。毎回さまざまな、でも必ず本の好きな人々との出会いがある。

わたしはこの20年ほど、たくさんのパンとパン職人を紹介してきた。書く前にいつも、自分とその対象の出会い、取材に至った経緯を大切に考えた。その対象への自分のアクセスの仕方、感じ方なども。そういう部分は、パンであっても本であっても同じなのだと思う。

パンと本。painあるいはbreadとbook。
日本語で発音するとたった二文字、アルファベットにすると四文字の言葉だけれど、そこからひとが思い浮かべるものの種類は計り知れず、ひとの数だけあるかもしれない。わたしはそこから光をあてたいもの、誰かと共有したいものをセレクトして伝える。

スタンダードブックストアで、本の好きな皆さまとお会いしたいです。
パンを焼く詩人、ミシマショウジさんをゲストにお迎えしています。
ameen's ovenのパンのお土産付きです。


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