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森永卓郎著(2024)『書いてはいけない』株式会社三五館シンシャ

3つ目のタブーも明らかになるべき

本書では、これまで扱うことがタブー視されてきた「ジャニーズの性加害」「財務省のカルト的財政緊縮主義」「日本航空123便の墜落問題」について、著者の思いが述べられているものである。

臭いものには蓋をするというのが日本の中では前々から改善されず、本書には書かれてはいませんが、多くの日本企業によるデータ不正など、業界全体あるいは業界の垣根を越えて未だに長期に渡る不正が表出している実態がある。つまりは、その長い期間に本質を知り、それを箴言した人たちを窓際に追いやったりして、組織をまもるという誤った大義名分で不正を隠してきたのだろう。

同じような構造が、マスコミやエンタテイメントの業界にもはびこり、そのひとつがいわゆる「ジャニーズの性加害」の問題であり、これを取り上げなかった日本のマスコミは、同様の構図を持つ他社の不正などに対して、気の利いたコメントなどできるはずも無い。なぜなら知っていながら視聴率ありきでジャニーズ問題を隠蔽してきた当事者だからである。ジャニーズの性加害問題は、古くはフォーリーブスの時代から噂され始めたこともあり、タブーの期間は相当長い。その発覚もBBCという海外メディアが、既に既知であったものを報道したに過ぎない。私自身も当時放送局に努めていたので、薄々話題として聞いていた。本書には書かれていないが、ジャニーズから圧力を受けてテレビへの登場が少なくなったのはDA PUMPだったし、当時のストリートダンスは、ジャニーズのおゆうぎ会ダンスよりはるかにキレが良かった… しかし、彼らを守るメディアは存在せず、結果的にジャニーズの言いなりになってしまった。本書で一番のショックなのは、松尾潔氏のお話の件で、ジャニーズに近い山下達郎夫妻が契約終了に賛同しているというところだった。ジャニーズ関連に楽曲提供が多い人なので、死活問題なのかも知れないけど、残念ではある。

ザイム真理教に関しては、既に先行した本の出版があるものの、やはり今でもこのカルト教は廃れること無く続いている。「ご説明」の布教活動があらゆる人に向けられ、特にメディアでの発言権が強い人を網羅していることをうかがい知ることができる。なかでも昨今のホリエモンの言動にも財務省の意向が現れているからくりを本書で知ることができ、妙に納得できた次第である。財務省が税務調査を巧みに使えるために、政治家含め何も言えない構図は改める必要があるのだと思う。まずは歳出と歳入できっちりと分ける必要があるのだろう。

日航123便の墜落の問題は、未だに陰謀論的なものも多く、その真相は闇のままである。本書では、裁判などを通じても頑なにボイスレコーダーやフライトレコーダーの開示がないなど不可思議なところは多い。また初動に関しても変なところが多い。本書では青山透子氏の『日航123便 墜落の新事実』という本を中心に語られているため、自分でも確認したく、読後にkindle版をポチってしまった。いつ読むかは不明だけど、時間があれば読んでみようと思う。森永氏は一つの結論を導くが、それが真実であるか否か、いつか真実が報道されることを祈りたい。

そして最後に日本経済墜落の真相の章であるが、その日本経済がおかしくなる機転を、日航123便の墜落にあると解釈している。確かに事の真相をアメリカは詳細に掴んでいることは間違いない。もしかしたら真相究明はアメリカ側からアプローチした方が早いかも知れない。できることなら森永さんが生きているうちにそのきっかけだけでも醸成される機運になれば良いと思うが、果たしてどうなるのだろうか…

ここまできたら、森永さんにもう一冊追加で残して欲しいと思うのは、わたしだけではなさそうな気もする。私自身も肺腺癌のステージ3Aなので、死とは向き合っているものの、森永さんも一日でも多く生きていられることを願いたい。

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