見出し画像

映画『空海』

AmazonのPrime Videoで見つけた、北大路欣也さん主演の『空海』(1984年公開)を見ました。今日はその感想をシェアします。

空海というと、私の中で〝弘法大師〟として知られる達筆なお坊さん。全国各地に空海が訪れたとされている場所があるーというイメージでした。映画で見た空海は、後世にまで名を残すようなやっぱり素晴らしい人物でした。

空海は幼い頃から賢く、神童として親族の期待を一身に背負っていました。桓武天皇の皇子の教育係を務めていたおじから儒学や漢学を学び、成長した空海は大学に進学しますが、朝廷に仕え出世する将来像に疑問を抱き、ある時放浪の旅に出ます。
出家した空海は密教を学びたいと、30代で留学僧として遣唐使船に乗り込みます。そして偉大な僧侶であった恵果阿闍梨から直々に密教を教わり、わずか3ヶ月という超人的なスピードで密教を体得するのです。
この密教をすぐに日本に広めたいと、本来20年ある留学期間を2年で切り上げ帰国しますが、留学期間を守らなかったことが罪に問われ、都に入れない日々が続きます。帝が変わったことで許され、当時国から認められていた高僧の最澄までもが弟子入りを志願するほど、その名をとどろかせます。
各地を行脚しながら市井の人に教えを説き、時には奇跡的とも思える現象を起こしながら布教活動を行います。そして、国民からの寄進で高野山を開くのです。その後62歳で入定した(永遠の瞑想に入ること)とされています。

この世を極楽浄土にし、今を幸せに生きるー。

映画『空海』の中で心に残ったのは「死後に極楽浄土にいこうとするのではなく、この世を極楽浄土にして今生きているうちから幸せになる」ーという教え。
当時は奈良仏教と言われる〝選ばれた善人が死してから極楽浄土にいける〟という考え方が主流でしたが、最澄と空海が「密教」を唐から日本に持ち込んだことで〝誰もが救われる〟という大乗仏教の教えがもたらされるのです。
「死後ではなく、今のこの世を極楽浄土にする」という斬新な発想に心惹かれました。

また、一般的に仏教というと〝無欲〟を良しとするイメージがありましたが、空海の密教は「欲があるのは人間として生きている証だ」として認めています。その上で〝皆が幸せになることを願い、目指そう〟としているのです。欲を無理に抑制するのではなく、認識して昇華させていくー。人間らしくていいんだと認められたようで、ホッとする考え方に思えました。

空海も、そして自分より年下の空海に教えを乞うた最澄も、さすがは偉人たち。生きているうちに空海ゆかりの四国八十八ヶ所めぐりをして、少しでもその生き様に触れてみたいです。
それでは素敵な映画体験を☆

*空海

この記事が参加している募集

おすすめ名作映画

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?