建設業許可取得後の手続一群 【1】
この記事を開いて下さったご縁に感謝します。
許可業者は信用と共に、義務や責任が増えます。
ランクアップするんですから、当然と言えば当然なんですけど。
しかし世間一般では、建設業許可の取得方法(速攻で獲る、安く獲る)は力説するのだけれども、その後の義務等については、あんまり熱心に発信されていないような印象があります。
いや、あくまでも印象論ですが。😅
そこで試みに、複数回に分けて、許可取得後に必要な手続き(代表的なもの)について、略記ですけども、紹介していけたらと考えました。
当初の想定読者のほか、既にご存知の方にも、チェックリストの足しにしていただけたら幸いです。
日常の業務において
▷ 許可標識の設置【建設業法 第40条】
「営業所」にはもちろん、誰が施工しているのか一目瞭然になるように、工事現場においても設置する義務があります…。
「公衆の見やすい場所に」なので、裏庭に掲示してあるとかは違反です(汗)。
標識板の規格も、
店舗:縦35センチ以上、横40センチ以上
現場:縦25センチ以上、横35センチ以上、
という指定が存在しています。
とはいえ、現場ごとの掲示義務は元請のみ(令和2年改正)ですし、昨今だと、デジタルサイネージなどICT機器を活用した掲示でもよし、という例外も認められています。
▷ 技術者の現場配置義務 【建設業法 第26条】
本条がいう技術者は2つあります。
許可業者が受注工事を施工するときは、現場ごとに、主任技術者を配置する義務があります。
ここで、主任技術者とは、当該建設現場における、建設工事の施工の技術上の管理を司る者である、とされます。
他方、工事の規模という判断基準で、主任技術者ではなくて、監理技術者を配置する義務(本条第2項)を負っている人たちも居ます。
元請になった特定建設業者は、同様に、当該建設現場における、建設工事の施工の技術上の管理を司る者を置く義務があるのです。
要するに、1件における下請け工事の代金総額が4,500万円以上(建築一式工事だと7,000万円以上)の工事現場に置かれる技術者が監理技術者なのです。
【ご参考】
※ 本条の主任技術者と監理技術者が、前提として求められる要件
前提として、専任技術者(と同水準)であることを要します。
技術者という名詞だけで眺めると結構困惑してしまうのですが、登場時点で区切ると(多少)話が通じやすくなります。
この法的概念としての2者(主任技術者と監理技術者)は、現場に赴く段で登場してくるのです。
これに対して、専任技術者は、許可を行政庁からもらう時点で既に必要とされている人たちです。
例えば、一般建設業許可ですと、許可基準は建設業法第7条に載っています。
他方、特定建設業許可は少しスキップして、同法第15条です。
両方の条文には、共通して第2号がありまして。
そこには、「その営業所ごとに…専任のものを置く者であること。」との文言があり、許可業者になる要件の1つなのです。
お気づきでしょうか?
本項の第26条では、第1項で主任技術者、第2項で監理技術者を定めているんですが、その条文中に、専任技術者(と同水準)であることを要求しています。
そういう許可時の要請をパスした人を基準に、今度は現場の技術管理をしなさいと言っているだけなのです。
(なので、許可を取った時のオリジナルメンバーである主任技術者または監理技術者に照らすのであれば、まず間違いはないことになりますね。)
年単位での義務
▷ 決算変更届の提出義務 【建設業法 第11条】
毎事業年度の終わるたび、終了日から4ヶ月以内に、決算変更届をしなくてはなりません(同条第2項)。
▷ 許可更新申請 【建設業法 第3条】
第1項は、先日書いた記事にも記したのですが、建設業許可の根拠条文になっています。
それを受けて第2項は、有効期間が5年間で、更新しないと事業を継続できないから、続けたくば更新申請をせよと義務づけています(下に引用)。
とはいえ、廃業するのであれば従わなくてもよいものですから、実は義務じゃなくて任意選択かもしれませんね。
自由意思を尊重した促しの条文でしかない、とも。シュールな読みですかね…。
※ ちなみに
略記と冒頭に断っておきながら、この5年の詳細を言えというご要望がありそうな嫌な予感がしたので、念のため付記しておきます(汗)。
許可のあった日から5年目を経過する日の前日をもって、効果が満了すると扱われています。
民法の第140条(初日不算入)と第143条(暦日計算と、応当日前日の終了)ということかと。
もし継続したければ、効果満了日の30日前までには許可更新の申請書を出しておかねばならないとされます。審査の標準処理期間との兼ね合いかと思われます。
➡【2】に続きます
【ご参考】
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