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私だって、誰かに頼りたいのだよ、弱音を吐かせてほしいのだよ。

(延命治療中の)父が倒れる前からだが、母は家以外で、父の世話を私に任せる。
母の口癖、

「あんたにお任せ~!」

これ、非常に腹立たしい。
家で、片目失明、残りの片目、ほぼ光のみ、耳は遠い、足はよろよろと杖歩行、心臓やら肺やら持病たくさんある父と一緒に暮らすことの大変さは、わかっているつもりだ。
だから、私がいる時は、父の世話から解放されたいのだろう。
だからといって、

「あんたにお任せ~!」

はないだろう。
せめて、一緒にやってほしいものだ。
百歩譲って、父が自宅にいることができた時はいいとして、今はどうだ。
命の境目をさまよっているというのに、母と来たら、父に関することは、常に、

「あんたにお任せ~!」

なのだ。
なぜなんだ?なぜ全部、私なんだ?
特に、主治医や看護師さんからの話を、まともに聞かず、私に丸投げするのは勘弁してほしい。
それを責めると、

「私は耳が遠い。聞いても理解できない。」

と言って、逃げるのだ。
私には理解できない。
自分の夫が、生死をさまよっているというのに、主治医や看護師さんの話をまともに聞いていない。
一番、腹立たしかったのは、主治医から、万が一、再び、父に何かあった時の、人工呼吸器装着の意思確認をされた時だ。

あれこれ説明を受けて、私があれこれ質問をして、母に理解しやすい環境を作ってあげたのにである。
母に「どうする?」と聞いても、無表情で無言を貫く。
何度も聞いて、やっと口にした言葉が、

「何も言えない。何も考えられない。」

これだ。
私だって、何も言えないよ、何も考えられないよ、だから一緒に考えてよ、と思ってるのに。
結局、全部、私の判断で、人工呼吸器装着を決めた。

昨日は、父に会ってきた。
相変わらず、点滴のみでご飯は食べられていなかったが、頭と口は比較的、しっかりしていた。
前回の面会時と言うことは同じだ。

「リハビリがしたい。」

もう、涙が出そうだった。
父は生きたいのだ。
私は、父が痛いというところを、全部さすってやった。
肩をもみ、腰をもみ、頭皮をもみ、リンパ腺やら背中やら手足をさすってあげた。

父はあれこれ文句を言って、頭と口は、元気だった。
それを見て、母は安心したのだろう。
なんだか、元気になると過信してしまったようだ。
私はそんなに甘くないことを理解していたので、点滴だけがずっと続いたら、長くはないんだよと伝えた。
しかし、母はそれを聞き流していた。

そのくせ、今日の夜になって、突然、母から、父が死んだらどうしようメールが大量に届いた。
どうやら、ネットで調べたらしい。
そしたら、私の言った通りのことが書いてあったらしく、急に不安(パニック)になり、私に、父が死んだらどうしようばかり言ってくる。
挙句の果てに、週1回と言われている面会を、もっと増やしてもらいたいなどとわがままを言いだす。

私だって、辛いんだよ、心配なんだよ、でも、お父さんは頑張ってるんだよ、生きようとしてるし、まだ先生方だって諦めていない。
なのに、母が、弱音ばかり吐いて、私に感情をぶつけてくる。

私だって、誰かに頼りたいのだよ、弱音を吐かせてほしいのだよ。


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