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エッセイ:映画『バッファロー’66』と弱者男性の救い。

 昔から、「無敵の人」を題材にした映画は多かった気がする。古典だと、「タクシードライバー」日本だと「葛城事件」がかなり強烈だったし。最近だと「JOKER」がものすごく話題になっていた。

 一定数需要のあるジャンルなのだと思う。そんな、「無敵の人が主人公の作品」の中で一番好きなのは「バッファロー’66」でした。

あらすじ。
刑期を終え釈放されたビリーは、母親との電話でいくつか嘘をついてしまう。いもしない妻を連れて帰らなくてはならなくなったビリーは、通りがかりのレイラを拉致し、妻のふりをするようにを強要する。渋々従うレイラであったが、彼の過去を知るにつれて、次第に好意を持つようになるのだが、ビリーには、5年前彼を陥れたスコットへの復讐が残っていた・・・。(Filmarksより引用)

 無差別殺人では無いのですが、メンタリティは似たようなものでしょう。不運の人生を送ってきた者が、自暴自棄になってしまい、人を殺した後、自殺するという計画を建ててしまっている。彼の生い立ちは悲壮感極まりないし、そうすることでしか心の闇を晴らすことが出来なくなってるいるのが、しんどいくらいに伝わってくるのだ。

 そんな社会的な弱者男性が、美しく、包容力のある女性の優しさによって救われる……という物語にはものすごく惹かれる。殺人計画を企てている男性がそれを取り止めにする理由として、「可愛くて優しい恋人ができたから」というのは、これ以上説得力のあるものは無い気がする。

唐突に挿入される「ムーンチャイルド」が印象的

 もちろん、そんな都合の良い女性が目の前に現れるのか? と言われたら違うとは思うし、現実の世界には「運命の女性」と出会えなかったから殺人をやってしまった人が沢山いる。そんな者からしたらこの映画の結末は「嫌味」にすら感じられるかもしれない。

 ただ、僕の中では、「男性の弱さ」と「救い」を描いた作品として、いつまでも心に残り続けていた。

 こんな映画を、イケメンのヴィンセント・ギャロが作り出したのがすごく意外だった。
 それも、クリスティーナ・リッチみたいな童顔でぽちゃっとした、ロリ傾向の女優をキャスティングしたのがすごく「分かってるな」と思う。「年下の女の子にダメな自分を好きになって欲しい」という願望がそのまま映像になっているのが、すごく愛おしいんですよね。

 世間一般では低評価だけど、「男性の弱さ」を描いた作品としての「ブラウンバニー」も大好きなのです。ヴィンセント・ギャロまた新しく映画作ってくれないかなぁ……。

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